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2021年1月30日土曜日

継続教育とCPD

 技術者の継続教育ということでCPDを溜めている。

 学生は、単位数であったりその評定の平均値のGPAなどで数字に追われていると感じることもあろうかと思うが、技術者もそうである。

 民間の建設会社、コンサルタントの方も、CPDSという制度があるが、これは発注・受注の際の点数化に繋がるので、頑張って取得されていると聞くが、詳しい制度を理解しているわけでないのでここでは触れるだけとする。

 さて私の場合、継続教育ということで土木学会の技術者資格を取得している。現在は10年前に取得して1回更新した1級土木技術者を持っている(上級技術者は受けようと思っているが先延ばし。技術士としても継続教育のためのCPDが示されているが、CPDを必須とするAPECエンジニアは私には不要なので、土木学会のシステムに登録することで技術士のCPD計算の目安にしている)。さて、その土木技術者の5年毎の資格更新の際には、CPD250単位が必要である。講習会参加、講演実施、自己学習などをコツコツとシステムに入力しておくのだが、昔はゆるくて、自己学習などもあとでまとめて登録ができていたのだが(認定される単位に年間上限はある)、最終的に、管理する機構の方で自己登録の内容が正しいかどうかのチェックしてもらい、チェックをパスしたものだけが、正式なCPDとして認められる。

 以前は、資格更新時にまとめて5年間分を入力して250単位になったとしておけばよかったのが、内容の実質化のために今では次のとおり厳格化されている。ステータスチェックが受けられるのは申請から過去1年分、ステータスチェックは1回1000円、講習会参加・自己学習などもタイトルだけでなく毎回小レポートの記載が必要、委員会出席も自己申告だけでなく委員名簿や議事録等の証拠書類の提出が必要、等々。

 信憑性を担保するのは必要なことなので良いのだが、ステータスチェックが過去1年という物理的な縛りが今回の更新できつかった。しばらくCPDのシステムへの登録を放置していた時期があり、2019年末になって、そういえばそろそろ更新と思って調べると、定期的なステータスチェックが必要だったことに気づいた。2021年3月末迄で資格が切れるため2016年4月からのCPD蓄積が必要だったのだが、2016年、2017年、2018年は殆ど登録していなかったのでゼロに近い(唯一あるのは、土木学会の委員会活動へ参加すると、自動で付与されていた程度)。そのとき気づいた段階で、とりあえず過去1年分をスケジュール表を見て数時間かけて登録し、ステータスチェック依頼。そして以後はルーチンとして廻すため2020年末にステータスチェックを実施した。250単位必要なところ、2018年12月以降、ほぼ丸2年間で380単位といういうことで数字としては余裕でクリアしたのだが、ステータスチェックの遡及が1年というのはコツコツと準備しておかないと厳しかった。

 資格更新料が1級土木技術者で5年毎に約10000円、ステータスチェックが年間1000円であり、途切れなくステータス確認済みのCPDを貯めるには5年でトータル5000円の出費が必要。これは、技術者の研鑽を外部機関から担保してもらうために必要経費として良いと思う。

 ただし、更新直前でない時期(5年間のうち4年間)に普段から自分で気づいて1年間に1回ステータスチェックを受け続けるというのは途切れなく5回連続しなければならないので厳しい。審査機関としては最後にまとめて駆け込み登録する人を避けるというのは十分理解できるが、コンスタントに続けたい人がちょっと忘れただけで登録できないのは少し緩和していただけないかと感じている。

 人間が入力したものを人間がチェックするには、人のコストがかかるのがわかるので、安くしろと言っているわけでないが、リマインドがないのは辛い。それをシステムとしてどう改善できるのだろうかというプチ改善提案をしたい。

 金額はこのまま(5年間のステータスチェックは5000円かかること)が妥当という前提で考える。

 例えば以下の改善はどうか。
  1. ステータスチェックはサブスクリプションとして、年1000円で自動引き落とし。
  2. 年間1回(または5年間で5回)、ステータスチェックの依頼ができる。
  3. ステータスチェックを依頼する際には、過去1年の縛りはなく、それ以前でも支払いが継続している期間のステータスチェックができる。(もし、チェック後に登録することがシステム上問題あれば、前回のステータスチェック日以降という制限を設けてもよい)
  4. 5回を越える依頼は、別途追加料金。⇒外部に出す人以外は普通は使わないだろう。
  5. 1年に1回はステータスチェックを受けましょう、という定期的なリマインドは必要。
 上記の場合の特徴、想定される反論と回答は次の通り。
  1. 資格更新前にまとめて5年分申請する人が出るのでは? ⇒必ず出てくるだろう。そういう人は初めの4年間はステータスチェックを実施していないのでお金だけ払っていることになる。コストという観点では以前と変わらず、トータルとして5年間で平均すると1個の学習のステータスチェックの単価が○○円というのはサービス全体としてはこれまでと変わらず平準化できる。
  2. 5年毎にまとめて出す人がでてくると、同時期に申請した人が待たされて困る、ということに対しては、確認期間や件数に応じてステータスチェックの返答期限(回答納期)を数ヶ月単位で大きくすることもできるのでは。どういう順番で作業をするかは、必ずしも到着順でなくてもいいと思われる。例として、最近スーパーマーケットで増えたのは、買い物点数が少ない人のレジ、多い人のレジと列を分けること。多分、少量買いたい人がスーパーマーケットを敬遠していることに対する対応策かと思ったが、そうすることの合理性もある。
  3. そもそも、土木学会技術者資格証は、5年に1回更新(紙ベースで)でというのが果たして今の時代にふさわしいのかも再検証して良いかもしれない。テニスのランキングみたいに、過去○年分の働きに応じて失効したり復活してもいいのかもしれない。 ←この部分はCPDの改善と直接は関係ない蛇足だが。
 今回は、土木学会技術者資格の更新を中心とした、土木学会のCPD登録システムに限定して論じたことを、改めて断っておく。

2020年4月22日水曜日

波及効果とシステム設計

【2020/5/10追記:期間の再延長がなされたので再度当該ページを見ると、「流れ」が提示されているのを確認し、シールが送付されるとのことがわかった。下記の執筆時点で掲載があったのを私が読みそびれて誤認して指摘していると思われるが、その部分を訂正しつつ、記載は残しておく】

運転免許の更新の3ヶ月延長と免許センターが更新休止になったことで、思うところがあるので、長文であるが、書く。

ホームページに情報の発出日が書かれていないので、話の前後関係が見えないのだが、改めてざっと全国の情報を調べると、次のようなことだと思っている。

1)新型コロナウイルス関連の社会的混乱 and/or 拡大防止のために、免許更新の有効期限を延長する措置がとられた。

その場合、あくまでも免許ユーザー側の都合の面が多く(人混みに行きたくない、忙しくなっていけないへの配慮等)、あくまでもユーザー本人が免許センターへ延長の申請をする必要がある。

ユーザーのメリットしては、一度余計に免許センターへ行くが、室内での講習(三密?)を受けるのを延期させることが挙げられる。事態が落ち着いてから改めて更新の講習を受けられると。

2)その後、緊急事態宣言が当初出された7都府県では、更新延長の手続きを行くのも減らした方が良いとの判断で、郵送申請の受付が始まった。その後郵送申請は順次全国に拡大しつつあるようだ。都道府県の判断で実施の有無のため、統一はされていない。

以上については、何となく、わかる。人混みに行きたくないというユーザーの心情に寄り添ったものと言える。新型コロナウイルス自体が個人で望んだものではないという指摘は理解できるが、完璧は存在しないので、形態としてはあくまでもユーザー側の希望で延長したいニーズの範疇であると考えるのは、納得はできる。

ただし、最近になって、別の事情も絡み、不都合があると私は考えた。少なくとも香川県の例では、発表されたのかがいつなのかがわからないが、本日4/22(水)の段階において、4/24(金)から免許更新の受付をストップする。よって、リスクを冒しても免許更新をしたいという人もとにかく物理的に一切免許更新ができなくなった。

なお、最終日の4/23(木)に、明らかに今までよりも集中するのは明らかだが、なぜその猶予日を設けたのかというのもわからない。もっと前からアナウンスがあったのであれば、それほど目くじらを立てなくても良いのかもしれないが、この件はわからないし、本論から外れるので置いておく。

時勢でしょうがないのはあるが、物理的に更新が絶たれたのである。しかし、なぜかこれまで通り、免許ユーザーが別途延長申請をしなければならないというところに私は疑問を感じている。


  • 免許センターに行く場合、まずは延長申請を窓口でして、何かしらの印(しるし)をもらうのだと思われる。そして、3ヶ月の延長申請内で、改めて免許センターに来て普通の免許更新をするということになる。収束しなければ期間が延長される可能性はあるが。
  • 免許センターに行かないで郵送で手続きをすることもできる。HPのお知らせは不案内で、私は当初はそれに気づかなかった。その不満はここで置いておいて、とにかく返信用切手も同封して申し込む。

基本的に免許を更新しない人はいないわけで(更新しない人も一定数いるのはわかるが、基本は延長するというシステムだという意味)、強制的に更新する手段が絶たれた以上、なぜ延長申請というこちらからの申請という行動が必要なのか、窓口に行かなければならないのか(→不要である。自動延長すべきである)というのが私の意見であり、今回の決定はシステム設計がおかしいと思う。

私は、ブログにおいて、個人に対しての非難や、想定し得ないこと(しかたないこと)に対する批判のみ、は避けているつもりだ。しかし、ある方法を検討する際に、①スタンス・考え方がおかしい、②副作用などが十分に検討されていない(MECEに考えられていない)、という観点は常に指摘したいと思っている。

ただ、いつも、私が検討不足の点、気づかなかった点があれば、反論は受けたいと思う。その場合には、追記してこのブログも更新するつもりである。

以下、関係するHPリンクである。魚拓(HPのデータ保存という意味)はとっていないので、その後変更されるかもしれないが。
https://www.pref.kagawa.lg.jp/police/menkyo/enchosochi0.html
https://www.pref.kagawa.lg.jp/police/menkyo/enchosochi.html
https://www.pref.kagawa.lg.jp/police/menkyo/enchosochi2.html



