2018年10月15日月曜日

専攻科授業:有限要素法についての予習課題について

以下、授業の受講学生への周知文章ですが、共通するところもあるので、記載しておきます。メッセージ送信の語数オーバーというのもありますが。

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明日の輪講の予習についてコメントします。

まず、「予習の質問」の意図が伝わっていない恐れがあります。不安な人は、初回ガイダンス資料を再読して下さい。

「2.相手や自分が理解を深めるための質問」は、本書の技術的な内容を理解するための質問、すなわち「発問」です。質問のジャンルは、有限要素法の技術的な理解に関するものに限定する必要があります。なお、2の質問は、予習では必須です。

「1.わからなくて自分が知りたい質問」については、上記に限定はされないので、関連した質問でも構いません。ただし、下記の通り、少なくとも技術的な質問は含めるようにして下さい。全くない場合には、まずは、自分の読み込みが浅いと疑ってみて下さい。それでもなければ結構なことですが。

その他、いくつか具体的な指摘をします。
1)「1.わからないこと」の質問は、書式の欄外に書いたとおり、事前に徹底的に調べてから、それでもわからないことを記入して下さい。ググったり、Wikiを見たりして解決することは書かないで下さい。Wikiで○○と書かれていたが、それでもなお、△△の観点で、◆◆の意味がわからない、という風に。良いアドバイスが得られるように、可能な限り、わからない範囲を狭めるようにして下さい。

2)質問は、完全な文章で記載すること。
例えば、「○○について」だけでは、質問になっていません。文章とは、主部と述部がはっきりしている必要があります。

3)本書の本質を理解することに注力して、質問の優先順位を定めて下さい。時間は90分しかありません。その中で一番理解したい内容を考えてみて下さい。
予備知識として気になったこと、日本語の表記で気になったこと、などは、有限要素法の本質の理解から言うと、優先度は低いと思います。最終目的は、本質を理解すること、少なくとも概要を理解することです。誤解を恐れず言えば、試験中に、1つ自由に質問して良いと言われて何を質問しますか、ということです。

例えば、本書が、さぬきうどんの作り方、という技術書だったとします。読んでいる過程で、店舗の数、1杯の価格が気になるかもしれませんが、本質とは離れています。質問に優劣はないにせよ、うどんの作り方を学ぶという点では、明らかに優先度は低いです。優先度が高い質問を考えることも、勉強をすること、研究をする上で必要な能力です。

あくまでも、本書の本質を理解することが授業のテーマです。

4)質問は具体的であること。
望ましくない例1:「○○について、もっと詳細な説明が欲しい。」主観的であるため、答えられません。そもそも、あなたの要望であり、質問形式になっていません。
望ましくない例2:「1/2Pδとなる意味がわからない。」質問の意図が広すぎて、不明瞭です。推察するに、多分、1/2が着く理由が欲しいのだと思います。その場合には、「エネルギーを表すのでP×δの項がある所までは理解できるが、なぜその頭に1/2が着くのかを知りたい。」という風に書けば、具体的なので、質問の意図がわかります。

以上

2018年10月11日木曜日

新聞紙の橋でギネス世界記録に挑戦

香川高専 建設環境工学科チーム は、新聞を用いた橋を作る競技において、ギネス世界記録に挑戦します。3分間で8名で橋を製作する競技で、高専1年~5年生が参加します。

2018/10/13(土) 14:40~ サンポート高松 にて。
RNC西日本のイベントで、テレビで生中継されます。

詳細は下記リンクまで。是非、応援お願いします。

イベント会場には、NTV枡アナウンサー、ブルゾンちえみ、荻野目洋子、も登壇します。土曜日はサンポートまで。

私は監督・引率なので、舞台の陰から見守るだけですが。

頑張れ!

http://www.rnc.co.jp/event/65th/guinness.html

2018年8月16日木曜日

四国でのコンクリートの品質確保に関する近況など

色々と動きがありすぎて、書き切れないのであるが、書かないと他人から見たら何もやっていないように見えるので、書く。こまめに書くことの効果は、頭ではわかっているが実践できていないのが課題。

7月4-6日 日本コンクリート工学会(JCI)年次大会in神戸 への参加。学生コンペ(キングオブコンクリート)に、高専から唯一エントリーして、闘ってきた。こういう大会に参加する高専生は、専攻科生が多いものと思うが、地元ということもあり、色々加味して本科5年生が3名参加した。殆どが大学という20チームの中で、強度部門では7位に入るなど、健闘したと思っている。期間中、高専唯一ということで、沢山応援を戴いた。また、出場チームの大学生も、高専編入している学生からも声かけを戴いた。続くクイズ部門で敗退したが、3名のうちそれぞれ1問ずつ正答ができて、良い経験を得たと思う。

7月12日 日本コンクリート工学会四国支部に、新しい委員会を立ち上げた。「四国における新設コンクリート構造物の品質確保の実践に関する研究委員会」という名称で、私が委員長、幹事長に香川大学の岡﨑慎一郎先生。岡崎先生とは、彼が東大生研の博士学生の時から、表層品質の委員会で活動をしてきて、一緒に沢山の現場調査にも参加している。高松高校の同窓生でもある。タッグを組みながら、四国の品質確保に取り組みたい。
民間の方からも多数入っていただき、良い議論ができたと考えている。これに関して、品質確保のホームページを作っているので、こちらも参照いただきたい。コンクリート新聞の取材も受けたので記事も転載している。

7月25日 四国地整と連携して、念願のフライアッシュの試行工事を行ってきた。この日は、3日目のコンクリート打ち込み日で、やっと都合が合ったので、見学会としてJCI委員も参画して見学を実施した。ちょうど、日本中の熱波で連日35度越えの最中で、過酷なコンクリート打込み環境の下の試行工事となった。色々と学ぶところがあって、やって良かった。この現場では、脱型時期や養生法法等を敢えて変化させた研究も仕込んでおり、今後非破壊検査での検証なども控えている。

7月27日 こちらは、香川県生コンクリート工業組合と建設業組合支部青年部との合同研修会であった。聴講として参加させていただいた。テーマは、「圧送」。圧送の分野では、日大の中田先生が有名で、今まで名前しか知らなかったのだが、講演とパネルディスカッション、懇親会を通じて、先生の考え方、やり方に共感した。まさに私が四国で行おうとしていることとベクトルは一緒である。また、その中で、また何名かの県内のキーパーソンとお会いして、さらにヒアリングをすることになった。

7月31日 香川県建設技術センター主催の講習会に、講師として参加。コンクリートの基礎ということで、発注者の方20名程度に、品質確保の話をした。午後は参加できなかったので、残念だが、こういう貴重な機会を通じて、PRしていきたい。

8月9-10日 ブログの別記事で書いているが、横浜国大コンクリート研のご一行を香川、徳島、高知にお迎えした。この件は、さらにブログ記事は増やしていく。その中で、私自身、今回は「満濃池」についてゼロから勉強して、臨んだ。満濃池土地改良区に事前ヒアリングして、満濃池だけでなく、以前から香川県コンクリート診断士会を通じて、農業土木の維持管理のことも聞いていたので、さらに理解が深まった。徳島の世界に誇る「青雲橋」、高知の「上吉野川橋」も、今回初めて訪れて、素晴らしかった。

8月11日 一級河川 土器川の調査。豪雨による河川災害が増えているが、土器川は以前から課題を抱えており、近年私も河川の研究者と一緒に検討を進めている。実際に数時間行動を共にして現地を見て、現状把握ができた。構造物管理者と連携したあるプロジェクトも動き始めている。紹介できる段階になれば、アップしたい。


夏休み期間は、授業がないだけで、研究や社会活動はどんどん進めている。むしろ出張を多数入れるので、普段より忙しいぐらいかもしれない。

以下予定しているもの
8月~9月 生コンへのヒアリング2件(1件は初めての小豆島にある生コン)
8月 建設業界との品質確保についての意見交換会
8月20-22日 高専フォーラムin名古屋 の主催
8月25日 香川県コンクリート診断士会 第12回定例会
8月29-31日 土木学会in札幌に合わせて、北海道の品質確保意見交換会、フライアッシュ・生コンのヒアリングの実施

9月10日 品質確保委員会 第2回委員会
9月中 四国地整の産官学会議の実施
9月中 試行工事の表層品質調査

などなど。

今年は、昨年度までに種を蒔いたことの、実践の年と思っていたが、まさにその様になりつつある。

2018年8月13日月曜日

ハートで感じる見学会(1) 旧香川県立体育館、香川県庁東館

 題名はわかる人にはわかると思うが、大西泰人(おおにし ひろと)氏の「ハートで感じる英文法」にちなんでいる。ネイティブにとっては、文法は暗記ではなく、必然性から自然と英語が出てくる。大西氏はその感覚を養うことが大事だと提唱している。私の物事の理解も全てそれに基づいており、共感でき、今の高専での授業でもそうありたいと思っており、暗記はするな、こうやって考えるんだ、という授業設計をしているつもりである。以下に示す話も、単発の技術ではなく、なぜそうなったのかという流れを中心に理解したいし、理解してもらいたいという考えに基づいている。振り返りや、今後の再利用のことを考えて取りとりまとめたい。長くなるので、場所毎に分割することにする。

 母校かつ以前の職場であった横浜国大のコンクリート研究室が夏合宿として香川を訪れることになった。主として香川県部分の段取りのお手伝いをさせていただいた。幹事の学生に合宿のテーマを聞いたところ、「原点回帰」との返事だったので、私なりに考えていくつか提案させてもらった。
 夏合宿の大きなテーマは、古いもの新しいもの、コンクリートか否か、土木か否か、こだわらずに、良質のものをしっかり見て考える、というものであると思っている。望むべくは、単に受け身で参加して「面白かった」という「感動の消費」で終わることのないものであれば良い。そうなるかどうかはどちらかというと参加する側の姿勢にかかっているが、できるだけ前後に繋がるようなテーマ設定だったり、説明だったり、を考えてみた。

