2014年9月21日日曜日

実物を見ることの重み

自分で実際に体験した物の重みは大きい。昨日、三重県にある道路建設現場の、コンクリート打込み施工現場を見学しました。

特殊な形状・構造をしていて、発注者、施工者ともに苦労しながら作り上げている「作品」だと思います。この構造物の品質の確認のために今年から昨年度から携わらせていただいていますが、今回が、その部材の最終ブロックの打込み日でした。当初は別の日に計画されていましたが、外せない先約と重なっていたので欠席の予定が、若干工期が遅れてくれたおかげで参加することができました。

8時前に現地に着いて、6時間ほど見学しました。当初、昼までと思っていましたが、もう少しで終了ということだったので最後まで見学させていただきました。技術的な詳細は書けないのが残念ですが、ここで得たこと(細かい技術という狭義ではなく)は私の血肉となって、何かの機会に皆さんにフィードバックできれば、と本気で思っています。それが、学としての私の役割の一つでしょう。


過酷な制約条件なので、施工会社、発注者も皆初めての事ばかりで、とても苦労されたようです。今回の打ち込みは、全数回の打込みの最後だったので経験も豊富に蓄積し、実施工をしながらPDCAを回して改善して本日を迎えたとのことです。現場にとっての集大成の一つだったようです。

私が現場で見ていて、意味がわからない作業が多々ありましたが、所長さんに聞くと、的確な答えが返ってきました。それも、試行錯誤をして、この作業をするように工夫した、と自信を持って話される姿が、頼もしく、技術者としてかっこいいと思いました。

養生に関しても、ある施工上の工夫がなされていたとのことでしたが、それも当日の朝(または前日)になって問題点の大きさに気がついて、改善する方法を考えたとのことでした。多分、常日頃考えているから、そうなるのでしょう。

写真も、内容も、ここに公開できないのは残念です。



今回、この現場の見学は、依頼されたわけではありません。しかし、非常に難しい現場とわかっていたので、実際に何が行われているのかを見ておきたい、と思い、実現しました。出張に行く際に、わざわざ三重までコンクリート打込みを見てくる、ということを周囲に言うと訝しがられましたが、それは私にとって譲れないものです。お金と時間は限られていますが、私の感覚でピピッときたものは、できるだけトライしておきたいと思います。


現場を見ることが大事というのは、使い古された言葉なので、今更言いません。教員という立場をしていると、講義や講演、自分の執筆する論文・論説文等で使う資料の挿入写真はオリジナルを使いたい、というのは良く聞きますし、私も思います。フランスで構造物を一緒に見に行っている際に、細田先生とも同様のこと話をしていましたが、やはり、きちんと知っていないと相手に対して発信する迫力が違う、と思います。私の解釈では、写真自体は手段なので、(著作権はクリアした上で)他人のものでも構いませんが、 その構造物をきちんと見て、かつ、自分の力で考えて、という苦労をして初めて、相手に伝わるのだと思います。よって、単にその場所に行ったと記念写真だけを撮って、自分の講演スライドに入れても、単に行った事実だけであり、血肉になっていないと思います。



その上っ面の知識にならないように、何かを見に行く際には、私は徹底して下調べをするようにしています。事前に頭に知識があると、より現地で学べるからです。


今回のフランス出張では、フレシネー、エッフェルについては、それぞれの伝記的な書籍1冊に加え、論文(論説文)を数編読んで行きました。そして、最近の恩恵として、グーグルマップで徹底的に場所を調べて、臨みました。


自分でも時間があって良くやったなと思ったのは、7年前の2007年夏に黒部ダム(一般に簡単には立ち入れない高熱隧道含む)を見学したときですが、当時の資料・論文を探すために土木学会図書館に行って文献複写をしてまで下調べをしました。ただ、如何せん経験不足で若かったので、わかったつもりであまり身には付かなかったのですが、いろいろなキーワードは頭に入りました。

フランスで決壊したダム、マルパッセダムのことも、黒部ダムに行く前に、下調べで用語だけは頭に入っていました。ダム堤体内を案内していただいた際に、原位置試験の事もお聞きして、当然マルパッセダムの話もでてきました。ただし、実際にどういう事故だったのかはわからず、その後7年間、知識量はそのまま止まっていましたが、今回フランス出張で、マルパッセダムに行けそう、となった際には、アンテナを張っていたおかげで、すぐに飛びつきました。そうやって、点と点が繋がったのです。そのダムの凄さは、別途ブログで紹介したとおりです(まだ表面的で、もっと深めたいのですが)。

話は黒部ダムに戻ると、トンネル建設の熊谷組がクローズアップされますが、鹿島建設は何をやったかというと、黒部ダムの本体工事で使用する骨材(砂利)を調達することです。黒部ダム工事記録を見ると、そのことも詳細に書いています。どの河原で大量の骨材を採取したのか、など。実際には、大町から下った河原を掘削して調達しています。それも、実際にバスで通った際に、読んだことのある川の名前で、今ここだ、とわかったのです。

マニアックで、それが何に繋がるのか、という豆知識も多いですが、とにかくアンテナを張ることは大事だなと思っています。


フランス出張の帰りに、ニースからパリに戻る国内線飛行機の機内で、高度を下げてきて、ふと下の風景を見たら、川の形状を見て、マルヌ川だとピンと来ました。頭の中に地図が完璧に入っていたからです。そして、つい3日前に訪れた、フレシネーが製作した、トリバルドー橋、エスブリ橋を空の上から同定できました。フランスを去る直前に、3日前に苦労して巡った橋を、再度、今度は空から見ることができたのは、ラッキーだったともに、それは自分が準備してきたから他なりません。一人で感動に浸りましたが、とにかく、そのような小さなことを積み立てることは、大切なのかなと私は思っています。

ただし、私はインプットは大きけれども、アウトプットは小さいなと思っています。貴重な体験をしたのであれば、可能な範囲で、アウトプットもしていきたいと思います。

フランスの構造物を、どうやって巡ったのか(マルヌ5橋については、一人で電車とタクシーで巡った、等)、についても日本の皆さんに有益になることは公開していきたいと思っています。

まずは、これまでどの構造物を訪れたか、特に現場調査をした構造物を含めて、地図にプロットすることにしました。そして、今後訪れたいと思っている構造物も。内容も拡充していきたいと思います。こうやって一覧で見渡せることで、心理的な距離感はなくなり、後はどうやって行こうか、という思考に変わってきます。

フランス出張がそうでした。未知なる外国の構造物は、本で読んでもスルーしがちですが、地図にプロットすることで、現実味を帯びてきます。

ブログでは再掲になりますが、私が作成中の地図を、ご紹介します。

1)国内で訪れた/今後訪れたい構造物の地図一覧
2)フランスの秀逸な構造物一覧

未完成でもいい、こうやって一歩を記すことが、次の点と点が繋がるきっかけになると思います。

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