なお、付随した細かい話であるが、以下、関連して気づいた私なりの改善点提案である。


  1. HPにおいて、今回の新型コロナに関する変更等の通知は、情報の発出日を記載すべきである。
  2. 私は4/22の時点で知ったのであるが、4/24から更新手続きを停止するのであれば、最終日となる4/23は、その自体に気づいた人で駆け込み更新が予想される。感染リスクを減らすという趣旨を考えれば、移行期間なしにストップすべきでなかったか。(いつ発出されたかがわからないが、仮に1週間とか余裕をもって集中しないようにしているとしても、そうすると4/24から休止する意図も不明である)
  3. 香川県の5箇所で更新業務を休止する、という通知しかないが、それだと、もしかして、その5箇所以外での更新があるのかな、と思って探すが、更新できる場所が掲載されていないので、全箇所なのかなとも思えるし、そもそも未だに解らない。読み手が欲しい情報と、発信している情報の出し方が食い違っている。
  4. 更新期間の延長の書類が、「更新手続開始申請書」という名称になっており、それが今回の更新延長で必要な書類である、というのが名称からはわからない。記載例を見て、それがわかった。そもそも意味がユーザーにとって不明瞭な書類の名称は改称すべきであり、まだ「様式1」とでもしてもらった方がマシである。とはいえ、今回の新型コロナ騒動は想定されていないと思うので、仮に名称が旧態のままとしても、解釈などHPでの説明を工夫にすべきである。その割には、送付先住所が、「香川県運転免許センター 運転免許係 郵送延長手続担当者」となっており、やっぱり「延長手続」なのである。せっかくなら、初志貫徹で「郵送更新手続開始担当者」として欲しかった(イヤミです)。
  5. 郵送の場合、返信用切手を同封とあるので、何かが送られてくるのは予想できる。それが何なのかを示して欲しい。どんな状態になったら3ヶ月延長になっているのかのゴールを示して欲しい。当初、申請をしたら、県警の方でデータが書き換わるだけかと思っていた(返信切手を読み飛ばしていたので)。免許証の原本は送らないので、シールが送られてきてそれを免許証に貼るのか(他人が貼っても有効になっては困るので、そのシールには申請者の固有番号が入っていないと論理的におかしい)、または延長証明書などの書類があるのか、その情報が必要と思われる。それが全くなく、単に受け付けました、という書類だったら本当に笑える。
    【2020/5/10訂正:以下のページ(pdf内)に更新手続きの流れが示されていて、更新シール(氏名と免許証番号も記載)を貼ることが示されていた。更新したい人には最低限の情報提供されていることを評価できる。ただ、行政HPにある通り、pdfの掲載のみなのでそこに何が書いてあるかの一覧性がないのは不親切ではある。
  6. 5.と関係するが、運転免許証は本人確認書類である。民間(例えばビデオレンタル)でも身分証明書として通用する。一般国民が、今回の3ヶ月の有効期限延長された免許証がどのような表示があるのか、というものが開示されている必要があるだろう。その様なケースは少ないのは解るが、それが筋というものである。変な話だが、私は、警察手帳の原本を見たことがないし頭に入っていないので、刑事ドラマのように警察手帳をチラ見せされても、その人が警察官であるという自信が持てない。それと同じである。
    【2020/5/10コメント追記:前項5の訂正に記したとおりであるが、情報は掲載されていた。ただし、あくまでも手続者のみの情報提供なので、本人確認等する人は知らないしわからない。まあ、そういう人が地元県警のホームページを見るかとなると疑問はあるが、検索したら出てくるようになっている必要がある。日本国として。


疲れてきたので、これで終わる。

色々書いたが、私のブログの購読者も少ないし、管轄する関係者や、そういうネタを探している政治家に伝わるという奇跡もないだろう。ただ、自分だったどうするか、という思考訓練として、良いトピックだったと思っておこう。勉強になりました。

【4/23朝追記:4/23の朝刊全国紙のローカル面において、4/22に休止決定であること、その期間が4/24~5/7であること、が報道されていた。期間の終わりが決まっていたのが正しければ、HPにその掲載がないのはなおさら不誠実と思う。当該新聞以外に裏はとっていないので仮の指摘としておく。】



重複するが、Facebookに先に記載したものを以下そのまま転載する。

++++++++
免許更新について、3ヶ月の延長処置があったが、香川県では免許センターの「更新業務」が休止するために更新に行きたくても行けない。私の自己都合による延長ではない。しかし、規定通り3ヶ月延長をするには、免許センターに行って延長手続きをしなければならない。センターでは「延長受付業務」はしていると読み取れる。

私の自己都合ではない、センター休止に伴う更新不可のため、手続きをせずに自動で読み替えをしてもらえないのだろうか。

3ヶ月以内に免許センターへ2回行くことになる。

とここまで書いていて、当該ページを何回かクリックして郵送というリンクを発見した。郵送で延長申請がもできるので、三密を避けるにはそれが妥当なラインだろうか。

郵送先は「郵送延長手続担当者 宛」であるが、記入して同封する書類は「更新手続開始申請書」である。一瞬だまされたかと思うネーミングがまた、素晴らしい。

同封すべき244円の返信用切手を購入する際の三密と、免許センターで更新延長手続きをする際の三密、を天秤に掛けなければならない。

免許証の原本を送ってスタンプを押してもらうものではないが、「何かいいもの」が返送されてくるようである。それが何かを明かしてほしいものの現時点ではわからない。勝手に推察するが多分「延長しましたシール」なのだろう。または、右の者に延長許可を与えている、という書類かも。その場合、その紙を同時に携帯していないと法律違反になる(妄想)。

いろんな意味で、楽しみである。

2019年10月27日日曜日

コンクリート試験器具の汚れ落とし【ノウハウ】

鉄(鋳物)でできたコンクリート試験器具は、使っているうちにコンクリートが付着した汚れが落としきれずにどんどん汚れが溜まっていく。学校であれば、研究室だけでなく学生実験でも使うので、どうしても汚れが蓄積していく。コンクリートの試験で使うガラス器具のビーカーも然り、すぐに曇ってしまうし、中になぜかセメントが溜まっていることもある。

  • 研究室での実験:メンバーが限定されている、洗浄スキルの教育を受けている、実験精度維持・怠けたら次回困るという洗浄へのモチベーションがある
  • 学生実験:はじめて触るので洗浄の仕方がわからない、多人数でうやむやになる


100回綺麗にしていても、1回誰かが掃除を忘れてしまうと、あちゃーというようなことになる。割れ窓理論ということで、使う前の試験器具が汚ければ、それを洗うモチベーションも薄れるのは実際にあるだろう。


写真:汚れたスランプコーンの例。なお、うちの高専には実習で複数班が同時にコンクリートを練ることができるよう8個のスランプコーンがある。綺麗に管理したスランプコーンもあり、実際にはそちらをメインで使っていることを断っておく。この写真は棚の奥の方から出してきたもの。


私は監査や研究などで生コンクリート工場へ行く機会は少なくないのだが、やはり、スランプコーンなどの用具が綺麗かどうかは職業柄見てしまう。プロの仕事なので、さすがに精度に影響がありそうな内面が汚れていることはないが、外側は手入れを行っている会社とそうでない会社では、だいぶ異なるように思う。

私が前職の横浜国大助手の時に、横浜の東伸コンクリート(東伸コーポレーション)の試験室で、ある技術者の方が、ビーカーのセメントの汚れを取るのに、塩酸を使って洗浄していたのが印象に残っていた。器具をピカピカ綺麗にしており、目から鱗だった。そこでは塩酸は、セメント廃液へのアルカリ中和で使う目的で所有されていたと思う。その方法が使えるかというと、学校ということもあって、洗浄目的で塩酸を使うのは厳しいなと思って、そのまま何もしていなかった。

その後高専へ異動して7年越しとなる最近、メスシリンダーなどがどうしてもセメント成分で曇るのが気になって、ふと、ポット洗浄用のクエン酸を使ってガラス器具を漬けてみたところ、効果てきめん。ガラス・プラスチック製のメスシリンダーを綺麗にすることができた。ガラス器具の場合、見栄え以上に、目盛りを読むために透き通っていないといけない、という目的が強いと思う。

以上は、ガラスやプラスチックの器具の話であった。コンクリートといっても、うっすらした曇り程度の話である。


さて、以下はもっと分厚いコンクリートの堆積の話である。コンクリートの試験をする非常に重要な器具のスランプコーンは、鋳物製で重いし取っ手などが入り組んでいるので、コンクリートで汚れてもブラシ洗浄が十分でなく汚れが残る。外側は汚れが沢山蓄積しているし、本当は綺麗であるべき内面も薄汚れているものもある。

研究で使うものは別途綺麗な器具をキープして使っているが、私自身の個人意見だが、学生実験で使う分は少し精度が落ちても良い、というような考えは多少あった。

コンクリートは一度固まってしまうと強度が出るのでブラシでこすってもとれないし、水でふやかして柔らかくなることもない。その場合、金属スクレーパーでこすり落とす、グラインダーで削る、などするが、スランプコーンはとくに曲面なのでとても難しい。中途半端にこすっても傷つくので良くない。綺麗に削り取る労力を考えると新しいのを買った方が安いともいえる。

そこで、ふと上記のクエン酸が思い立って、試しに5リットルぐらいでクエン酸を溶いてハンドスコップを入れたところ、泡が出始め、1時間ほど漬けてみて、その後水で洗ったところすこぶる良かった。ただし、スコップ内面の角部分に1センチ単位で溜まったコンクリートはとれなかった。


写真:使用前下、使用後上。この写真は、後での検証のときのもので、1時間ではななく1晩漬けた後だと思う。


こんな感じでスタート。全部漬けていないのは、検証のため。


写真:右が使用前、左が使用後。ただし、1つのスランプコーンをやるために、2回に分けるのは億劫。

当初、40リットルのプラスチックの舟で行っていたが、水深が浅かったので最終的には、スランプコーンが横に寝て浸かる、高さの高い容器があったので、それで行った。


写真:スランプコーンがぴったり入る深めの容器。上のスランプコーンは、コンクリートが残ったところを重点的に時間延長している様子。写真右のスランプコーンは、多分モルタル用か何かの小型版なのでサイズ感を見誤るのでご注意を。


写真:クエン酸は、ポット洗浄や掃除用の普通のもの。粉末。


今回行ったのは次のような条件である。

  • 水20リットルに対して、クエン酸約1000g。4日間同じ液を使い続けているが、出し入れ時にロスした分、水を追加して少しずつ薄くなっていくものの、効果は持続しているようだ。
  • できるだけ間口が狭くて深い容器の方が、使うクエン酸が少なくて済む。
  • スランプコーン1つを、日中8時間または夜間16時間つける、1日に2このペースで洗浄。
  • 液から出したら、たわしでこすりながら水洗い。たわしでとれないのは、ワイヤブラシやスクレーパーでこするのだが、コンクリートが少しは柔らかくなっているようでクエン酸をしないときよりもとれる。ひどい汚れは、もう1回追加で漬ける。
  • 表面のコーティングがとれるので、そのままではすぐに赤さびが出るので、雑巾で拭いて乾燥させてから、スプレーオイル(556など)でコーティング。