 今年は、瀬戸大橋30年、明石海峡大橋20年という記念すべき年でもある。結果として、明石海峡大橋の主塔を見学してから、香川に入る行程となった。この部分は携わっていないのでノーコメントとする。ただ、原点というなら、瀬戸大橋が良かったし、大鳴門橋も建設年代という意味では突出している。今回2日目の最後に見た瀬戸大橋のモデル橋とのペアであれば、瀬戸大橋を是非、というのは今でも変わらない。

 香川県の見学先の1つめとしては、デザイン知事と呼ばれた金子正則知事が推し進めた開かれた政治、開かれた公共建築、を体現した、旧香川県立体育館、香川県庁舎東館とした。建築分野の方からは、これもいいけど他にももっと良いものがある、とご指摘を受けるかもしれないが、まだまだ建築分野以外には世の中に知られていないこれらを見てもらいたかった。現代の公共建築の原点であると思う。

 高松で2013年に丹下健三展が開かれたのをきっかけに私自身も相当に勉強していたつもりであったが、今回は建築家で「香川県立体育館保存の会」の会長をされているカワニシノリユキ氏に説明をお願いすることになった。私自身改めて別の人から話を聞くことで得ることもあったし、これらの場所では、私が少し離れた立場でコメントをすることもできたので、依頼して良かったと思っている。カワニシ氏には、翌日の見学にも参加してもらえることになり、色々と彼の考え方に触れることができた。

 県立体育館は、2014年に耐震改修の入札が2度に渡り不調になり、それ以後使用がストップしている。丹下健三が設計した、世界でも有数の建築遺産であり、「ワールド・モニュメント財団」から「危機遺産」として認定されている。舟形の体育館であり、地元からは県立体育館よりも舟の体育館と呼ばれて親しまれていた。私が中学生の時には、バスケットボールの大会でよく舟の体育館を訪れていた。
 清水建設が施工しているが、日本を代表するトップエンジニアのひとり渡辺泰充氏(元 清水建設)のお父様が同じ清水建設の渡辺泰臣工務課長としてこの工事に携わっている。渡辺泰充氏は、私の母校、高松高校の大先輩でもある。さらに、渡辺泰充氏のお嬢様が、横浜国立大学 土木工学科の先輩にあたる。親子3代にわたり、高松、横浜、コンクリートのキーワードで繋がっている。

 構造に関しては、今年4月にカワニシ氏らが主催した写真展に詳しかったのであるが、まだまだ私の中では勉強不足であった。この部分は近いうちに補って、誰にも負けないような説明ができるようにしておきたい。1つ楽しい宿題ができた。

 香川県庁東館は、現在、免震工事中である。スレンダーなこの建物も同様に耐震で問題があり、検討の結果、免震工事を行うことになった。残念ながら、1階のピロティ部分を直接見ることはできなかったが、外観、今回特別に入らせて戴いた2階のホール、そして一般の方も入れる低層棟の屋上から至近で見ることができた。

 耐震改修中に、什器(家具類)の一部が東京で展示されている。森美術館の建築の日本展である。
 以下のページに、香川県庁東館の家具類の詳細が載っているので紹介する。
https://ameblo.jp/art-masciclismo/entry-12380406880.html

 次に示す2枚の写真は、ともにカワニシ氏からの提供である。確か21mm相当の広角レンズとのこと。





2018年7月18日水曜日

大切な写真データ

12歳の娘が生まれたとき以降、家族が所有するデジタルデータ(主に撮影した写真とビデオ)が12年分で300GBあるのだが、バックアップに外付HDD2台への保存だけでなく、某社のクラウドを利用することにした。

パソコンのSSDに余り空きがなかったので、少しずつ小分けをして、2日間かけて全体の99%のアップロードが完了。アップロードに要した時間は20時間程である。

今朝から家のネット環境がおかしいなと思っていたら、光回線の通信容量制限を超えていたようで、連続する3日間の上り通信容量が50GBを越えると帯域制限がかかるらしく、今朝から発動したようである。3日間は制限がかかるらしい。ただ、ほぼ完了しているので、安心である。

もし地震等で自宅のパソコンやHDDが同時に何か起きても、以後はデータは守られるようになったので、安心である。家のネット環境を光回線に切り替えた今年の1月以降、いつかアップロードしなければと思っていたけれど、半年間先延ばしになっていた。その後押しをしたのは、今回の豪雨災害である。水没したハードディスクも多数データが失われたと聞いている。そもそも流されてPCの在処すらわからないケースもあるだろう。

ここ数年のデータが増える速度は、平均して年間40GB程度であった。ただ、2月に一眼レフカメラを買ったので、今後はもっと増えるのは確実だが、今の1TBの契約容量であと20年弱で容量をアップグレードしなければならないが、そもそも10年後、いや2~3年後だって、ネットワークの常識は変わるだろう。

2018年7月12日木曜日

等価交換、適切な価格

先にブログで殴り書き公開した内容。後に推敲するかもしれないが掲載する。

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利用料、工事代金というのは、原価のものを買うよりも、人件費や償却費などの金額が上乗せされているので、価格は大きくなり、その結果感覚的に高いなぁと思うことはある。しかし、人は、提供する側に廻ることもある(私は、消費者でもあり、サービスを提供する側でもあること)ので、諸々を考えると、全ての値段は等価であると思うことにしているし、そうしないとデフレで社会が廻らない。

身近な例では、私が知っているとある学校では、近距離の高速道路の利用は不可となっている。その料金を負担するのは、支給でなく自分の研究費なのに、近いからという理由で使えないのである。

家のウォシュレット交換程度であれば、電気屋で買って自分で取付けたらほぼ原価でできるし、業者に頼めばプラス数万円かかるので高いぁあと思ったりする感覚はある。でもエアコン工事はできないし、やろうと思ったらそもそもコンプレッサや専門工具を買う初期投資があるので馬鹿らしいし。

提供する側が適切な利潤を載せている場合には、納得できるならそれを利用すべきだし、自分でやりたいひとはやればいいし、高速利用でなく一般道で時間をかけて走りたい人は走れば良い。でも、そのサービスを利用したい人に対して、高い、贅沢なという理由で使用が制限されるべきではない。あくまでも等価であるため、贅沢ということはない。

家事を自分でやるのか、外部委託するのかも、同じだと思う。

表記の知り合いの学校の人に対しては、その人は現時点で内部のしかるべき人に伝えているそうなので、それ以上は関与せず、その人がしかるべき立場になって影響力が広がったときに変えれば良いとアドバイスしている。

2018年6月24日日曜日

42歳を迎えて

本日42歳を迎えた。

午前中は部活の引率もある、普通の日曜日であった。

幕末の志士は皆若くして活躍し、若くして亡くなった方も多い。私の中では42歳というのはひとつ感慨深いものがある。香川県の偉人として5本の指に入るのは、大久保諶之丞(おおくぼ じんのじょう)であり、彼が亡くなったのが1891(明治24)年12月、42歳の冬であった。

大久保諶之丞は、香川県の土木技術者であり、政治家である。130年前のアメリカ ニューヨークにかかるブルックリン橋が完成したのを知り、本州と四国に橋をかけるという、当時としては夢物語を提唱した人である。

 四国と本州を結びたい・・・瀬戸大橋 1889年に構想 →1988年完成
 讃岐平野の水不足を解消したい・・・香川用水 1891年に構想 →1974年完成

香川県を縦断して徳島、高知へと繋がる四国新道を建設したのも大久保諶之丞である。今の国道32号線の猪ノ鼻峠越えの旧道にあたる道である。

いま、国道32号線猪ノ鼻峠を貫く新猪ノ鼻トンネルの建設が進んでおり、国土交通省四国地方整備局、および施工者の佐藤工業と共に、新猪ノ鼻トンネルの品質確保に取り組んでいるのが私の一番のライフワークのひとつになっている。

四国においても、新設コンクリートの品質確保の取組みが少しずつ進みつつあるが、この新猪ノ鼻トンネルは四国の実践例の1番目として位置づけても良いだろう。大久保諶之丞が開拓したこの道の数度目の改良に学という立場で携わることができていることに誇りを感じている。その諶之丞が倒れたのが42歳の12月の県議会の場であるとは、私にとって、特別な42歳なのである。


7月から、日本コンクリート工学会四国支部において、品質確保の委員会を私が委員長として2年間の活動を開始する。今動いているプロジェクトを評価するとともに、委員が関心を持つ事項について、勉強したり実践したりしながら、四国方式の確立に向けて実行していきたい。


育った香川県高松市に腰を据えるようになって5年半が経過した。香川県の地で、土木工学、コンクリート工学に携われることに日々喜びを感じている。横浜にいたときとは助手という、今とは立場が違うので、見えているものが違うかもしれないので厳密な比較はできないかもしれないが、都会の大学等の研究者は総合病院の専門医、地方の大学・高専の研究者は開業医の町医者のような感じを持っている。

専門のコンクリートでいえば、今、コンクリートのゆりかごから墓場まで、を担当している。

話は遡るが、横浜にいたときに、日本コンクリート工学会関東支部 若手会21 という委員会に所属し、最後は委員長を務めた。上の方々の方針で、それなりの予算を戴き、自由な活動をさせて戴いたと記憶しているが、私が取り組んだのは、若手の社会人や学生のための見学会の企画であった。コンクリート工学の分野も、専門の細分化が進み過ぎると、自分自身の職業や研究だけを見るようになり、自信やモチベーションが保てなくなったりするのではないかという仮定の下、コンクリート工学全体を一気通貫で勉強する機会を設けよう、ということを提唱して、コンクリートのゆりかごから墓場までツアーを企画した。