こびりついたコンクリートは残る場合があったが、まず、広くセメントがうっすら付いているのは明らかにとれて金属の地肌が出る。仮にいくつか追加の削り取りが必要であっても、残ったコンクリートに対して集中的に対応ができるのでそれだけでも効果がある。


注意点としては、酸とアルカリのガスが出るので、絶対に屋外でかつ風通しの良いところで行うこと。細かい泡がじわじわと出てくる。
動画:泡が出ている様子(いわゆる温泉での卵の腐った臭い)



写真:1日2交代で、少しずつ作業が進んできた様子。一番右は、研究用で元から綺麗だったが。


なお、漬ける時間であるが、1時間つけても効果はあり、一晩でももっと効果がある。クエン酸は食用でもあるのでそれほどpHは高くないと思われ、スランプコーンが溶けてなくなる心配はなかった。

デメリットというか課題もまとめておく

  • 表面が白く汚れる(ムラになる)。水で洗ってもとれないので、何か反応していると思われる。それ自体も完全に除去できれば良いのだが。
  • 同様に液体が飛び散った周囲も白く汚れる。水で流せば問題ないはずだが、色は少し残る。まずは影響ない場所で試してもらいたい。
  • 金属面に赤さびがでる。これは、既にできている酸化膜を剥がしてしまい金属の素地がでるためと思われるので、薄くオイルを塗布するなどして対応。見栄えは問わないので、乾いた布で拭くことでも良いはず。フレッシュコンクリートの試験に影響を及ぼさない処理を。



以上のように、コンクリート研究室でのノウハウというのは、多数あるが、器具の洗浄など生活に根ざしたことほどあまり開示されることはないと思われる。ただ、私自身色々なコミニュケーションで参考にさせて戴いたこともあるので、pay it forward として、逆に周囲へ発信する責務もあると思い、お世話になった方への感謝も込めてこのように公開したい。

コンクリートガラの処分方法、コンクリート切断方法等も、各機関様々と思われる。ネタは多数あるので、乞うご期待。

2019年10月21日月曜日

ハザードマップを調べてみた

我が家の備忘録として記載しておく。

今回の台風19号の東日本を中心とした大規模災害では、離れた香川県からリアルタイムでニュースを見ていた。ニュースでしきりに「ハザードマップを確認して下さい」というのが流れていたと思うが、改めて、その時に自分の地域のマップを確認していなかったことに、1週間以上経ってから気づいた。傍観者だった。何を考えていたのだろうかと恥ずかしくなった。


改めて、特に何も考えずにネットでハザードマップを調べたが、自治体が出している紙ベースのpdf資料に行き当たった。そういうものだろうと思って調べていたので、それに行き着いたのかもしれない。

サイトで改めて、自宅と職場のハザードマップを見る。

まず、愕然としたのは、ハザードマップという名前が付いたマップ以外にその趣旨のマップが多数存在したことである。

自治体のポータルサイトのようなものがあるが、その後も検索を続けると、別の部署が作っているマップに出会う、ということを繰り返して、結果として、次のようなマップ群を得た。

 高松市防災マップ(指定された河川毎)
 高松市土砂災害ハザードマップ
 洪水浸水想定区域図
 たかまつ防災マップ
 土砂災害警戒区域指定区域図等

発刊している部署が違えば、発行年次も違う。

あるマップはHPに訂正情報がコメントとして欄外にあるが、pdf自体は更新されているわけではない。変更点は、主として避難場所のネーミングライツに関するものだったので、支障は無かったが。県民ホール→○○ホール等。

地域毎に一覧になっているが、必ずしも自分の町名と対応しているわけではない。●●地区とか。これは、自分の地域は見ることができても、他の地域を探そうとすると、何地区に含まれるのかを文字情報として知っておかないと調べられないことは、億劫であった。

これらの閲覧に関しては、PCであっても、複数の10MB級のpdfファイルのダウンロードと閲覧は、PCに慣れている身としても、少し厳しいものがある。

我が家の近くには、小規模のA川が流れているのだが、マップには、市内でも比較的大きいB川に対する氾濫マップが載っているだけで、B川の氾濫はA川で止まった地図になっており、我が家は安心である。ただし、それに伴って最寄りのA川が氾濫した場合、その地図は存在していないとも読めるので、余り参考にならないかもしれない。もしかしたら、含まれるのかもしれないが、そもそもその様なマニアックなQ&Aがあるわけでもなく、わからない。

と、PCを普段使いこなしていると自負している自分でさえ、億劫に感じたので、スマホのみでは、これらの平行した情報を網羅できるとは思えない。

そこに来て、そもそもそういうアプリがありそうだと、改めて気づき調べてみると、スマホアプリの前に、網羅されたホームページを見つけた。

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【NHKによる、動画でのハザードマップの調べ方】

さらに、こちらも詳しく書かれています(2019/10/22本ブログ記載後に追記)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191021/k10012142841000.html?fbclid=IwAR11PslnZRj4GOE_tc2Mfl9wfe3Y2rnw3PoBlVeHG4WMQPyBf1HWFzB93oQ

そこでも紹介されているが、
【重ねるハザードマップ】
【わがまちハザードマップ】

ただし、既存のデータを集約しただけなので、基本は変わらない。
それに、あるマップのデータは、何のリスクを対象としたものなのか、をきちんと確認すべきである。

前述の通り、B川のリスクが表示されているわけであり、A川は含まれていない、という可能性もあるのである。

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香川県といえば「ため池」。ため池のリスクについて、県内では関心が高い。
「重ねるハザードマップ」には色々なリスクが掲載されているが、仮に香川県の地図を開いて、「ため池」のマップレイヤーを重ねてみて欲しい。・・・・・何も起きません。

解説を読みましょう。

現在収録されているため池のハザードマップは、群馬県、栃木県、千葉県、兵庫県のみである。仮にその4県のため池が決壊しても香川県は安全ですから!(波田陽区風の口調で)
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ということで、マップの特性を理解しないと、間違った使い方になる。


スマホアプリは、まだよくわかっていないので、とりあえずここで終わる。

2019年10月6日日曜日

ヒューマンエラーを防ぐ努力 インフラにおける水野美紀・真紀問題

数学界でのフェルマーの最終定理のように、平成時代に思春期~青年期を過ごした我々の長年の解けない課題に、「水野 美紀・真紀 問題」がある。

ちょうどわかりやすいページがあったのでそちらに譲る。
https://tomitoko.com/archives/6432

さて、以下は、2014年の日本コンクリート工学会での私が幹事を務めた「コンクリート技術者の若手オープン懇親会(100名ぐらいが参加)」の時に、クイズをしたものである。これ系のネタはよく使う。

次のうどんのメニューの名前を、早押しで、かつ、選択肢の中から選ぶものである。

正確には、早押しではなく、指定したアドレスに、選択肢の番号を書いて、メール送信させる全員参加型ゲームである。同じ正解なら、受信が早い方が勝ちなので、みんな慌てて送信する。



鉄板ネタとして、問題を出題している中で、司会の私が「誤って」答えの「かけうどん」を発言してしまう「ボケ」というか「フリ」も入れておく。一斉に「あらら」となる。

そして、選択肢のスライドは次である。


正答は、次の通りであるが。


その時は、会場からは、「掛け布団にしてしまったよ」などの笑いが漏れた。

ということで、とにかく、紛らわしい選択肢は、とっさの時に間違える。これは人間の性であり仕方がない。

ヒューマンエラーを防ぐ工夫が必要である。色を変える、フォントを変える、他。


田中さん、中山さん、山田さん、でも生じうる。
大林さん、林さん、小林さん、中林さん、これは違うか。


で、四国のインフラにおいて、水野美紀問題があることに気づいているだろうか。地元の高松に戻ってきて7年目であるが、当時18年振りに戻ってきたときに、これは違う!と思ったことが2つある。高松周辺は高校生までに自転車で走り回って土地勘もあるが、わからないことがあった。(両親が転勤で高松を去ったので実家は無く、高松に降り立ったのが出張や観光を除いて18年振りだったので)

・当時は高校生であったが、自身が酒を飲むようになったので、飲み屋の店がわからない。
・当時は自転車移動であったが、自分が車を運転するようになった。そもそも高松に高速道路が全線開通したのが大学時代なので、高速道に慣れていない、ということだった。

そこで面食らったのが、高速道路表示における
 高松
 松山
 高知
 徳島
の表記である。この並びであれば、まだましである。

 高松
 松山
縦書きですか?横書きですか?

今年に入り、スマートIC(インターチェンジ)の入り口を間違えそうになったことがある。

府中湖PAに併設されている、府中湖スマートIC で、高松方面に乗るつもりで、1つめの入り口をスキップして、2つめの入り口で入ろうとしていたが、1つめの看板を誤読して、「あれ、ヤバい」と入ろうと曲がってしまった。実際には入り口は少し先なので思いとどまったが、実はこの看板を越えると、見える範囲には、松山方面という表示が無く(その時そう思った)、単に高速入り口、しか書いていないので、そのまま間違えて入るところだった。1回見間違えるとリカバリーが厳しい。

では、疑似体験しよう。

先に断っておく
 東行きには、高松、徳島、神戸(明石海峡大橋経由)
 西行きには、松山、高知、岡山(瀬戸大橋経由)
がある、という位置関係である。

1)インターの100m手前。私は高松に行きたいので、2つめの入口で入ればいいと認識する。正確には、普段よく乗っているので、そのぐらい覚えている。
この看板は、文字が横書き、であることに留意されたい。さらに、ここには、高知の記述がないことも留意。


2)実際の1つめの入口への交差点が見えてきた。でも、行き先の地名を記したフォントが小さいので、あまり気にしないが、元々「これはスキップするぞ(乗らないぞ)」という頭になっている。


3)しかし、その看板が近づいてきたら、文字が目に入ってしまい、「え?」。
一瞬だったが、横書きの「高松」が目に入ってしまった。


で、今回、急いでこの交差点を曲がって入ろうとしてしまったのである。ここの一連の看板表示において、「高知」という地名が新出であった。

4)ちなみに、上記の1つめの交差点をスキップできたら、2つめの交差点には本来乗るべき「高松」の文字が写真のように出る。でも、「徳島」の文字は新出。



ヒューマンエラーになったポイントは次の通りか。
・縦書き、横書きの混在(途中で変化する)
・高松、松山、高知問題のそもそもの存在
・初めに出てきた看板の地名(4つの地名)と次の地名(3つ+3つ)の不一致(増える)

私のブログには、個人攻撃やネガティブ指摘はしないように運用しているが、これは広い話題なので提示しておくこととする。

学問として、ヒューマンエラー、安全管理、などは人並み以上に学び、実践してきた自負はあるので、建設的な指摘として考えている。

2019年1月27日日曜日

トイレの換気扇の交換

築10年を超える自宅マンションを維持管理する必要があり、電気設備が耐用年数を超えていることは以前から気になっていた。

中古で購入した際も、クロスとフローリング交換がメインで、設備はコンロ交換とビルトイン食洗機の設置のみで、各種設備(電気系)の交換を中心に、自分でメンテを考えないとならない。

台所のシンクの蛇口、洗面台の蛇口、風呂の混合栓は、昨年、新品に交換した。部品を買ってきて自分で。そういえば、風呂のシーリング(コーキング)はこの年末年始に1辺のみであるが劣化が大きいところをコーキングし直した。


さて、最近トイレの換気扇の異音が気になってきていた。シロッコファンの羽の洗浄では対応できず、多分モーター自体が経年劣化だとあたりを付けていた。

同じ型番の製品を5000円程度で購入して、付け替えることにした。建設時の設備屋さんが天井ボード施工まで待てなかったようで、天井ボードの上に設置されてしまっているため、全交換をしようとすると、少し天井ボードを切らなければならないのはわかったので躊躇していたが、結局筐体は交換せず、内部の部品だけ交換できる見込みが付いたので、実施することにした。

私は電気工事士の免許を持っているので実施できるが、それ以外は残念ながら不可なので注意を。

厳密には、型番の末尾の数字が違うため後継品にはなるが、大きな部品の形や位置は変わらないようであった。
新品のものを分解した図。今回、一番上の筐体以外を交換する。 筐体は処分するしかない。

以前の換気扇。比較すると見た目の古さも感じてくる。中は頻繁に開けてこれまで掃除してきた。
現行の古い換気扇の内部。シロッコファンの清掃が最近できていなかったが、交換を視野に入れていたので清掃を放置していた面もある。分解するためには、左下の電源ケーブル(Fケーブル)を外さなくてはならないため、電気工事士免許がいるので、本来は一般家庭では分解掃除ができない。何とかならないものか。ファンだけ外せるようになると良いのだが。逆にメーカーがそうさせないように、電源配置をしているのだろうが。

 モーターを取り外す。その後、埃を清掃。

新旧部品の比較。

詳細。余り見せたくないが、後学のためになれば。あくまでも、電気工事士免許が必要である。

モーターを手で回してみると、抵抗と異音が。モーターは分解できない構造になっていたので、グリスアップすれば良いというHPの記述は私には実施できなかった。何か秘策はあったのだろうか。

交換後。綺麗になった。動きも滑らかで静かである。

パネルの色も、以前のアイボリーから白に変わっていて、清潔感がアップした。

以上。

2018年7月18日水曜日

大切な写真データ

12歳の娘が生まれたとき以降、家族が所有するデジタルデータ(主に撮影した写真とビデオ)が12年分で300GBあるのだが、バックアップに外付HDD2台への保存だけでなく、某社のクラウドを利用することにした。

パソコンのSSDに余り空きがなかったので、少しずつ小分けをして、2日間かけて全体の99%のアップロードが完了。アップロードに要した時間は20時間程である。

今朝から家のネット環境がおかしいなと思っていたら、光回線の通信容量制限を超えていたようで、連続する3日間の上り通信容量が50GBを越えると帯域制限がかかるらしく、今朝から発動したようである。3日間は制限がかかるらしい。ただ、ほぼ完了しているので、安心である。

もし地震等で自宅のパソコンやHDDが同時に何か起きても、以後はデータは守られるようになったので、安心である。家のネット環境を光回線に切り替えた今年の1月以降、いつかアップロードしなければと思っていたけれど、半年間先延ばしになっていた。その後押しをしたのは、今回の豪雨災害である。水没したハードディスクも多数データが失われたと聞いている。そもそも流されてPCの在処すらわからないケースもあるだろう。

ここ数年のデータが増える速度は、平均して年間40GB程度であった。ただ、2月に一眼レフカメラを買ったので、今後はもっと増えるのは確実だが、今の1TBの契約容量であと20年弱で容量をアップグレードしなければならないが、そもそも10年後、いや2~3年後だって、ネットワークの常識は変わるだろう。

2018年6月24日日曜日

42歳を迎えて

本日42歳を迎えた。

午前中は部活の引率もある、普通の日曜日であった。

幕末の志士は皆若くして活躍し、若くして亡くなった方も多い。私の中では42歳というのはひとつ感慨深いものがある。香川県の偉人として5本の指に入るのは、大久保諶之丞(おおくぼ じんのじょう)であり、彼が亡くなったのが1891(明治24)年12月、42歳の冬であった。

大久保諶之丞は、香川県の土木技術者であり、政治家である。130年前のアメリカ ニューヨークにかかるブルックリン橋が完成したのを知り、本州と四国に橋をかけるという、当時としては夢物語を提唱した人である。

 四国と本州を結びたい・・・瀬戸大橋 1889年に構想 →1988年完成
 讃岐平野の水不足を解消したい・・・香川用水 1891年に構想 →1974年完成

香川県を縦断して徳島、高知へと繋がる四国新道を建設したのも大久保諶之丞である。今の国道32号線の猪ノ鼻峠越えの旧道にあたる道である。

いま、国道32号線猪ノ鼻峠を貫く新猪ノ鼻トンネルの建設が進んでおり、国土交通省四国地方整備局、および施工者の佐藤工業と共に、新猪ノ鼻トンネルの品質確保に取り組んでいるのが私の一番のライフワークのひとつになっている。

四国においても、新設コンクリートの品質確保の取組みが少しずつ進みつつあるが、この新猪ノ鼻トンネルは四国の実践例の1番目として位置づけても良いだろう。大久保諶之丞が開拓したこの道の数度目の改良に学という立場で携わることができていることに誇りを感じている。その諶之丞が倒れたのが42歳の12月の県議会の場であるとは、私にとって、特別な42歳なのである。


7月から、日本コンクリート工学会四国支部において、品質確保の委員会を私が委員長として2年間の活動を開始する。今動いているプロジェクトを評価するとともに、委員が関心を持つ事項について、勉強したり実践したりしながら、四国方式の確立に向けて実行していきたい。


育った香川県高松市に腰を据えるようになって5年半が経過した。香川県の地で、土木工学、コンクリート工学に携われることに日々喜びを感じている。横浜にいたときとは助手という、今とは立場が違うので、見えているものが違うかもしれないので厳密な比較はできないかもしれないが、都会の大学等の研究者は総合病院の専門医、地方の大学・高専の研究者は開業医の町医者のような感じを持っている。

専門のコンクリートでいえば、今、コンクリートのゆりかごから墓場まで、を担当している。

話は遡るが、横浜にいたときに、日本コンクリート工学会関東支部 若手会21 という委員会に所属し、最後は委員長を務めた。上の方々の方針で、それなりの予算を戴き、自由な活動をさせて戴いたと記憶しているが、私が取り組んだのは、若手の社会人や学生のための見学会の企画であった。コンクリート工学の分野も、専門の細分化が進み過ぎると、自分自身の職業や研究だけを見るようになり、自信やモチベーションが保てなくなったりするのではないかという仮定の下、コンクリート工学全体を一気通貫で勉強する機会を設けよう、ということを提唱して、コンクリートのゆりかごから墓場までツアーを企画した。

骨材、セメント生産、建設、供用、維持管理、取り壊し、というものを1泊2日のツアーで見学するものである。委員の皆さんが積極的に動いて戴き、(実施は私が香川に赴任が決まり、後任の委員長であったが)実施にこぎ着けることができたし、その下調べの段階ではとても勉強になった。

話は戻り、今私は、香川県の地で、骨材、生コン、建設業、維持管理、それぞれの分野の方、民間、公務員問わず仕事をしたり、交流をするようになっている。分野や立場が異なれば、同じものも別の観点で見たり、常識や前提条件が異なったり、そういう中で、連携できること連携すべきことがよく見えてくる。

横浜国大で育てて戴いた結果なのか、私の性格なのか、結果として、いまの研究スタイルが、「色々な分野に飛び込んで、みんなを巻き込みながらやっていく」という形になってきた。そういうやり方と、今の環境がちょうどよくミックスしているように感じている。

色々な方とお会いする機会があり、記録にある最近は、自分の名刺の消費が年間平均500枚である。とはいえ、私が色々な方と交流して、単に「勉強になった」と自己満足して、評論家になっていてはいけない。何か動き出して、成果が出るか、という所が問題であるし、結果を出さなければ誰も見向きをしてくれなくなるだろう。毎日が試行錯誤の連続であるが、とにかく走り続けたい。

さらに、若手を育てる年齢でもあり、自分が動くのではなく、若手に活躍してもらうための場作りも行わなければならないし、それもいくつか実行に移している。四国のコンクリート品質確保についても、私だけが動くのではなく、自律分散的に動くように育てることがひとつのゴールであろう。


さて、ブログの発信、Facebookの発信は、マニアックであるのは認識している。マニアックでないものは敢えて載せていないため、マニアックに見えるだけである(違うだろ、と突っ込まれるのは覚悟で)。

ブログで発信が簡単にできるようになって、世の中には写真も豊富なページは多いが、果たして、技術資料として後世に残すものはどれだけあるであろうか、と考えると、必ずしも多くないと思っている。幸い、そういうことは好きなので、些細なことでも、きちんと取り上げて、徹底的に記載したページを残していきたいと思っており、それが私のオリジナリティーのひとつであろうかと思う。

昨年、ブラタモリのテレビ番組で、黒部ダムの回があったが、そのときに、3000アクセスぐらい、ブログの訪問者が短期間だけ増えた。それは、フランスのダムが決壊したマルパッセダムの記事である。今、マルパッセダムでググると、私のページがWikipediaの次に出てくる。他を見ると、Wikipediaを元に作られたまとめサイト程度である。個人できちんと取り纏めているのは私ぐらいだったように思う。これは一例だが、単に、面白かった、と写真を載せて終わりにせず、今後も実施したいと思っている。

教育ツールの開発も、進めたい。先日、舞鶴高専の取組みを拝見して、上には上がいると感銘を受けた。他者の良いところも採り入れて、愚直に進むことも、極めればオリジナリティーと思っている。良いものを作るのが目的なので、自分で自作することは手段であり目的ではないのである。

土木史についてももっともっと深めたいと思っているし、その経験が、教育や各種実践活動にも深く関係する。そのためにはとにかく時間が必要であり、仕事を効率化して、自分の教養を高めることに投資したい。家の通信環境の再構築も、その一環である。

ということで、41歳の1年間は、色々と自己改革を仕掛け始めた年であったと振り返るし、42歳はそれを使って成果を出していく年と思っている。昨年1年間にお世話になった方々に感謝するとともに、42歳で一層精進することを誓ってこの文章を終える。