骨材、セメント生産、建設、供用、維持管理、取り壊し、というものを1泊2日のツアーで見学するものである。委員の皆さんが積極的に動いて戴き、(実施は私が香川に赴任が決まり、後任の委員長であったが)実施にこぎ着けることができたし、その下調べの段階ではとても勉強になった。

話は戻り、今私は、香川県の地で、骨材、生コン、建設業、維持管理、それぞれの分野の方、民間、公務員問わず仕事をしたり、交流をするようになっている。分野や立場が異なれば、同じものも別の観点で見たり、常識や前提条件が異なったり、そういう中で、連携できること連携すべきことがよく見えてくる。

横浜国大で育てて戴いた結果なのか、私の性格なのか、結果として、いまの研究スタイルが、「色々な分野に飛び込んで、みんなを巻き込みながらやっていく」という形になってきた。そういうやり方と、今の環境がちょうどよくミックスしているように感じている。

色々な方とお会いする機会があり、記録にある最近は、自分の名刺の消費が年間平均500枚である。とはいえ、私が色々な方と交流して、単に「勉強になった」と自己満足して、評論家になっていてはいけない。何か動き出して、成果が出るか、という所が問題であるし、結果を出さなければ誰も見向きをしてくれなくなるだろう。毎日が試行錯誤の連続であるが、とにかく走り続けたい。

さらに、若手を育てる年齢でもあり、自分が動くのではなく、若手に活躍してもらうための場作りも行わなければならないし、それもいくつか実行に移している。四国のコンクリート品質確保についても、私だけが動くのではなく、自律分散的に動くように育てることがひとつのゴールであろう。


さて、ブログの発信、Facebookの発信は、マニアックであるのは認識している。マニアックでないものは敢えて載せていないため、マニアックに見えるだけである(違うだろ、と突っ込まれるのは覚悟で)。

ブログで発信が簡単にできるようになって、世の中には写真も豊富なページは多いが、果たして、技術資料として後世に残すものはどれだけあるであろうか、と考えると、必ずしも多くないと思っている。幸い、そういうことは好きなので、些細なことでも、きちんと取り上げて、徹底的に記載したページを残していきたいと思っており、それが私のオリジナリティーのひとつであろうかと思う。

昨年、ブラタモリのテレビ番組で、黒部ダムの回があったが、そのときに、3000アクセスぐらい、ブログの訪問者が短期間だけ増えた。それは、フランスのダムが決壊したマルパッセダムの記事である。今、マルパッセダムでググると、私のページがWikipediaの次に出てくる。他を見ると、Wikipediaを元に作られたまとめサイト程度である。個人できちんと取り纏めているのは私ぐらいだったように思う。これは一例だが、単に、面白かった、と写真を載せて終わりにせず、今後も実施したいと思っている。

教育ツールの開発も、進めたい。先日、舞鶴高専の取組みを拝見して、上には上がいると感銘を受けた。他者の良いところも採り入れて、愚直に進むことも、極めればオリジナリティーと思っている。良いものを作るのが目的なので、自分で自作することは手段であり目的ではないのである。

土木史についてももっともっと深めたいと思っているし、その経験が、教育や各種実践活動にも深く関係する。そのためにはとにかく時間が必要であり、仕事を効率化して、自分の教養を高めることに投資したい。家の通信環境の再構築も、その一環である。

ということで、41歳の1年間は、色々と自己改革を仕掛け始めた年であったと振り返るし、42歳はそれを使って成果を出していく年と思っている。昨年1年間にお世話になった方々に感謝するとともに、42歳で一層精進することを誓ってこの文章を終える。

通信環境の再構築

通信環境を再構築するのが、我が家の課題であった。1年半かけて本日切り替えが完了した。

1.携帯電話

ボーダフォン時代からなので20年ぐらいソフトバンクを使ってきたが、郊外での電波の繋がりの悪さ、そして高い料金、古くからの契約者の軽視などで、嫌気がさしていた。土木工学でコンクリートの調査や現場へ趣くことが多いので、1番目の理由は一番大きいように思う。

先に私が更新月になったのが、1年半前。iPhone6を使っていたので、SIMフリー端末にはならないため、色々考えた結果、iPhoneSEのSIMフリー版(5万円ぐらい)を新規購入し、MNPでdocomo系の格安電話会社を探すことにした。結果として、iPhoneが小さくなって良かった。

繋がりやすさといえば、今はauの方が評判が良いようであるが、1990年代の巨人docomoの田舎に行っても繋がる安心感を知っている身にとっては、docomoブランドは私にとって憧れの的であった。1年半前の切り替え時に、格安回線にau回線が少なかったのもある。

会社はNiftyのNifmoにした。その理由は、夫婦で通信量を分け合えるプランがあったためであった。さらに、ニフティは、大学に入学した1995年からプロバイダおよびパソコン通信時代からずっと継続しており、安心感もあってである。23年間も契約して同じIDを使い続けている。

1年半遅れて、妻も更新月になった。上記の理由で夫婦揃ってNifmoにするには、docomo回線への変更が伴うため、同じ妻のiPhone6では、端末をSIMフリー等へ乗換える必要があった。その後色々考えると、妻の場合、使う場所がソフトバンクでも問題なかったし、今ある端末と同じ画面の大きさを使い続けたいことを考えていた中、たまたまbmobileが、最近になってソフトバンク回線のMNPも開始したので検討をしてみた。

妻のパケットは、普段は小さく、年に2ヶ月ほど多く利用することがあるという程度だったので、段階料金というのもちょうどニーズに合っていた。

ということで、
 私 Nifmo docomo回線 7GB
 妻 bmobile ソフトバンク回線 最低1GBで使用した量の従量制
で落ち着いた。

通信料金を試算すると、年間でちょうど10万円下がることになった。


モバイルPCの通信用に、bmobile(docomo)の従量制(最低500円)を契約し続けているが、通信量としてはNifmoと重なるので、解約したいと考えているが、iPhoneを使ったbluetooth接続がうまくいかないので、それができるようになるまでは待つようにする。


空いた私のiPhone6端末であるが、iPod nano(第6世代)を5年以上振りに復活させて、当時小学校5年の娘の音楽プレイヤーとして昨年から使用させていたのだが、WindowsやiTunesのアップデートに伴い、最近になってPCから認識しなくなってしまった。そこで、急遽、私のiPhone6端末を初期化して、ネット接続もできないようにして、娘(小6)のiPod端末として復活させた。

2.インターネット回線

今まで高速通信が必要なかったので、ずっとADSLを使い続けてきた。職場でMicrosoftのOneDriveのクラウドが使えるようになったため、それを利用するには、ADSLの速度では我慢できないようになり、光回線に切り替えることにした。

四国電力のPikaraが圧倒的に安いことや、NTT電話回線の込み込みプランにすると、ADSL+NTT回線と全く同じ価格で利用できることも今更ながら知り、乗換えたところ、快適なネット環境が構築できた。

家の膨大な写真等のデータも、数十GBに達しているので、これまで外付HDD2台の三重化で対応しているが、バックアップ及びデータの二次利用を考えて、クラウドを検討し、1TBのクラウドも契約するようにした。


ということで備忘録や、ひとつの紹介として書いておく。

2018年6月19日火曜日

東へ西へ

産官学を巻き込むあるプロジェクトが佳境に入ってきた。

ちょっと早めに4時起きで出勤し、色々と庶務を行っていたところに、大阪の地震。高松、RC3階建ての1階の教員室では、初期微動っぽい物音でこれは来るなと思ったところに、1回ドンと揺れて終わった。

iPhoneの緊急地震速報が鳴らなかったのは、昨年の豪雨で小豆島の土砂災害情報で眠れなかったのでスイッチを切ったままであったことを思いだし、反省。

9:30より、高速を利用して1時間弱の香川県西部の方でとある試行工事の下打合せ。産官学で打合せをした。これまで、一同顔を合わせたのは1回切りだったので、もっともっと本音の共有が必要であり、来週スタートに向けての、ギリギリのタイミングだったように思う。施工者の全面協力で成り立つ今回のプロジェクトであるため、施工者の過度な負荷にならないように、調整が必要である。そういう意味で、私が暴走するところを実際に指摘いただけたことは嬉しい。それができるのはこうやって膝をつき合わせたときにしかできない。

全員で、近くのボックスカルバートで表層目視評価法のデモンストレーションを急ぎ足で行い、高専に戻る。往復の間、ずっと、NHKのテレビの地震報道の音声を聞いていた。

学校に戻り、10分の休憩も無いまま、午後1つだけ講義。

講義を終えて、香川大学へ移動。委員会報告会・シンポジウムに1時間遅れで到着。私は表面吸水試験について発表。100名程度の参加があった。四国には、ユニークな表層品質の測定手法を開発する研究者が多い。

ということで、本日も分刻みのスケジュールで、東に西に、という1日だった。夜は委員会メンバーと懇親会。

産みの苦しみ、と思いながら、色々なプロジェクトも動き出し、少しずつよりよい方向へ変わってきていることを実感。

2018年6月5日火曜日

日本水準原点

測量の日に合わせて、「日本水準原点公開」の報を知る。

「日本水準原点」

地図好きにはたまらない響きである。「原点」。東京湾の平均海面を基準にして、国会議事堂近くに、標高24.4140m(現在は変わっている)の所に、原点があるという程度であるが、登山、地図好きの私が、高校の時に「山の高さ」という本を買って読んで知った。

昨年か一昨年か詳細は忘れたが、国土地理院が測量の日に合わせて公開しているという話を聞いた。公開ということは、あの石造りの建物は、普段は一般公開されていなかったのか? 行ったことがなかったのでよくわからなかった。もしかして、日本水準原点は敷地内にあって一般の人は入れない場所に建っていて、その日だけ入れるのかもしれない、という程度であった。

今回、たまたま出張で東京に来ており、その日は12時頃に用事が終わるので、飛行機に乗るまで2時間ぐらいは空きがあるため、行くことにした。4回、10分程度のレクチャーがあるとのことで、せっかくならそれを聴きたい。