2018年4月26日木曜日

「2つ」のもつ意味

1を聞いて10を知る。2を聞いてNを知る。

この言葉は、高校時代、塾で数学を教えていただいた古市先生の言葉である。私の座右の銘を問われれば、この言葉を挙げることが多い(たまに忘れる)。

色々な意味を持つと思っているが、それは本稿では置いておく。


本稿での意味について、簡単にいうと、「1つだけでは全体を理解するのに限界があるが、2つ知れば世界がわかる」。

高専では、力学系授業を教えているが、曲げモーメント、ひずみ、断面二次モーメント、ヤング係数、等は目に見えないし、普段の生活ではあまり使わない概念である。

いくら定義を勉強しても、「そういうものだ」という暗記系になってしまい、単元のテストでは合格するかもしれないが、その後忘れられたり、次に別の形で出てきたときには覚えていなかったり関連があると気づかなかったりで全く使えない。

これは学生が悪いのではなく、教え方や学び方に課題があると思っている。

結論として、別の見方も同時に理解しておくと、理解に繋がると思う。

例えば、「断面2次モーメント」が何なのかの理解について
「定義通りの式が提示できる」に加えて、
「梁の曲げの抵抗にどのように効いてくるのかを示す数値である」ということも頭に入れておくとよい。

それでも若干不足している。曲げの抵抗に関係するのは確かである。ただし、曲げやすくなるのか、曲げにくくなるのか、のどちらに意味がもとれるため、その理解では不十分である。よって、それを補うとしたら、断面2次モーメントが「大きくなると」梁が「曲げにくくなる」という性質まで捉えておくとよい。

よって、2つめは、「梁の曲げにくさを示す指標」としておけば、独立した概念となる。古い教科書を読むと、「曲げこわさ」という用語が使われている。言い得て妙である。曲げ易さではなく、曲げにくさなのである。これは大きく区別すべき重要な概念である。


さて、3次元の物体を、2次元の図面として図化するのに、6面の投影図があればお釣りが来るぐらい十分である。図面1枚は2次元で2つの次元をもつので、次元の数が3を越えるためには、図面2枚があることが必須である。大抵の場合には、2枚の図面から、3次元の形は想像できるのはそういう理由である。こういうものとアナロジーがある。


昨日の授業では、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を求める際に、材料非線形を簡単に計算するために「等価応力ブロック」で置き換える話をした。

等価応力ブロックが何故そういう風になるのか、というのは一見わかりにくい。そういうものだと暗記するのは悲しい。

授業では、

等価なものに置き換える
→力学的に等価なものに置き換える
→力の本質は、大きさ、作用点、向きである。ここでは軸方向を考えるので向きは共通のため除外すると、大きさ、作用点、の2つが、力の本質である。
→等価応力ブロックにおいて、ブロックの大きさは力の大きさに対応する、ブロックの高さは合力の位置を規定するので作用点を表す。
→よって、上記の2つの観点は必須であり、それにより、等価応力ブロックの形状が1つのみに定まるのである。

という話をした。
学生は、そんなこと初めて聞いたという顔をしている。いや、そうではない、と続けた。

実は1年前の構造力学1において、分布荷重が載った梁のモーメントを計算するのに、計算を簡単にするために、分布荷重の中心位置に、分布荷重を集中荷重に置き換えることは普通にやっている。これは、実は上記と同じ作用なのである。

その直後、私には、多くの学生の頭に「!」が見えた、気がした。


という風に1年前の授業と今回の授業の2つが繋がった。これもまた2つである。

追記:この文章を書き終えて、過去のブログを見ていたら、似たようなタイトルで2月にブログ執筆していたことに気づいた。すっかり忘れていた。こちらへ。
 2つの指標でとらえる

2018年2月12日月曜日

リスク回避の能力

交通の冗長性は必要で、それが平時だけでなく地震時、異常天候時のレジリエンスに繋がる。要は冗長性が高いほどリスクに強くなる。ここで言うリスクは拡張すると、会議が延びて出発が遅れたり、帰着が遅くなったり、迷子になったり(笑)も含む。

高松は、地方都市の中でも、交通の冗長性(代替選択制)は非常に高いと思っている。ラッキー、ではなく、私が転職をする際に、暗にそういうことは考えていたのである。交通インフラが冗長性が高いことに価値を見いだして、高松の地に転職してきた、と言ったら若干は盛っているが、あながち間違いではない。一番は高松出身というのがあるが、それを割り引いてもそう思う。

飛行機の便利なところは、所要時間が短いのはあるが、一度予約するとビジネスきっぷを除いて変更がしづらい所がデメリットである。ただし、そのデメリットを補うのが、先方での悪天候の際に条件付き運行になった際には全額払い戻しが選択できることにある。これで大部分は回避できる。
 ついでに言うと、当日購入の価格がべらぼうに高いことは、どうにかならないかと思う。プライベート利用である、身内の不幸の際に、急に飛ぶとなるときには、航空会社が鬼のように思えてくることもあった。その際には、お金なんて関係ないのでどうでも良いが、冷静に考えるとそう思う。正規料金がベースで、前日以前に早く買ったから安いのだ、という航空会社からの説明も、それは説明の仕方の違いだけであって、確率的な分布を見込んで料金設定がされているので、全体の重み付けの話である。スーパーの△割引を月25日間もやっている話に似ている。大事なのは、売上の比率であろう。
 国内便飛行機チケットの売り上げ状況(仮の推定)
  正規料金 35000円 5%
  1日前まで 25000円 30%
  21日前まで 18000円 30%
  45日前まで 13000円 25% 
  大幅割引 10000円 10%
 ホテルとセットのビジネスパック・ツアーパックもそれなりに多いと思うので、換算するともっと安い方にシフトするかもしれない。(高いので国内では少ないと思うが)ビジネス客が買う日付未設定のオープンチケットは、正規料金程度と思うが、わからないので仮に0とする。
 この件は、話がそれるので、論点を整理してまた別のトピックとして書こう。

新幹線の便利なところは、当日まで決めることができることや、東海道線の関ヶ原の雪の遅延を除くと比較的災害に強いことである。さらに、年間1000円程度でエクスプレス会員になると、オンラインで予約ができ、乗車変更が3ヶ月以内であれば何度でもできるというところを考えると、メイン利用だけでなく、飛行機が遅延時の代替手段としては有効である。窓口購入は、そもそも駅に着かないと購入できないことや、災害時には駅は大混雑なので、厳しいと思う。

デメリットは、長い乗車時間であるが、3人掛けの真ん中は厳しいが、それ以外は東京から岡山までは許容できると思う。東京から鹿児島までは厳しい。また、少なくとも高松便は、岡山行き終新幹線にマリンライナーが接続しているので、東京駅の高松行きの終新幹線が20時30分なのは、飛行機にはないメリットであり、特筆に値する。高松行便の最終は、20時頃であるが、余裕を見て東京駅は18時30分は出たいところだ。この2時間近くの差は大きい。また、上記のエクスプレス会員のオンライン予約であれば、比較的窓側がとれる(急な交通手段の変更を検討してから実際にJRみどりの窓口に到着できるまでの時間のタイムラグがあるため)ので、体力温存と電源確保としての新幹線は災害時には有効である。

14:25追記情報: 高松空港の条件付き運航の場合には、レベルが1~3とあるようで、少なくとも高松空港のカウンターでは教えてもらえるとの情報を失念しており、今回改めて指摘を受けて思い出したのでここに追記する(結果、n=2)。推定であるが、ほぼ100%が、周辺の濃霧で飛行機が「着陸」できるかが問題であり、それの裏返しとして、出発機材が確保できるか。私が知る限り、機材さえあれば濃霧でも始発便は高松空港が離陸できるので。ただ、このレベル情報が、高松空港外から電話等で知ることができるか、羽田空港カウンターで知ることができるか、についての情報も引き続き情報収集して蓄積したいと思う。


以下、私の判断事例を提示する。

1月9日の東京出張帰りのフライト。私のミスで羽田空港の定時に明らかに間に合わなかった。たまたま高松空港が雪のため、条件付き運行の案内が出たため、キャンセルが無料となった。よって、運が良く飛行機は全額払い戻しして、上記のオンライン予約で窓側の新幹線も予約ができて、新幹線で帰ってきた。確認したところ、私が乗る予定だった飛行機は、出発の遅延があったものの、無事着陸できている。

2月10日の東京出張帰りのフライト。13:30発のフライトであった。朝から、1時間おきに、条件付き運行の情報がメールできていた。メールが頻繁に来るもので、オオカミ少年のように麻痺して、最後の方は内容を読んでいなかった。通常の条件付き運行なら、まあ、大丈夫だろうと判断してしまっていた。浜松町でモノレールに乗ってから、改めてメールを見ると、ヤバいことに気づいた。天候調査中で、まだ見込みが立たないと。それで、以前のフライトを見ると、2つ前の便が、着陸できずに、高松空港の隣の徳島空港に降りたとの情報が。

この時点で、リスク回避のことが頭をよぎったものの、快速に乗ってしまったので、引き返すポイントが見えない。色々考えて、大井競馬場駅で降りて、逆向きのモノレールに乗換えようとした。すでに天候調査になっているので、確定する時間までにキャンセルすればよい。そのモノレール待ち時間の間、オンラインで、新幹線の窓側を予約できたので、新幹線に決めた。

っと思った瞬間、JALは天候調査を終え、私のフライトが、45分遅れで出発することが決定した。天候調査をした上で、あえて「やる」と判断したのは私の経験が無かったのもあり、これは行けるのではないか、と考えてしまった。新幹線は、再度乗車変更すれば、実質無料キャンセルと同じ扱いだし。

というのは、手荷物が多かったこと、疲れていたので、またこれから4時間以上掛けて陸路帰るのもなんとなくいやだなぁと思ったこと、自家用車を高松空港に停めていること、さらに、車の保険の満期が翌日なのでディーラーに行かなければならないこと(冷静に考えると、車をピックアップしていなくても大丈夫だが、言い訳の1つとして)という言い訳がどどっと私の中に押し寄せて、再度、空港に向かってしまった。

その後、チェックインして、さらに、フライトは延びて、結局65分遅れで14:35離陸となった。悪い予感が立ちこめる。私は飛行機をキャンセルできる手段があったが、選択しなかったのでモヤモヤしていた。満席だったので、他の人はどうしたんだろうと思ったが、元々ツアーやビジネスパックで買っていたら変更出来ないし、新幹線片道の18000円より安い価格で購入している人には、この程度の危機予想では差額の自腹を切って、わざわざ東京や品川駅に移動することまでは考えないだろう。細かくは覚えていないが、15:50頃に高松空港で1回目の着陸を試みるも、濃霧で真っ白で、急上昇の着陸回避。機長から、30分程度高松上空で待ってから、再度着陸を試みると。で、16:30過ぎか、再度試みるも全く同じで、結局、これから伊丹空港に向かいますと。伊丹空港着陸は、17:00を過ぎていたと思う。

着陸後は、地上係員の方が乗ってきて、今後の状況の説明や、JR無料引換券で、新幹線で岡山経由の高松まで戻ってもらう説明があり、書類をもらった。手荷物を預けていたのをピックアップして、17:30だったと思う。

ここまではJALの対応は完璧だったと思う。機長や客室乗務員の対応は問題なかったと思う。むしろ、リスク回避のために動いてくれた判断は尊敬している。さて、私は高松空港に車を停めていたので、そのピックアップのために、費用が発生するので「やわらかく」係員に尋ねたら、清算支払OKの旨の返答があり、カウンターで手続きして下さいと。これが悪夢の始まりだった。まず、先方から名前は控えられたが、私がその初回担当者を名前を聞かなかったのがまずかった。次に、向かった先のカウンターには行列で、かつ、多くが高松便の客で、困難な条件(ツアーや、レンタカー、キャンセル交渉)で、私の番が回ってきたのは30分ぐらいかかった。それから交渉したところ、色々(初回担当者と異なる対応をされたことに)頭にくることがあって、伊丹空港を解放されたのが、18:30。

それから指定された方法としてバスへ新大阪へ、JRで、高松に着いたのが22時。一度空港にタクシーで向かって、車もピックアップして家に着いたのが23時だった。


反省点は次の通りである。直接経費は余り問題ではなく、ロスした時間価値、疲労の方が大きい。結果としては、12時30分の時点で「強くヤバいな」と思った時点で、新幹線に切り替えて、その後の雑音に流されずに一貫して動くべきだった。

振り返ると、途中で判断がぶれたのが悔いの残ることであった。自分がしっかりしていないと、「なんとかバイアス」がはたらくのがよくわかった。

色々考えると、今の私にとって時間が取られることがつらい。自分の判断でJRに切り替えることによって、高松空港への自家用車のピックアップ料金などたかがしれているし、そもそも結果として当初の便で高松に着いていれば、18時頃には高松駅に辿り着いているので、安くリムジンバスにも乗れたし、そんなに致命的ではない。

判断ミス、戦術ミスであるが、自戒のために、次回のために、掲載しておく。

大事なのは、そういう動きをすることで、トータルのリスク回避の勝率を上げることだと思う。1つ1つの結果に流されては、全体を見失う。確率で考える必要がある。そうやって生き残る必要がある。地震の発生確率も引き上げられたし。


2018年1月10日水曜日

懲りなきゃわからないのは悲しいが

交通インフラの定時性が充実してくると、使う側の安全の見込みが小さくなってしまい、ギリギリに行動してしまう。

1/9は、20時5分の最終便で高松空港から東京へのフライト予定であったが、空港まで車で短時間で行ける(最近、1つ長い信号を迂回できる河川沿いの近道を見つけた)安心感もあったのと、どうしても仕上げておきたい仕事に没頭して、フライトまで1時間前にまだ研究室にいた。今回はヤバいなぁと思って、ふとスマホを見ると、到着便遅延のために45分出発が遅れる旨の連絡が入っていて助かった。元の時間でも、十分間に合う時間であるが、精神的に安心して空港に向かった。

とはいえ、こういうギリギリのことをしていると、何かトラブルが発生したときのマージンが一切無いため、避けなければ。交通に限らず、一事が万事で、そういう仕事の仕方はやめなければと思っている。

で、帰りの1/10は、悪い予想どおり天罰が下った。

まず、朝。いつも泊まっている系列のホテルではあるが、会議の場所に近いところを考えて、新橋駅近くのホテルにした。ここは初めての利用で土地勘がない。前夜は45分遅延などで結局ホテルに着いたのは23時で、その日も朝は早かったので疲れており、翌朝起きたのが朝食をゆっくり食べても間に合う時間であったが、大きな余裕はなかった。

まず、最寄りの御成門駅からの三田線が遅延で遅れているらしい情報をキャッチ。地下鉄の新橋駅に変更。ただ、いつも利用する新橋駅といっても広いし、昨日は浜松町から歩いてホテルに着いたので、新橋駅までの移動がよくわからなかった。新橋駅は、広いことを改めて実感。そもそも地下鉄の入口は探しづらい。いつも使う乗り口と違うと、全く別の駅のようで、スマホを見ながら移動してもわかりづらい。このまま移動したら遅刻はしないけれどもギリギリで焦るなぁと思って、竹橋まで3kmなので結局タクシーかなぁと思っていると、目の前に、NV200の新型タクシーが来たのが時の運。つい乗ってしまった。ただし、結果として、数年前に開通したマッカーサ道路の新橋-虎ノ門間のトンネルを通れたのでヨシとしよう。トンネルをくぐるとすぐに霞ヶ関でびっくり。構造物見学として良かった。NV200の車、シートはすこぶる快適であった。


16時に東京竹橋で会議が終わる予定で、最終便の20時のフライトは帰るのが遅くなるので嫌だなと思い、久し振りに、1つ前の18時のフライトを予約していた。竹橋から羽田空港までは、1時間あれば余裕なので、たかをくくっていた。つい、会場にて、17時迄に送らなければならないメールを処理しているうちに、時間の感覚を忘れて没頭してしまい、タスクが終わったのが16:45。やばい。それから竹橋から移動であった。

15分前の17:45までに空港のゲートを通過しなければならないので、結構ギリギリのタイミング。路線検索すると、最短で乗った電車が17:38羽田着となり、(羽田空港が狭いのが選定理由で私はJAL派なのだが、)それでも駅からの移動を考えるとギリギリであった。荷物は預けられないかもしれない。と、色々と考え事をしていて、日本橋と大手町を間違えて降りてしまった。初めは間違えて降りたことに気づかずにあたふたしてしまい、結局タイムアウト。結果として、フライトは10分遅延になっていたので、すぐにリカバーできていればまだ間に合ったのだが、実は途中で高松空港は雪のため引き返す可能性があるという条件付き運航に変わっていたことを知っていたので、もう諦めて新幹線に切り替えようと考えていたので、フライトをキャンセルするためにJALに電話。条件付き運航になった場合にはキャンセル料は発生しないのを良いことに。

無料キャンセル対象のために、キャンセル料が自腹にならなかったのはよかったけれども、さすがに懲りた。また、東京の駅の移動は長い、慣れない駅で迷うことがある、というのは、関東を離れて少し感覚が麻痺していた。


人間懲りないとわからないというのは、寂しいもので、懲りる前に想像がつくはずなのだが、それができなかった。甘えがあったと思う。得をしているようで、見えない安全を削っていたのだ。どちらが得なのか明らかである。

久し振りに懲りた。致命的にならない程度の失敗で良かったとポジティブに考えよう。

別のことであるが、懲りる前に考えろ、想像しろ、と高専の教壇に立って言ったこともあるので、これは言った私が実行できていなかったので反省すべきである。

2017年10月24日火曜日

己の生産性向上

ブログの執筆の第600号目となる。6月生まれということもあり、6の数字は大好きだ。なお、ブログの書きかけの下書きも多数(1割程度)あるので、実際の掲載は若干少ないが。


長時間労働に対して、自分の中で第N弾の働き方改革をしている。第N-1弾は、完全に失敗したとはいわないが、それなりに効果は上がっているような、でもまだ薄いというか。階段を一歩一歩上がっている感じである。

今四国で取り組んでいる「コンクリートの品質確保」は、国交省が進めている「生産性向上」の別の角度から見たものでもあると言っておきながら、それを旗振りする自分自身の生産性が悪くてどうするのか、ということも悶々としてあった。

長時間労働というが、では、何を改めればそれが解消するのか。そもそもの仕事のリストラクチャリングをどうするかという根本的なことと、生産性を高めるテクニックにどうやって投資して使いこなすか、などなど、なかなか決め手がなかった。


そういう中、学外活動では、ここ数年間種を蒔いていた活動が、徐々に芽を出しつつある。ある活動が軌道に乗ってきた、あるプロジェクトが動き始めた、成果が認められてきた、等々。学内活動では、例えば、授業改善に取り組み、懸案だったある授業の評価アンケートが、前年度に比べて5段階評定でおよそ2アップした(前はどれだけ低かったんだ)という自信、など。

自信がつけば、これでいいんだ、という働き方の安心に繋がる。成果が出ないときには、何かに追い立てられるような気分も感じていた。

夏に買ったズボンが直後から履けなかった(これは、太ったというよりは財布やスマホをポケットに入れる習慣を考慮せずに、スリムなズボンを買ったことによる)ので、それを履きたい、という願望も。健康診断の結果が、絶望的では無いものの、ちょっと警戒しなければならない状態になったこと(病院で相談したら、心配するなと言われるレベルだったが)。

一番の決め手は、早く家に帰って家族と過ごす時間を増やすこと、日頃の生産性を高めて、平日終わらなかった尻ぬぐいのために土日を費やすことがないようにしたいこと。

気づいたら、世の中は生産性向上や、長時間労働の改善が急速に進み、(または叩かれないためのアピール?)夜○時以降に外からのメールがぱったり来なくなったこと。来るのは、海外にいる人からぐらい。ふと、それに気づいたときには、恥ずかしかった。


テクニックに走るのではなく、原理原則にしたがって、日々の動き方の改善を図ることにした。細かい詳細は言及しないが、すぐ取り組む、仕事をクラスタリング(分割)して、空き時間を有効に利用する、を実践しており、今までに比べて各段に早く帰宅できるようになったと思う(私が云々ではなく、読者でもある妻が判定する(笑))。


その結果、体調も良くなり、夜遅くに食事をすることが激減しただけで体重も2キロぐらい減って、例のズボンも履けるようになった。精神的な余裕ができると、止まっていた読書量も上がった。


まだ安心はできないが、向かっている方向におおよそ間違いはなさそうなので、中間試験、年末、年度末など、もっと忙しい時期が来ても対応が出来るように前倒しの対応なども併用しながら備えたい。

2017年8月30日水曜日

観光施設の音声案内のスマホアプリ化

観光施設での音声ガイド(イヤホン形や、携帯電話形の音声案内)は利用したことがあるだろう。数字ボタンを押したら音声が流れるやつ。特に、海外に行って、日本語音声ガイドがあったりすると重宝する。たまに、海外で借りた音声案内の声が、有名な日本の俳優だったりして、驚いたり。