解せないのは、雨天は翌日に延期とのことで、地方から来る者はどうしろというのか、と思いながら当日を迎えた。午前中は曇りで、途中から雨が降り出すという、これまた、不安な天気である。行って閉まっていたらどうしよう、と思いながら、虎ノ門駅からタクシーに乗るべきだったと後悔しながら、国会議事堂前をダッシュして、何とかレクチャーの開始に間に合った。

小雨の中、10名余りの聴講者が集まり、ちょうど説明が始まったところに滑り込めた。

以下、撮影した写真を紹介していきたい。


上の写真は、社会科の資料集などに載っているあの建物である。実は、この建物自体が原点ではなく、「水準原点」というものを格納している「標庫」という。東京大学建築学科(当時は、造家科)の一期生 佐立七次郎(さたち しちじろう)による設計という。彼の大学同期に辰野金吾(東京駅設計)がいる。彼が設計して現存するものとして、これ以外に北海道小樽の旧日本郵船小樽支店の建物があり、見学で入れるらしい。

(後日追加:旧日本郵船小樽支店訪問記【リンク】

後日、佐立氏について調べると、何と、1856(安政3)年、高松藩(讃岐の国)(現、高松市)の生まれという。高松高校(その前身の高松中学)のできる前の話なので、直接の高校の先輩にはならないが、もし学校が存在したら、卒業生になるのは間違いないだろう。

まさに、色々な意味での私にとっての原点である。8月には土木学会の全国大会で北海道に行くので、彼の上記建築を見にいきたい!

【追記:その夏に、実際に北海道 小樽の日本郵船小樽支店に行ってきた報告はこちら

さて、その標庫であるが、中央のパネルが開いているのがわかる。


さすが、パネルには、菊の御紋が。

 中央に、水晶で作られたものが鎮座する。

写真を拡大して見て戴きたいが、目盛が刻まれている。中央の長い水平線が基準である。数字を見て戴きたい。数字の文字が上下逆転している。その理由は、測量をする人ならおわかりであろう。(画像をクリックして拡大)

測量で使うレベルという器具は、望遠鏡のようなものであるが、当時はレンズの性能が悪く、上下反転して表示される。よって、誤読しないように、上下反対に文字が刻まれているのである。当日はこのようにレベルがセットされているのが素晴らしい。

なお、この標庫は、資料集の写真などを見ると、小さい百葉箱くらいの大きさなのかと思っていたら、大きくて驚いた。

スマートフォンのカメラで、レベルを覗いた中を撮影。画面がひずんではいるが、数字を読むと、上下反転した後で、きちんと数字が読める。(画像をクリックして拡大)

 私は、24.4140mというのがずっと頭にあったが、実は、明治24年5月に、24.500m(数字に遊び心がある!)として設置されて、その後関東大震災で沈下して24.4140mになったものであった。そして、東日本大震災でも沈下して再度測量をし直していたとのこと。不勉強であった。

では、どのような基礎になっているのだろうかというのは、気になる。やっぱりコンクリートでしっかりと支持されていた。



10分の説明の予定が午前中は白熱して30分ぐらい話したとおっしゃった国土地理院の説明の方は、午後も30分ぐらい色々なお話をしていただけた。1人でパネル展示を見るのではなく、実際に説明を併せて聞くことで非常に充実した見学であった。小雨の降る中も最後まで実施いただいた関係者にお礼と敬意を表したい。

ひとつ、参加者としては、このPRチラシのインパクトがどうも・・・。
国会議事堂前の徒歩2分に位置する日本水準原点の建物にしまってある『一般公開していない! 水準原点』が、年1回特別に公開される、という風に表示をしていただければ、より魅力が高まるような・・・。地図オタクと思っていた自分も詳細を知らなかったので。
http://www.gsi.go.jp/kanto/kanto40002.html

2018年5月9日水曜日

8分の新幹線乗り換え時間

新幹線を使って出張に行く際には、高松から瀬戸大橋を渡るマリンライナーで岡山駅まで到着し、岡山駅から新幹線に乗る。マリンライナーの乗車時間は60分で、経路検索で標準で出てくる乗換え時間間隔は、短いときには10分程度から、最短8分というのも頻繁に出てくる。

当たり前だが、60分間乗車する在来線からの新幹線への乗り換えが10分程度というのは、リスクが高い。検索で普通に出てくるから、その便に乗っていたけど、感覚が麻痺していた。今までよく乗れていたなぁと。東京駅など比べて、岡山駅は物理的な面積が小さい、というのは圧倒的な違いであるが、まず東京駅では考えられないだろう。

先日の横浜出張では、在来線が2分遅れぐらいなのに、あまり気にせずに駅内のセブンイレブンに入ってしまい、よりによって、コーヒーのLサイズを頼んでしまった。待ちながらふと時計を見て、乗り遅れるかもしれないと、我に返った。Lサイズのため、コーヒーを2回に分けて抽出する時間が、今まで一番長く感じられた。

しかも焦っていたので、間違えて博多方面行きのエスカレーターに乗ってしまい、途中で気づいてももう遅い。ダッシュで駆け上がったときには、私が乗るべき、反対車線の上り新幹線はホームに入ってきた。もう諦めようと思ったけど、コーヒーをその場に仮置きして、ダッシュで駆け下りて、再度ダッシュで駆け上って、本当に滑り込みセーフ。

翌日、岡山駅に戻ったときには、残念ながらそのコーヒーはなかった。ごめんなさい。

結果として、GWの間だったので、乗った車内はガラガラでした。ただ、普通のあの時間は、ビジネス客で一杯で次の便になると満席だったり、少なくとも3人がけの中央程度しか空いていないのが普通なので。

昔を思い出したら、5年前の夏休みの金曜日夜に、一度失敗したことがあった。名古屋まで行ける最終便を狙ったのに、岡山駅で切符を買うために並んでいたら行列で終電を逃し、新大阪止まりにしたことがある。新大阪のホテルはなく、この年になって漫画喫茶に泊り、名古屋のホテルもキャンセル料取られるし。

ということで来週の出張(大阪)は、岡山乗り換えに余裕を持つことにした。


改めて考えると、東京では新幹線乗り継ぎ10分というのは考えられないこともない。でもそれは、都内の近場で仕事をしていて、EXカードで等で、万一乗れなくてもすぐに乗車変更できるというケースが大半でしょう。同様に、神奈川県大磯あたりからの1時間の東海道線を乗り継ぐのに、間隔8分の便は、電車遅延や東京駅での乗り換え時間(ホームが遠い、混雑)のリスクが高くて、普通は選ばないような。

2018年5月4日金曜日

貯金箱

昨年の夏休みに当時小2の息子が作った貯金箱「計算貯金箱」について解説しました。こちらは、「さぬき科学缶」にて紹介します。

https://sites.google.com/site/sanukikagakukan/coinbank

収集癖

色々な収集をすることに興味がある。ただし、商業ベースで意図的に作られたコレクションには、興味がない。ダムカードも趣旨には賛同するが、みんなが集めようとするものに対しては、個人的には集めない。いただいた場合には有り難く頂戴しますし、子供と行った場合にはもらいに行きますが。

収集が趣味というのはちょっと違う気がして、体系化されていない観点に焦点を当てて体系化することが趣味、というのが正しい表現かもしれません。

パッと思いついたのを挙げると、次のような感じです。
  • 人面建築・・・先日、人面建築学会に入会しました。
  • 紙幣貨幣に見る土木構造物・・・先人に土木技術者で「切手にみる土木構造物」に関係する書籍を出版された方がいらっしゃいますが、新しい分野を開拓されたことに敬意を表します。私は、紙幣、貨幣をテーマにしています(一番の傑作は、フランスフランのエッフェル)。コレクションが貯まりつつあるので、整理して公開します。
  • 名画に見る土木構造物・・・私の師匠 池田 尚治 横浜国大 名誉教授がよく指摘されていますが、あの有名なモナリザの向かって右側(人物左肩の上)に橋があります。それ以来、名画の中の土木構造物、特に橋について気になっていました。藤井 聡 京都大学教授の書籍「道路の日本史」においても、確認されている上で初めての道路建設を書いた18世紀の絵「La construction d‘un grand chemin (大道路の建設)」が紹介されています。
  • 漫画、アニメに見る土木構造物・・・最近は地元とコラボしたアニメ作品がありますが、聖地巡礼=地元PRの臭いが強くて、とりあえずは後回しにしています。以下が逸品です。サザエさんのアニメの普通の回(オープニング曲の中や、年に1回ほど、家族が地方観光をするのを除く)に実名の町が出ることは非常に希なのですが、そこに登場した「小田原ブルーウェイブリッジ(日本初のエクストラドーズドPC橋)」は秀逸でした。他に、「ゴルゴ13」において瀬戸大橋に仕掛けられた爆弾の撤去の回も技術的な話が盛り込まれていて、カッコイイです。公開に際しては、著作権のことがネックです。
  • 土木工学をテーマにした詩・・・5年前、谷川俊太郎「私は讃える」という詩に出会いました。私の紹介が縁を結び、土木学会100周年の記念号(2014年11月号)に8行だけですが掲載していただきました。こに詩には思い入れがあり、今後何とか著作権をクリアにして、ウェブで紹介したいと考えています。収集といってもこれしかないですが。表記詩の中にある「巨大な鉄とコンクリートに結ばれる」なんてフレーズはワクワクしませんか?
  • じゃんけん掛け声収集・・・大学時代からのライフワークで、全国から3桁の掛け声が集まっています。niftyの一方的なサイト閉鎖に伴い、現在休止中。時間を見つけて再開します。
  • エクストリームさぬきうどん・・・出社前に食べられるうどん、夜に食べられるうどん、など開店時間に焦点を当てたページがないので、作りました。是非、ウェブ、データベースに詳しい人には、リアルタイムの検索、などの優れたページを作ってもらいたいと思っています。
  • 模型による構造力学系教育ツールの収集・開発・・・ブログやFacebookで紹介しています(作品例)が、きちんとまとめたページを作りたいですし、いずれは教科書を書いたり教材を作りたいと思っています。
  • 地域のイラストマップ収集・・・秀逸なイラストマップは存在しますが、地方で限定配布されていたりでもったいないです。何とか集約できないだろうか、と日々模索しています。
  • 変わった地図・・・秀逸な主題図は存在しますが、折を見て紹介します。世の中には専門家はいると思いますので、繋がりたいです。これ、とか、これ、とか。
(5/4 19:40内容更新)