ただし、専用のハードウェアを利用し、さらに、料金はプラス500円程度。特に美術館や有名企画展などでは、解説がないとわかりづらいため、私は日本でも比較的利用する方だが、周囲を見渡すと必ずしも利用されているわけではない。逆に人気の企画展では、ハードウェアが貸出し状態で、利用できない場合もある。

お盆に京都を訪れてふと思ったが、これこそ、スマホのアプリで解決できないか。各観光施設毎にアプリ開発ではなく、誰かが共通のフォーマットを作る。うかうかしていたら、グーグルさんが作って、日本のシェアを奪われるかもしれない。

1)アプリは共通フォーマットとする。
2)各観光施設は、番号札の設置および、最低限日本語のテキストを用意する。→しゃべる音声はデジタル音声へ、各国への翻訳は自動。
3)価格は100~200円ぐらいに留め、ワンタイムのパスワードを付与し、1回入力したら二度と使えないようにする。

有名人のアナウンス音声、バックに流れる曲など、こだわりたい観光施設は、そうすれば良いし、最低限協力したい所は、最低限で良い。

例えば、現在利用率1%で500円の価格も、100円に下げたら利用率が10%になれば2倍の売り上げ。しかも、テキストファイルを修正すればその都度、最新の情報になる。
番号札が設置できるのは施設管理者の特権。

もし、うかうかして、それを怠ったら、グーグルさんに、番号札がなくても、GPSと画像認識で、展示物の場所が特定されて、そういうフリーまたは、グーグルに課金されるアプリになって、観光施設の有料音声案内が敬遠されるという悪循環になることでしょう。

絶対に元が取れると思うので、是非、日本のメーカー、開発をお願いします。

と思った、この夏。

既に存在して、特許が取られていたら、私の調べ不足ということでご容赦を。でも、普及はしていないので、それは何故だろう。

2017年8月26日土曜日

アナログ画面

金沢で充実したヒアリングを終えて、これから京都へ。明日の移動を短縮のためになるべく山口に近づきます。

金沢駅の銘店街から、JRに繋がる通路にあったのが、電車/新幹線の出発を表す電光掲示板。よく見ると普通のテレビ画像で、電光掲示板を撮影した映像を流しています。よく工夫してます。不要な部分に黒いテープが貼ってるのも、微笑ましい。予算の制約の中でのサービス提供ですね。




新山口駅で、ホーム外の待合室を見ると、同様のテレビ中継があった。JRではそれほど珍しいことでもないかもしれない。

(フェイスブックから転載、改変)

2017年8月6日日曜日

発展途上の技術

7/2フェイスブックより転載、改変

何だか違和感がある技術、というのは、本質的な性質でなく、まだ発展途上の技術であると考える。それを否定するのではなく、まだまだ技術の発展途上だからと大目に見る寛容さと、同時に技術者には改善の努力が必要。

自動車事故がなくならないことも未だ技術が未熟であるためであり、自動車自体を否定してはいけない。宅急便業界が大変なのも宅急便が悪いのではなく、まだ最適な仕組みができていないだけ。

関連して気になること。
電子書籍は便利だけども、他人に貸すことはできない。特に、子供や学生に紹介する本はリアルでないと今は無理。でもそれを超える新しいパラダイムがあるはず。

電子書籍の個人貸し借りは技術的にできるはず。著者への対価を払わないから貸し借りはダメという人もいるが、その度に著者に対価を払っても良い。技術的に解決できるはず。友達に1週間だけ貸してその時間は自分は読めなくて、1週間後に自動で返ってくるとか。
ジャイアンも、お前、このマンガ俺に転送しろ、とかいじめてたり。

電車でスマホを皆んなが見つめてる光景は、おじさん(私)から見ると違和感。でもこれは、何を見てるかわからないところから来てるのかな。勉強している人もいるわけで。
裏面にもディスプレイがあって、他人に今何をしてるかがわかるスマホ。今、講談社学術文庫を読んでるのがわかったり、恥ずかしい写真集を読んでのがバラバレになるためスマホにカバーしたり。

電話の通話が他人が聞くと違和感があるのは、片方しか聞こえないこと。電話は必ずスピーカホンで話す世の中であれば、普通の会話と同じでたちまち違和感は無くなるのかな。

2017年5月3日水曜日

痒いところに手を届ける 【作品No.6】単行本・新書専用の書架

iPhoneのように全く新しい概念を生み出すことは難しいが、発明だったり、新製品の開発だったり、多くは現状のものを改善するところから始まる。

私だけが困っていて私だけに役立つことは余り紹介しても意味がないし、そのような紹介に留まっていたくない。

2年前の話だが、書架について紹介する。

まずは専門書というか仕事で使う書架について。

オフィスにある普通の棚は、今はA4サイズ、A4ファイルサイズが主流になっていると思うが、そんなの当たり前だと思うだろう。しかし、A4の書籍を置くと、奥行きがだいぶ余る。ブログを書いている手元に無いが、10cm位余る。A4と謳われているボックスファイルを入れると、奥行きがちょうど良くなる。

本棚は、大きければ良いというものではなく、大きすぎると本が取り出しにくくなり、ストレスが溜まる。A4(奥行き30cm)という書架が現状では主流だと思う。もうひとつの規格にA4S(奥行き25cm)というサイズがある。これは、A4サイズの本にほぼぴったりで、さらに、A4ボックスファイルを入れると若干はみ出る大きさである。

はみ出ると、地震時の本の落下バーが取付けられなくなるので、メーカーとしては推奨しないだろうが、実際そのバーをつけているのは少数だと思うので、ここではそれを認めておく。

何が良いかというと、元々あった10cmのスペースが、5cm程度節約できることと、とにかく本が見やすくなるということ、空いた棚板にゴミが溜まりにくいことと、つい天板の前側に頂いたお置物などを置いてしまうことを防ぐ。たかが5cmとはいえ、すっきり感は違う。

私は高専に赴任して、研究室の引越しも1回したが、その書架を買い換えたり買い足したりして、全てA4サイズにして、A4Sサイズを撤廃した。実際には、高専に元々あったのは、古くからある幅90cmもしくは180cmの独立式の棚で、多分B4サイズのものだと思う。よって奥行きは40cm程度。この書架から奥行き25cmに縮小したので、研究室のスペースが増えたような感じで、結果として棚の圧迫感もなくなり、満足感がある。


次に、もうひとつ、別のサイズの書架について紹介する。
私は学生に読ませることを意図して、林文庫を作っている。これらは、文庫、新書、単行本の大きさが殆どで、数えたら99%がそのサイズに収まっていた。これをA4やA4Sサイズの書架に入れると、ガラガラになる。整理ができなくなってくると、文庫本の前後2段置きなどが発生してしまう。

とにかく一覧性が大事なので、それは避けたい。

家具屋さん、色々見てみたが、小さい本(というか、流通している本の主流)を置くための書架がないことに気づいた。文庫本専用、DVDのケース専用、コミックサイズ専用のものはあったが、単行本の主流である「菊判」(21×15cm)の本が過不足なく入る書架を見つけることはできなかった。

棚板は買い足せば良い。でも、奥行きが邪魔なのである。

これが、それ以前の姿。


一般に、書架などの耐久材を購入する際に、大きな本が増えるかもしれないという最大公約数を考えると、大型本は切り捨てる、という選択肢にはなりにくい。よって、私のような限定をすることは少ないかもしれない。

レストランのスパゲッティは何故柔らかいのか、という考察を読んだことがあるが、アルデンテ付近で作るとお客さんから生煮えというクレームが入る恐れがあり、いっそのこと柔らかめに作っておけば少なくとも苦情が出ない、と。それに似たような構図ではないか。

そもそも、研究室において、学生からよく見えるスペースに、これらの本を配置したかったが、通路なので既成の奥行きの棚では邪魔になる、というジレンマを解決する目的もあった。無いものは、自分で作るしかない。大工さんに作り付けの棚を作ってもらうことは不可能ではないが、今回の場合現実的ではない。

以下、2015年7月17日の作品。台風のため学校が休校となり、1日時間ができたため、前から研究室の整備として作りたかった棚を作ることとした。

 時間短縮のため、先にホームセンターで一定幅に切断してもらって購入。



中央の仕切りをずらしている理由は
1)本のジャンルによって場所を分けたいが、数が一定でないため、色々な幅を作った。
2)ネジ止めするのに、上下スペースが必要なため、同じ位置に重ねることができない。
3)意匠としてアクセントを持たせるため敢えてずらす。



 完成。






背板をつけて

完成。ホワイトボードの下のデッドスペースであるが、会議机との間のスペースは小さく、邪魔なものは置きたくなかったのを両方解決。


実際日本を入れるとこのように。斜めから見ても、本の背表紙が書架の棚板に隠れない。写真は2年前で、中身は現在とだいぶ変わっている。


 その後、研究室を引っ越したので、この棚はまた別の位置に置いている。

2017年4月23日日曜日

餅屋に学ぶ または 不作為

久々にタイトルに迷った。

昨日土曜日朝、娘、息子の授業参観。

5年生の社会科。
「写真を見て、わかったこと、考えたことを列挙しなさい」
題材は、輪中のくらし。

わかったこと、考えたことを、沢山列挙してみる。そして、その結果「~~だろう」という言葉の末尾になるはず、と。
→なるほどその通り。今、高専の実験演習の改善を学科全体で取り組んでおり、考察をする能力をどうやって育むかに焦点を当てている。グラフを見て、わかることを列挙しなさい、という授業を先週水曜日にやったばかり。まさに一緒のこと。小学校でもきちんと教育されていることに脱帽。

そして列挙するための制限時間は、5分間。ストップウォッチでなく、キッチンタイマーを黒板に貼り付けていた。ストップウォッチを使って授業はしているが、黒板に貼り付けることは目から鱗。
小さいながら、後ろからでも残り時間はきちんとわかる。

良いことを学ばせてもらった。

先生の、5個以上見つかった人は挙げて、に対して、娘が恥ずかしそうに小さく手を挙げたことは父は見逃しませんでした。よくやった。先生の死角だったためかみんなの前では発表されませんでしたが。


午後、ヨット部の活動。香川県ヨット連盟の普及安全委員長を担当しており、その業務の中で、安全講習会(心肺蘇生講習会)を主催した。高松北消防署の方に来ていただき、2時間の講習を、連盟に所属する、高校4校、高専、大学、ジュニアチーム、合計75名の参加者に対して行った。

その中での質疑応答
・ウエットスーツを着用している場合、AEDはどのようにすれば良いですか。
ある高校の生徒からの質問であった。
→ハサミで切るという回答は期待できたが、消防署員によるとその布地に応じた切れるハサミを用意しろとのこと。ヨットハーバーには、AEDはあるが、ハサミは用意されていないと思われるし、各学校も、ハサミは持っていても、緊急時に出るかはわからないし、そもそもウエットスーツが切れる保証はない。特に、潮風を受けるので、どこの学校の備品も、錆びが発生してるのである。