2018年5月3日木曜日

図形的な理解 -オームの法則を図化する-

物事の本質をとらえることが大事であるが、なかなか難しい。数学や物理の難しい(言い換えると、普段接することのない抽象的な)概念も、図形として、簡単なモデルとして、とらえることができると、理解につながる。逆を言うと、本質が理解できていないと図形や簡単なモデルでは表現できない。

このブログで継続的に紹介している通り、私が構造力学の概念を物理的な手作りのモデルで表そうとしているのも、その活動のひとつである。

さて、2014年から2~3年程度、土木工学系の学生に対して「電気工学概論」の授業を受け持ったことがある。電気工事士の資格は持っており、集中的に勉強しなおしたが、それを除くと学生以来である。

電気回路は、どんなものに喩えられるだろうかと考えると、一般には、管を流れる水の流れなどと表現されて、管の面積が小さいと抵抗が大きく・・・、と表現されているようである。わかりやすい。

さらに、電圧とは何か、という話は、位置エネルギーと表現されて、水をポンプアップして高い所に上げて、滝のように落とす、という喩えでわかりやすい。滝のように流れ落ちる際に、電球やモーターの仕事をするのである。

そして、ともに、流れる水の流量が、電流の大きさなのである、と。

では、「抵抗」は管の面積(や周囲の粗度でもよい)というのも理解しやすいが、それらの「電圧」「電流」「抵抗」の3つの関係を表すオームの法則は、どうやって表現できるのだろうか、というところが疑問になった。言い換えると、2次元、または3次元のグラフで表現できないだろうか、という命題が思いついた。

断片的理解から、統合的理解への転換である。

電流、電圧、をそれぞれ軸に取った場合、抵抗は、電圧÷電流なので傾きに相当する概念だろう、というところから、2次元で表現できるのではないかと思ったのである。しかし、ネット検索で探しても、そのことまでを言及したり、実際に2次元で表現したものを、見つけることはできなかった。ということで、2014年より、自分で図を作ってみて、授業でも配布したり紹介したりした。

結構良い概念だと思っているので、ブログに紹介することとする。新たに書き直したので結構な時間を費やしたが、きちんと世の中に発信したい一心で。

表記法1について説明する。縦軸を電圧に取ったのは、水の位置エネルギーが頭にあるからである。傾きが先にありきであるが、傾きを表すのはsin、cos、tanがよいので、仮にcosとすると、流れる電流の大きさが斜辺の長さに相当するのですっきりすると思ったのである。

抵抗=傾きであるが、ここでは、cosθとなるため、若干わかりにくい。角度が小さい方が抵抗が大きく、角度が大きい方が抵抗が小さくなるので、逆の概念というのがデメリットである。その解釈さえ受け入れれば、無理なく図として収まっている。

直列、並列ともに、問題ない。ただし、電流と電圧の大きさの縮尺が同じ場合には、cosθが正しく抵抗を表しているが、物理的に、電流の長さが電圧の長さよりも小さい図が書くことができないので、その場合には、縮尺を変えて下図のように表記せざるを得ない。その場合には、角度と対応していない。角度にこだわらず、コサイン=斜辺÷もう1辺 と思えば、問題ない。


表記法2は、抵抗=傾きを感覚的に重視したものである。縦軸が電圧なのはそのままとすると、横軸方向が電流となる。抵抗(図でいうライトやプロペラ)部分の横軸方向の長さが、電流となる。この部分が、若干理解しづらいが、それを受け入れれば、統一的な図が書ける。抵抗の大きさと傾きの大きさが、大小関係も一致して対応しているのが、わかりやすい。さらに、表記法1では電流と電圧の大きさの縮尺が変わるケースもあったが、表記法2においては電流の大きさが電圧(の数値)よりも非常に小さくても図が描けるので、グラフの見栄え(扁平)さえこだわらなければ、正確な図が書けて、tanθで表すことができる。グラフの見栄えを調整した場合には、縦横の縮尺が変わるが、表記法1のように、タンジェント=縦÷横 と考えれば、まったく問題がない。


ということで、素人が知ったかぶりして書いた図であるが、色々なご指摘を受けてさらにブラッシュアップしていきたいと思っている。

私がネットで検索しても、このような図化するものは一切見つけることができなかったが、先人がいれば、それもご指摘いただきたい。タイヤの再発明をして鼻高々になりたくないのである。

※訂正履歴:2022/10/31 本来、直列と並列と書くべき所を誤って、直流と交流と書いていたことに長期間気づいていなかった。本文はすぐに修正し、図は読み替えていただくことでご容赦願いたい。

新しい発想による新幹線の搭乗方法

いつもこのブログで言っている、思考訓練である。思考訓練ができれば、色々なものの見方ができるようになり、わかりやすく言えば、発明にも繋がる。

これも以前のFacebookのエントリーであるが、球出しして散らかした後、フォローしていなかったのでまとめておく。さらに、友人iと不定期に行っている思考訓練の成果も披露したい。

【飛行機の混雑緩和の搭乗方法】
飛行機の搭乗時の混雑緩和のための搭乗方法のルールは、ANAとJALで異なることを最近知った。JALは、座席の後方と前方で順番を分けているが、私はそれでは混雑緩和に余り意味がないと思っていて、窓側と通路側で順番を分けたら良いのにと思っていたら、ANAがそれを採用していた。私は基本はJALしか使っていなかったので、知らなかった。

とはいえ、JALがそれを採用していないのは、ANA方式は意味がないときちんと判断してなのか、よくわからなかった。

友人に紹介されたサイト(下記リンク)で、そのことを検討している。対照実験ができていないので、学術的に見て文句のない実験とまでは言い切れないが、良い線は行っていると思う。可能であれば、誰か研究者に混雑モデル等でシミュレーションしてもらいたい。

搭乗時間が最も短い搭乗順は?後ろから順に搭乗するのは効率が悪い?(リンク)

やっぱり、窓側と通路側では効果がありそうだ。これ以上は、他人が既に検討済みなので、いくら書いても二番煎じになるのでやめておく。

【新幹線の混雑緩和の搭乗方法】
私が以前から思っているのが、新幹線の乗車時の混乱をどうやって最小にするか、という点である。飛行機よりも複雑な面もある。ただし、全員が着席しなくても列車は動くので、実際には余り問題にはならないが、苦痛が減るのであれば、検討する価値はあるだろう。

新幹線の乗車時の混雑の分析
・窓側と通路側での交錯(飛行機と同じ状況)
・大きいトランクなど大型荷物が存在する(飛行機にはサイズ上限があるが、新幹線にはない)
・出入り口が車両の前方と後方があるため、すれ違いが発生する。(決定的な違い)
・さらに、同じ車両内だけでなく、別の車両に移動したい通過交通も発生する。(決定的な違い)

通過交通については、駆け込み乗車のような場合にはあり得るし仕方がない。でも、その場合には、5分ぐらいデッキで待ってから、移動してもらいたいが、モラルに依存するのはシステムとしては不完全なので、その選択肢は無しとする。

通過交通については、ここでは考えないこととする。

新幹線の場合、私のこれまでの観察では、前行きと後行きのすれ違いが、大きなネックになっているように感じた。これをなくすことができれば、乗車時の混雑緩和が大きく進むのではないかと思う。

議論した友人は、新幹線の場合、座席が進行方向の前よりか後ろ寄りかは座席番号を見ればわかると言うが、それは結構マニアックでもあり、瞬時にはわからない。上りと下りで、それは逆転するので、それもわかりにくくしている。

私は、次のような過程で思考をした。図はまとめて後部に示す。図では、簡単のため、1車両の座席を10列としたこと、全ての車両の座席数を同じとしたことは、ご了承いただきたい。

1)座席番号が、何番から何番は、前側入口から乗る、何番から何番が後側入口から乗る、というアナウンスや掲示を行う。問題点:乗客に、座席番号を確認させて、アナウンスに従わせるのは面倒。特に、1車両にある2つの出入り口が、前寄りか後寄りかの判定が難しい。

1)は次のような改善ができる。

2)切符に、座席番号の表示の他、出入り口名も表記する。その際、出入り口名を、固有の番号にする。仮に7号車の前後の出入り口を、それぞれ、7A入口、7B入口、等と書いておく。メリット:言われたとおりに乗れば良いので明確である。問題点として、7Aと言われても、7Bでも乗れるのは感覚的にわかっているので、根絶はできないかもしれない。ここは好みの分れるところ。

2)の方法は、ルールで縛る日本的対応であり、まだまだ工夫の余地があるように思う。私は、自然と人間が合理的に判断して、結果として自然にそうなるというシステム作りが好きなのである。

現状の制約条件をなくすと、車両の出入り口を1つにすればよいのでは?という考えも出てくる。ただし、2つの扉を1つに減らすと、時間当りの乗り降り人数が低下することで問題が出てくる。

3)前乗り、後ろ降りというルールを導入する。考えは良いのだが、運送容量が低下するので、無理ではないだろうか。ただし、実際には降りるのを待ってから乗っている現状なので、降りるのを待つというロスがないので、これがベストかもしれない。始発駅で混雑するので、始発駅と、それ以外の駅で対応を分けても良い。

とりあえず、始発駅で、という条件の最適化を考えてみよう。

4)ハードウェアをいじって良いという条件であれば、車両の両端の扉を廃止して、中央に1つの扉を設置するように改造する。乗り込んだら座席番号に応じて左右(前後)に分れて進むので、1方向の移動となり混雑は緩和されるだろう。ただし、3)と同様に、運送容量が厳しい。

運送容量を考えると、1車両に2つの扉が必要、というルールは外せないように思える。しかし、それでも一方向の移動を実現したい。できれば、細かいルールは煩雑になるので、単純明快なルールや番号付が必要である。

そこで、発想の転換である。

5)1車両を前後2つに分けるのだが、それを、大胆に、独立した車両と呼ぶのである(論理学的な車両を作る→わかりやすく言うと仮想の車両を作る)。すなわち、16両編成であるが、物理的な1両目に、1号車、2号車と仮に名前をつけて、2両目に、3号車、4号車と名前をつけて、最終の16両目は31号車、32号車と名前をつけるのである。すると、大抵の場合には、自分の切符に書かれた号車の入口に並ぶので、その後人間が判断せずに、無理なく2)のような誘導ができるのである。

物理的な1つの車両であるが、2両として管理するのである。

さらに、それを考えると、もうひとつバリエーションがある。

6)物理的な3号車の後半と、4号車の前半を、(論理的な)新4号車として名前をつけて、座席番号も定めるのである。車両の中央の方は、3号車の最後尾と4号車の1列目が隣り合うが、それは全く問題ない。乗り込んだときに、右側に行くか、左側に進むかは、座席番号で判断する必要が出てくる。

6)が面白いけれども、入口での判別が必要となるので、5)がスムーズであろう。6)で外壁に塗装で、あたかも物理的な車両の中間に、連結部があるように見せると面白い。

7)5)の場合、1つの物理的な車両の中に、1列目が2つ存在するので、間違えて座ってしまうリスクもある。そう考えると、1号車は1~5列、2号車は6~10列、という風に、使う番号を分けて、重複しないようにしても良い。実際にはそれで問題が起こることはないだろう。号車、というのが、座席のある車両、とともに、扉の位置を表すのだが、重複がなければ問題は解決するのであるから。あとで思いついたので図は省略する(図を作り終えた後で考えついた)。


「論理的車両」言い換えると「仮想車両」。面白い概念ではないだろうか。




2018年5月2日水曜日

お気に入りの地図帳

私は地図マニアを自負している。中学校、高校では、日本地図センターか地図協会か忘れたが、その会報を定期購読していたし、国土地理院で働くことが夢だった。

地図帳、というと中学校や高校での副教材として買わされた、古くさいイメージがあると思うが、そんなことはない。実は、色々と工夫された地図帳は出ている。ただし、そうでもない地図も多いので、どれでもよい訳ではない。

という話題を過去のブログで書いた気もするのだが、今のブログを検索しても出てこなかったので、書いておく。急いでいてFacebookでさらっと紹介してというのが多く、それらは会員以外は読めないし、過去の記事は検索できないので、やはりブログに記しておくのは大事である。

昔に本屋で探しに探して見つけたのが、以下の日本地図帳である。

その本の何が凄いかを列挙する。

1) 日本全図が、全て同じ縮尺である。他の地図帳に多い、北海道が無理矢理に見開き2ページに押し込まれることがなく、大きさの比較ができる。別の見方で言うと、情報の密度が同じである。省略されていないのである。
2) 九州が目一杯に、四国が目一杯に拡大されていないので、別の地方との繋がりが自然である(今手元に無いので、ここに限っては、印象で記載)。例えば、九州と四国の相対的な位置関係を見ようとしても、多くの地図帳は、切り離されてしまっているので、理解しづらいのである。
3) 機械的に格子状に区切られているわけではないので、変なところで県が切断されることはないため、見たい情報は確保されている。よって、ある程度余裕を持ってオーバーラップする部分がある。この余裕が大事である。
4) なぜか建設中、建設予定の高速道路や新幹線の路線が破線で載っているので、土木屋としては有り難い。
5) 1)を別の角度で述べるだけであるが、よって、北海道が、全体が見渡せずに、数ページにわたって北海道のページが続く。北海道の情報が(縮小されされている他の地図帳と比べて)多いので、地図としての機能を保持している。

その凄さを写真で紹介したい。下記の通り、現在3冊を持っているので、それを組み合わせて、表現してみた。

 九州の情報量も多いし、九州のみのアップ、各県のアップなどになっていないので、繋がりがよくわかる。このオーバーラップ度をもったいないと感じるか、必要なこと、と捉えるかは人によるだろうが、私は必要と思う。
見開き6ページ分でも北海道の全容が見えない。北海道でかい!

縮尺が同じなので、四国と北海道を正確に比較することができる。

タイトルは、
 ベーシックアトラス日本地図帳(平凡社)(2006年10月)
 ベーシックアトラス日本地図帳 新版(平凡社)(2012年3月)
である。

青色表紙が初版(2006年10月)と思うがそれは所有しており、オレンジ色の改訂版(2012年3月)も所有している。

昨年、そろそろ改訂版は出ていないかと探したら、内容は一緒であるが、名前が変更になり、地図の周りに枠がついて、本の大きさもひとまわり大きくなったのが出ていたので、それが後継かと思い買った。

なお、枠については、上記の写真を見ると邪魔に感じるようにも思うが、どのページの地図に繋がるのか、という情報が枠に入っている。ただ、これは枠がない方にも入っている情報(地図に重なっている)なので、情報量としては余り大差はない。コピーをするなど二次利用を重視するには、良いかもしれない。ページ構成や地図の内容は、同じである。ただし、A4サイズに加えて、ひとまわり大きいので、本がデカイ!

 新版 プレミアム アトラス 日本地図帳(平凡社)(2014年5月)

(ここまでは、昔のブログや、2017年5月にフェイスブックで紹介した内容)

プレミアムというのはダサいネーミングのような気がするが、仕方がない。新版というのが気になった。第3版ではないのか、それとも、プレミアムの初版が別にあるのか? 実は、きちんと調べるとプレミアムは、初版が2008年11月、新版が2014年(上記)、第3版も2017年7月に出ていた。よって、明らかに別シリーズである。

そして今、調べると、プレミアムでない方の後継が出ていた。多分こちらが私が買い続けてきた初版の後継である。

ベーシックアトラス 日本地図帳 新訂第3版(2018年1月) (←amazonリンクあり)
(画像はamazonからの直リンク)

これは買わねば!

ちょっとマニアックな地図帳であるが、ネット地図で簡単に縮尺がいじれるようになったのがデフォルトの時代、固定縮尺というのは非常に価値があると考えている。

土木屋さんは特に、購入して欲しいと思う。価値はある。

マニアックな地図帳、スマホが普及した現在、もしかして今後廃刊になるかもしれない。お気に入りを支えるのは、買い支えるしかない。不自由していなくても、私は信頼する本は、新版が出る限り買い続けたい。1000円ちょっとというのも、得られる情報に比べると破格の安さだと思う。

初版は、現場調査、現場見学の度に、ボールペンで書き込みをしていた。私の記録帳でもある。

ベーシックの第2版までは所有しているので、今から注文する第3版は見ていないので、もし改悪されていたら、紹介するのが忍びないが、私の思いは伝わると思う。

1週間たって、このページに訂正記事が入らなければ、安心して購入してください。

追記:
フェイスブックでTさんから紹介いただいたものが面白いので紹介します。
「日本は小さい。北海道は大きい。」

2018年4月30日月曜日

ファーブル昆虫記「系」の本

連休の今朝。もうすぐ9歳になる小3の息子が寝起き直後に、先に起きていた私に声をかけてきた。「5のびっくりマークの2乗を計算できる?」

私「びっくりマークとは5×4×3×2×1のことのこと?」
息子「そう」
私「電卓使っていい?」
息子「パパなら電卓使わなくて解けるよ」
私「ああそうか、えっと、5×2は10だから100、4×3=12の2乗は144、だから14400」
息子「正解。僕はこう考えて・・・・」

というやりとりがあった。おい、その問題は寝ながら考えたのか(笑)?

(アニメの)名探偵コナンと妖怪ウォッチに目がない息子であるが、算数というか数学の虜にもなっている。

本人も言っているが、その素晴らしい世界にのめり込んだのは「数の悪魔」という本である。以前から算数の本は沢山読んでいたが、1年前に接して、何度も何度も読んでいる。

 数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜
 ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー 著
 丘沢 静也 訳
 晶文社
 普及版発行 2000年4月1日(初版は不明)

数字の不思議さ、楽しさについて、平易に、うまく喩えを使いながら。自然の現象が、数学で記述できることの素晴らしさについて愛情を込めて書かれている。例えば、フィボナッチ数なんて、私が高校数学で習った(というか、数学の川田先生が数列の授業のときに、このことをフィボナッチという、という豆知識として紹介したのが、何故か強烈に耳に残っていただけである)ことが、息子の心を刺激したようである。

ファーブル昆虫記が、少年少女への昆虫に限らず自然の素晴らしさ、奥深さを教えてくれる名著であることは誰も疑いようがない。ファーブル昆虫記の数学版といったところだろうか。


土木・建築「構造」系のファーブル昆虫記は何だろうか。と考えたことは余りなかったのだが、先日、GNN(元気な生コンネットワーク)長岡生コンの二見さんがさらっと言及していた「建物はどうして建っているか」という本に興味を持ち、早速購入して今読んでいる。