消防署の担当の方は、学校でハサミを用意しておきなさいとは言ったが、ヨット連盟を代表している立場の私は瞬時に、これはそうではなく、連盟として、ヨット競技場の事務局(高松市管理)として整備しなければならないと思った。思うだけでなく、それに対する回答として、全75名の前で、連盟または高松市の方で、備品を整備すると約束した。そういうこともきちんと実行することが、普及安全委員長の姿だと信じて。

不作為というのは、知っているけど、何もしないこと。安全に関しては、不作為は絶対にあってはならないこと。適切にフィードバックをすることや、最期まで見届けることが、技術者としての責務である。技術者は、失敗したら罪ではなく、動かないことが罪なのである。なお、失敗しても、フィードバックが得られれば、プラスである。

・おぼれた場合、水を飲んでいても、そのまま心臓マッサージをして良いか。
→良い。ああだこうだ言わず、マッサージ優先。そう言われればそうだが、これは自身はなかった。

・AEDの場所はどこか
という高校生からの質問もあった。
司会の私が、場所を知らない人に手を挙げてもらうと、9割以上が挙手。新入生だけでなく全学年参加してもらっているのでこれはまずい状況。

幸い講習会は10分早く終わりそうだったので、ヨットハーバーに戻ったら、学校単位でAEDの場所を確認しておくこと、本日欠席した部員には学校の責任で周知すること、を全体にお願いして、会を終了した。



世の中の事件事故の多くは、専門家や、責任ある立場の人の不作為で整理できることが何と多いことか。実際に知らなくて対応しきれなかった、というのは非常に少ない。

ということで、1日のうちに、別々の場に於いて、専門家から、貴重な示唆を頂いたこと、そして、それを実行しなければならないこと、不作為があってはいけないこと、これを肝に銘じつつ、実行もした日だった。

すぐに、私の授業教材について、キッチンタイマーは、ストップウォッチと入替えた。




2017年4月18日火曜日

学ぶこと

腰痛について、大体の対処法はわかってきているのだが、解決していない課題があった。座り方が悪いというか、椅子が合わないというか、人並みに長時間座り続けることができない。それが問題と感じている。記憶をたどると、小学校1年生からそうであった。今思うと凄いなと思うが、私の小学校1年生の学校に関する悩みは、「体育館で集会などで周囲を見ても自分だけ腰が痛くなること」「給食で野菜が苦手」「学校でトイレに行きたくなる」がトップスリーであった。

年度末色々考えていると、ふと、来年度は少し椅子に投資して座り心地の良い椅子を購入しよう、と思い立った。疲れ知らずの良い椅子を買えば仕事も効率も上がるだろうと。

で、調べ始めて、良い椅子というものが何なのかがわからなくなってきた。ブランドものの10万円を超えるような椅子はもちろん座り心地よいのはわかったが、とりあえず予算とした5万円では何が良いのか決め手がなかった。

調べを続けると、そもそも座り方が間違っていたことがわかった。正しい姿勢は、座骨で座るのである。座るための骨だから座骨というのである、と。

目から鱗であった。記憶を呼び起こしても、「人間は座骨で座る」という教育を受けたことはなかった。覚えていないことを「聞いていない」というのは教師に対して失礼である。その時休んでいたかもしれないし、居眠りしていた可能性もある。とにかく言えるのは、もしかして聞いたかもしれないが、少なくとも頭に残っていなかった。座骨で座る、そんなの常識だと言われるかもしれないが、40歳の今まで、私はそれを意識したことがなかったのである。

「座骨神経痛」という言葉はCMなどで聞いたことはあるが、座骨という言葉を使ったためしがない。

姿勢良く座るには、一般に、背筋を伸ばすように、腰を曲げないように、などと言われていると思う。背筋が伸びていないのは、ラクをしている、気がたるんでいるから、等と言われるが、それをしていても、結局背中が痛くなって続かない、という悪循環であった。ラクしたくて変に座るのではない、それしかできないのである、と心の中で何度叫んだことか。

で、座骨で座るために、正しい姿勢でないと物理的に座れないという椅子があった。アーユルチェア、である。日本で開発されたらしい。標準タイプで5万円。おお、予算にぴったりだ。
コンセプトは、バランスボールと一緒かもしれない。正しい姿勢でないと転んでしまうと。乗馬が姿勢に良いというのも、同じだろう。ダーウィンの法則のようで、姿勢が正しく進化するのではなく、生き残れる(座り続けられる)のが正しい姿勢なのである。

たまたま、3月上旬に東京出張があったので、移動時間を使ってアーユルチェアのモデルルームに行ってみた。座って、実際に話を聞いてみると、良さそう。決めた。

まだ買っていないのに、それ以来、意識して座り方を変えるようになった。自分の椅子に座るとき、他人の椅子に座るとき、車を運転するとき、電車に乗るとき、飛行機に乗るとき、常に意識するようになった。

それから一ヶ月が経つが、アーユルチェアに座っていないのに、座り方が変わってきて、長時間座れるようになってきた。

とはいえ、そうとも言ってられず、先日やっと学校の会計システムが使えるようになって注文をしたので、しばらくして届くだろう。楽しみだ。

この一ヶ月の椅子に関する色々を振り返ると、学ぶこととは一体何だろうと考えさせられた。教員なので、教える側に廻ることが多い。人に届くための必要な情報提供の方法、内容は、どうあるべきなのか。

・背筋を伸ばしなさいという表面的な断片的な対処療法的な指示でなく、座骨で座るという本質的な指示ができているだろうか。
(座骨で座ることが、結果として背筋を伸ばすことになるのだが、私のように、背筋を伸ばすことだけを真に受けると座骨が傾斜したまま背筋を伸ばすことになり、よりおかしな姿勢になっていたのではないか。事後評価なので正確に記述できないが。)
・椅子に投資するという気持ちの変化(モチベーションの変化)が、能動的に動くきっかけとなった。その様なモチベーションを与えることができているだろうか。

深い。

新年度が始まって

新年度に入り気づいたら4月も後半に入りつつあります。

昨年度の激務は一段落しました。若干、昨年度の授業科目のポートフォリオの作成など残っており、それが終わらないと各種授業で使用したプリント類は一掃できないため、まだ、部屋の中が雑然としています。

新年度の校務の大きなものといえば、教務主事補となったことです。入試も担当するので前職の大学で言えば、教務+入試担当という感じですが、担任は別途いるので、学生を直接担当するわけでないため簡単には比較できません。

昨年は、担任+学生副主事ということで、急な呼び出し、学生との対峙という時間が読めない校務が2つ当たっていたため、教育・研究・学生指導・社会貢献をどのようにマネジメントするか時間との闘いだったように思います。積み残しだらけでした。

昨年比較して時間がとれるようになるのは明らかですので、今年は、昨年実現できなかったいくつかのことを実行することが目標となります。

研究を推し進めて、論文もきちんと発表すること
研究室をきちんと運営すること
とりまとめすべき委員会や研究会などをきちんと運営すること
色々手をつけていたことを整理して、外に発信すること
学生や後輩、部下を育てること

これらを、今後10年単位でじっくり腰を据えてやるための基礎固めを行う年とします。

そのためには、時間に追われそうになる、技術士 総合技術監理部門の受験はスキップすることにしました。大学の同期生は、把握している限り2名取得していますが、今年は我慢。ですが、総監的なマネジメント力を使わないと上記のことは達成できないと思いますので、それを実行する年かと思います。
行き当たりばったりで上記に対応するのではなく、監理、マネジメントを意識しながら行う必要があると思います。

さらに、家族と過ごすこと、家族で成し遂げることなどを改めて年間スケジュールを立ててそのために働く、というスタイルができればと思います。先日、1年間で家族で体験したいことをリストアップしました。潮干狩りが次の目標です。香川県観音寺市で、凄い潮干狩りができるらしい! 終わったら報告します。

2015年6月15日月曜日

繋がる、芽が出る

本日は、構造物管理者である某所にて、情報交換。

私からは、新設構造物の品質確保、表面吸水試験、などについて情報提供し、先方からは現在抱えている耐久性・維持管理上の問題について説明いただきました。

劣化メカニズムがよく分からない案件でしたが、解明のためのいくつかのヒントがぱっと浮かんできました。

それは、もう10年前になりますが、前職の横浜国大で細田先生が始めた構造勉強会に参加して、古典ともいわれる、分野毎の著名な論文を読む会で読んだ論文でした。それは、東工大の長滝先生、大即先生らの一連の腐食の研究に関するものでしたが、現在でも引用されています。

もう1つ、横浜国大で開催された(した)、何回目かの勉強会での大成建設の丸屋さんの講演において、冒頭の話しはじめのとある写真とその説明も、印象に残っており、それがヒントとなりました。

土木学会335委員会の現場調査で、他の委員の方が実施されていた試験手法も、当時手伝ったり身近で見てきたことも、ヒントになりました。

全て私が経験してきたことで、それが、今日の打合せでポツポツと出てきて、繋がってきました。自分で言うのも何ですが、これらの経験が決して無駄にはならず、10年近く経て、引き出しから出てきた、という感触です。その時の経験が、まさに私の血肉になっていたのでした。

謙遜すると、これで終わりではなく、これをきっかけに、どう一歩を踏み出せるかがかかっているわけですが、少なくともスタート地点に立てたことは、良かったと思います。高専に戻り、先ほど、メールであるアクションの提案をしました。


反省点を考えてみます。10年前のことは良かったとしましょう。では10年後の自分への投資は、今できているのか、ということもボディーブローのように効いてきます。上記の10年前からのインプットは、当時の上司であり、同士(と、本人がおっしゃる)でもある細田先生がきっかけになっているものが殆どで、自分からのアクションではありませんでした。

最近の、香川県の現場でのアクションの経験という意味では充実はしているけれども、ここ高専では、論文のインプットが大きく落ちていることは自覚しています。今日のきっかけは、そういうことに自らポジティブな側面で気づかせるものであったと、ポジティブに考えています。

だれも、文献読め、と怒られて読む気になる人はいないでしょう。でも、今日のポジティブな体験を経て、貯金を使ってしまったから、また貯めておこうという気になりました。


きっかけは何でも良い、とにかく、自分が動くこと、動ける方法を模索すること。

ブログの移動(に近いもの)

表現活動の主体をnoteに移行しました。時間をかけた論考などはnoteに集約するようにします。こちらのブログはアーカイブとして残しますが、過去に力を入れた執筆したものは、再編集してnoteに投稿することもあります。 https://note.com/hayakazuh このブログ...