 建物はどうして建っているか ~構造-重力とのたたかい~
 マリオ・サルバドリー 著
 望月 重 訳
 鹿島出版会
 初版発行 1980年10月5日

私が4歳の時に日本訳が出版されたのである。原著はもっと早いのだろう。

「訳者まえがき」に書かれているので引用する。

+++
 ファーブル「昆虫記」を読んで、動物学者または研究者となった人は多いと思う。彼らにとって「昆虫記」は動物学の本ではなく、動物の世界にひきこまれる誘いの音楽であったに違いない。建築の構造にもそうした本があってもよいと思うのは、私ひとりではなかろう。
 こうした気持ちにぴったりと答えたのが、サルバドリーのこの本である。
+++

なぜこういった構造物が成り立つのかについて、平易に書かれている。まだきちんと読み込めていないが、章立て、挿絵、などをパラパラと見る限り、言葉通りファーブル昆虫記である。

私のこの年では、知識の上では新鮮味はないかもしれないが、自分がこどもの時に読んでいたらどう感じただろうか、または自分の子どもたちへ話すなら、とか、高専の構造系の授業に反映できることはないだろうか、など、自分と対話しながら読み進めてみたい。


私は授業中に本の話を良くするが、4年生へ先日発言した言葉をもう1度繰返す。「他人から紹介される本はきっと良い、という考えを実践すると、必ず良いことがある」。今回も良かった。

2018年4月26日木曜日

「2つ」のもつ意味

1を聞いて10を知る。2を聞いてNを知る。

この言葉は、高校時代、塾で数学を教えていただいた古市先生の言葉である。私の座右の銘を問われれば、この言葉を挙げることが多い(たまに忘れる)。

色々な意味を持つと思っているが、それは本稿では置いておく。


本稿での意味について、簡単にいうと、「1つだけでは全体を理解するのに限界があるが、2つ知れば世界がわかる」。

高専では、力学系授業を教えているが、曲げモーメント、ひずみ、断面二次モーメント、ヤング係数、等は目に見えないし、普段の生活ではあまり使わない概念である。

いくら定義を勉強しても、「そういうものだ」という暗記系になってしまい、単元のテストでは合格するかもしれないが、その後忘れられたり、次に別の形で出てきたときには覚えていなかったり関連があると気づかなかったりで全く使えない。

これは学生が悪いのではなく、教え方や学び方に課題があると思っている。

結論として、別の見方も同時に理解しておくと、理解に繋がると思う。

例えば、「断面2次モーメント」が何なのかの理解について
「定義通りの式が提示できる」に加えて、
「梁の曲げの抵抗にどのように効いてくるのかを示す数値である」ということも頭に入れておくとよい。

それでも若干不足している。曲げの抵抗に関係するのは確かである。ただし、曲げやすくなるのか、曲げにくくなるのか、のどちらに意味がもとれるため、その理解では不十分である。よって、それを補うとしたら、断面2次モーメントが「大きくなると」梁が「曲げにくくなる」という性質まで捉えておくとよい。

よって、2つめは、「梁の曲げにくさを示す指標」としておけば、独立した概念となる。古い教科書を読むと、「曲げこわさ」という用語が使われている。言い得て妙である。曲げ易さではなく、曲げにくさなのである。これは大きく区別すべき重要な概念である。


さて、3次元の物体を、2次元の図面として図化するのに、6面の投影図があればお釣りが来るぐらい十分である。図面1枚は2次元で2つの次元をもつので、次元の数が3を越えるためには、図面2枚があることが必須である。大抵の場合には、2枚の図面から、3次元の形は想像できるのはそういう理由である。こういうものとアナロジーがある。


昨日の授業では、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を求める際に、材料非線形を簡単に計算するために「等価応力ブロック」で置き換える話をした。

等価応力ブロックが何故そういう風になるのか、というのは一見わかりにくい。そういうものだと暗記するのは悲しい。

授業では、

等価なものに置き換える
→力学的に等価なものに置き換える
→力の本質は、大きさ、作用点、向きである。ここでは軸方向を考えるので向きは共通のため除外すると、大きさ、作用点、の2つが、力の本質である。
→等価応力ブロックにおいて、ブロックの大きさは力の大きさに対応する、ブロックの高さは合力の位置を規定するので作用点を表す。
→よって、上記の2つの観点は必須であり、それにより、等価応力ブロックの形状が1つのみに定まるのである。

という話をした。
学生は、そんなこと初めて聞いたという顔をしている。いや、そうではない、と続けた。

実は1年前の構造力学1において、分布荷重が載った梁のモーメントを計算するのに、計算を簡単にするために、分布荷重の中心位置に、分布荷重を集中荷重に置き換えることは普通にやっている。これは、実は上記と同じ作用なのである。

その直後、私には、多くの学生の頭に「!」が見えた、気がした。


という風に1年前の授業と今回の授業の2つが繋がった。これもまた2つである。

追記:この文章を書き終えて、過去のブログを見ていたら、似たようなタイトルで2月にブログ執筆していたことに気づいた。すっかり忘れていた。こちらへ。
 2つの指標でとらえる

2018年4月25日水曜日

足し算系 と かけ算系

本日の構造系の授業では、小テストを実施。この授業は単位数の関係で週2コマ実施なので、1回の定期試験までの回数が長いため、定期的に小テストを入れるように仕向けたいと思っている。成績という狭い話ではなく、理解が足りないところを強制的に気づいてもらいたい意図である。誰の助けも借りられないテストをすれば一目瞭然ということである。

ものごとを体系化して考える、ということが、ものごとを理解する事の本質、勉強する本質だと思っている。小テストの直後、できなかった人はどうやって勉強をするのか、という話をした。次のようなことを話した。

【勉強をする手順 4つ】
・教科書やノートが揃っている。途中の抜けがないこと。
・そこで使われている専門用語、考え方、式の意味がわかること。
・問題で求められている式や知識がどれなのかを理解し、上記のどれを引張ってくれば良いかわかること。
・式を組み合わせて、必要な未知数に対して解くこと。

ある単元を理解する、ということは上記の枠組み・手順を実行することに置き換えられるように思う。単にこの授業は難しい、私は苦手だ、という漠然とした評価ではなく、自分のどの部分が足りないのかを理解するように務めなければならない。こうやって具体的に分析ができれば、つまづきの原因が自分でもわかるのではないだろうか。

学生から、わからない、という質問を受けることがたまにある。それを上記の手順に当てはめて、どこがわからないの? ということを聞くと、意外と1つめから抜けていることが多い。


さて、上記の手順は、「かけ算である」と私は主張する。4つの手順のそれぞれの達成度の満点を1点とすると、全部OKの場合、1×1×1×1=1 合計1点となる。どれかが欠けてもだめ。例えば、1番目がダメだったら、他ができたとしても、0×1×1×1=0 合計0点:理解できていない、のである。

これを「かけ算系」と仮に呼ぼう。

なお、この考えは、竹村公太郎氏の提唱する、インフラストラクチャーの構造で、直列システム、と同じ概念である。


理解を助けるために、別の考えもある。足し算の世界。「足し算系」。

例えば、テストの点数がそうだろう。運転免許を取るための学力試験を例に挙げる。

赤信号を無視して良い、という問題にyesと答えて、その部分が間違っていても、他の問題が正解していれば、合格点に達して、免許が取れる。安全救護に関する問題が総崩れでも、他で挽回できたら、免許が取れる。

運転免許の趣旨を考えると、点数を積み上げていく問題だけでなく、間違ったらNGとなる地雷のような、間違ったら一発退場の問題が組み込まれていても良い。前者は足し算の問題で、後者はかけ算の問題。

考えれば怖い面もあるが、合理性も加味して、社会はそれで成り立っている。

言いたいのは、世の中は、足し算の概念のものと、かけ算の概念のものの両方があるということ。

勉強のようなものは、教科全体を見れば前者が多いものの、個別単元を見ると後者に近いようになっている。そのことを理解しないと、勉強の効率が悪く、成績が上がりにくい。


人間関係、信頼関係は、足し算ではなく、かけ算に近いかもしれない。信頼は築くのは大変だが、何かのきっかけで一気に失う。でも、よい関係が築けると、指数関数的に上昇する。

哲学的である。

2018年4月21日土曜日

研究室始動

3月末に新しい高専本科5年生の研究室配属があり、若干タイムラグがありましたが、新年度が始まった2週間ほど前に新メンバーを迎えました。

毎年改善の連続ではありますが、今年はとにかくディスカッションをしてお互いがお互いの研究をよく理解することを重視しています。継続的にPCには投資をしましたが、PCだけと向き合っていても良いものは生まれません。環境作りが大事で、今年は研究室中央の大机には、ものを置かないように注意するようにしました。そのためには、周囲の書架に余裕がないといけないので、古い本を捨てるか、少なくとも別の場所に整理するようにしました。

その机に多数の人数が座れるように、配置を少し換えて、イスも新調しました。しばらくはここがメインの活動場所となります。

今週は、昨年度の積み残しのある実験を始めました。目的や手法についてホワイトボードに書き出しながら議論がスタートしました。昨年のヒントを知っている私から見ると、答えや方向性を示したほうが作業はすぐに開始できるかもしれませんが、担当する学生が心から理解したり、その後の創意工夫を期待するならば、回り道をしてでも議論することが大事です。早速、私が考えていなかったアイデアも出て、試行錯誤をしながら補助器具を開発したりしていました。

学生の成長にも繋がるし、それが研究を動かすための原動力にもなります。

2018年4月20日金曜日

手帳のデジタル化

新年度が始まって、既に20日が過ぎました。一応落ち着いてきたような感じです。

働き方改革に関連して、過去にも色々マニアックなことは書いた紙手帳について、遂に手帳のスケジュール管理をデジタル化しました。今愛用しているのは、Outlookのスケジュールです。

最近、メールソフトをOutlookに変えたのですが、カレンダーとメールソフト、Todoを連携できるので、統一することにしました。

今までは紙の手帳に、○時からこれをやる、という風にタスクを入れていましたが、実際に行えなかったり、予定よりも超過した場合には、書き換えるのが追いつかずにそのままになっていました。結局、何を何時間費やしたのかが曖昧になっていました。

デジタルであれば、タスクを頻繁に細かくスケジューリングしたり、実際に終わった仕事をタスクの事後記録としてスケジュール表に可視化するようにできるので、試しに暫くそれを行ってみると、自分自身の働き方について作業の遅延が非常に多いことが分かりました。1時間と思って始めたことが、その次の予定を入れていないとどんどん遅延する。逐次記録していくと、その遅延が多いことを改めて知らされました。

Outlookのスケジュールソフトのインターフェースにはまだまだ改良の余地はありと思いますが、メリットが多いと判断して、全面的に切り替えることに決めました。紙の手帳も持ち歩いていますが、メモ帳としての利用になってきて、そうすると今使っている1日1ページのほぼ日手帳では、不要になるため、改めてシンプルな手帳に買い換えたいと思っています。


2018年2月26日月曜日

時間の認知

期末試験の採点と、成績確定のための色々なレポート類の処理に追われている。追われて忙しい時ほど、現実逃避で色々なことを考えてしまう悪い癖が発生。休憩と称して、10分のタイマーを掛けて、この文章を書く。

この冬は、久し振りに、インフルエンザに罹患して、数日間仕事をお休みした。その中で、布団の中でポッドキャストの、「曲解答弁」なる番組を見つけ、聞いていた。

先輩と後輩の2人が、たわいもないことを議論する番組であるが、たまに、ものごとに対する洞察力が深いのが、ツボにはまる。

ある回の、時間に関する間隔の認知で、なぜ楽しいときには時間が早く過ぎて、楽しくないときには遅く感じるのか、ということに対して、そこそこ面白い議論をしていたようであるが、結論が混迷していて不満が残ったので、自分なりに考えてみた。


・待ち遠しいイベントがなかなか来ない(もういくつ寝るとお正月)
・楽しいイベントが始まると、あっという間に時間が過ぎる

という、時間の認知感覚の違いが何故生じるのか。

脳科学での分析はあるのかもしれないが、私なりの思いは、次のようだ。

・人間が時間について考えた量と、時間感覚は比例する。
すなわち、
・楽しいイベントの前は、イベントが早く始まって欲しい、あと何日かな?、早く来ないかな、と、「時間」をテーマにして考える=時間について認識する=時間が遅く感じる。
・楽しいイベントの最中は、そのイベントのことを考えることに精一杯で、今何時間過ぎたのか、残り何時間かは余り考えている暇はない=時間のことに考える量が小さい=時間が早く感じる。

この考えに結びついたのは、高校か大学ときに読んだ「ぞうの時間、ネズミの時間」の本である。動物の寿命は、数日~数十年とばらつきがあるが、皆等しく、心臓が○○回打った回数はほぼ同じである、という説。

そのことと、時間について考えるイベント数(量)が、時間についての認知と等しいという考え方は、似ている(アナロジー)ではないか。
そういう説が既にあれば、どなたか林まで教えていただければ幸いです。


そのポッドキャストの中で、確か、以下の趣旨のことも語られていた(そのポッドキャストかどうか忘れてしまった)。

子供の頃は一年が長く感じたという「年齢による時間に対する感覚の違い」の理解は、その一年で人生の何分の一を過ごしたか、に置き換えるとよくわかる、という趣旨の指摘を読んで、言い得て妙。これも面白い考えだ。ある面同意できる。

10歳の子供は、この1年間で、人生の10分の1を過ごす。インパクトは大きい。50歳の大人は、この1年間で、人生の50分の1を過ごす。割合としては小さい。10歳のときの5分の1である。

この「人生に対する割合」がいったい何を表すかは、よくわからないが、ひとつの評価指標としては、ありうる指標である。

と、10分のタイマーが鳴ったので、とりあえずこれで終える。後ほど加筆するかもしれない。

2018年2月12日月曜日

リスク回避の能力

交通の冗長性は必要で、それが平時だけでなく地震時、異常天候時のレジリエンスに繋がる。要は冗長性が高いほどリスクに強くなる。ここで言うリスクは拡張すると、会議が延びて出発が遅れたり、帰着が遅くなったり、迷子になったり(笑)も含む。

高松は、地方都市の中でも、交通の冗長性(代替選択制)は非常に高いと思っている。ラッキー、ではなく、私が転職をする際に、暗にそういうことは考えていたのである。交通インフラが冗長性が高いことに価値を見いだして、高松の地に転職してきた、と言ったら若干は盛っているが、あながち間違いではない。一番は高松出身というのがあるが、それを割り引いてもそう思う。

飛行機の便利なところは、所要時間が短いのはあるが、一度予約するとビジネスきっぷを除いて変更がしづらい所がデメリットである。ただし、そのデメリットを補うのが、先方での悪天候の際に条件付き運行になった際には全額払い戻しが選択できることにある。これで大部分は回避できる。
 ついでに言うと、当日購入の価格がべらぼうに高いことは、どうにかならないかと思う。プライベート利用である、身内の不幸の際に、急に飛ぶとなるときには、航空会社が鬼のように思えてくることもあった。その際には、お金なんて関係ないのでどうでも良いが、冷静に考えるとそう思う。正規料金がベースで、前日以前に早く買ったから安いのだ、という航空会社からの説明も、それは説明の仕方の違いだけであって、確率的な分布を見込んで料金設定がされているので、全体の重み付けの話である。スーパーの△割引を月25日間もやっている話に似ている。大事なのは、売上の比率であろう。
 国内便飛行機チケットの売り上げ状況(仮の推定)
  正規料金 35000円 5%
  1日前まで 25000円 30%
  21日前まで 18000円 30%
  45日前まで 13000円 25% 
  大幅割引 10000円 10%
 ホテルとセットのビジネスパック・ツアーパックもそれなりに多いと思うので、換算するともっと安い方にシフトするかもしれない。(高いので国内では少ないと思うが)ビジネス客が買う日付未設定のオープンチケットは、正規料金程度と思うが、わからないので仮に0とする。
 この件は、話がそれるので、論点を整理してまた別のトピックとして書こう。

新幹線の便利なところは、当日まで決めることができることや、東海道線の関ヶ原の雪の遅延を除くと比較的災害に強いことである。さらに、年間1000円程度でエクスプレス会員になると、オンラインで予約ができ、乗車変更が3ヶ月以内であれば何度でもできるというところを考えると、メイン利用だけでなく、飛行機が遅延時の代替手段としては有効である。窓口購入は、そもそも駅に着かないと購入できないことや、災害時には駅は大混雑なので、厳しいと思う。

デメリットは、長い乗車時間であるが、3人掛けの真ん中は厳しいが、それ以外は東京から岡山までは許容できると思う。東京から鹿児島までは厳しい。また、少なくとも高松便は、岡山行き終新幹線にマリンライナーが接続しているので、東京駅の高松行きの終新幹線が20時30分なのは、飛行機にはないメリットであり、特筆に値する。高松行便の最終は、20時頃であるが、余裕を見て東京駅は18時30分は出たいところだ。この2時間近くの差は大きい。また、上記のエクスプレス会員のオンライン予約であれば、比較的窓側がとれる(急な交通手段の変更を検討してから実際にJRみどりの窓口に到着できるまでの時間のタイムラグがあるため)ので、体力温存と電源確保としての新幹線は災害時には有効である。

14:25追記情報: 高松空港の条件付き運航の場合には、レベルが1~3とあるようで、少なくとも高松空港のカウンターでは教えてもらえるとの情報を失念しており、今回改めて指摘を受けて思い出したのでここに追記する(結果、n=2)。推定であるが、ほぼ100%が、周辺の濃霧で飛行機が「着陸」できるかが問題であり、それの裏返しとして、出発機材が確保できるか。私が知る限り、機材さえあれば濃霧でも始発便は高松空港が離陸できるので。ただ、このレベル情報が、高松空港外から電話等で知ることができるか、羽田空港カウンターで知ることができるか、についての情報も引き続き情報収集して蓄積したいと思う。


以下、私の判断事例を提示する。

1月9日の東京出張帰りのフライト。私のミスで羽田空港の定時に明らかに間に合わなかった。たまたま高松空港が雪のため、条件付き運行の案内が出たため、キャンセルが無料となった。よって、運が良く飛行機は全額払い戻しして、上記のオンライン予約で窓側の新幹線も予約ができて、新幹線で帰ってきた。確認したところ、私が乗る予定だった飛行機は、出発の遅延があったものの、無事着陸できている。

2月10日の東京出張帰りのフライト。13:30発のフライトであった。朝から、1時間おきに、条件付き運行の情報がメールできていた。メールが頻繁に来るもので、オオカミ少年のように麻痺して、最後の方は内容を読んでいなかった。通常の条件付き運行なら、まあ、大丈夫だろうと判断してしまっていた。浜松町でモノレールに乗ってから、改めてメールを見ると、ヤバいことに気づいた。天候調査中で、まだ見込みが立たないと。それで、以前のフライトを見ると、2つ前の便が、着陸できずに、高松空港の隣の徳島空港に降りたとの情報が。

この時点で、リスク回避のことが頭をよぎったものの、快速に乗ってしまったので、引き返すポイントが見えない。色々考えて、大井競馬場駅で降りて、逆向きのモノレールに乗換えようとした。すでに天候調査になっているので、確定する時間までにキャンセルすればよい。そのモノレール待ち時間の間、オンラインで、新幹線の窓側を予約できたので、新幹線に決めた。

っと思った瞬間、JALは天候調査を終え、私のフライトが、45分遅れで出発することが決定した。天候調査をした上で、あえて「やる」と判断したのは私の経験が無かったのもあり、これは行けるのではないか、と考えてしまった。新幹線は、再度乗車変更すれば、実質無料キャンセルと同じ扱いだし。

というのは、手荷物が多かったこと、疲れていたので、またこれから4時間以上掛けて陸路帰るのもなんとなくいやだなぁと思ったこと、自家用車を高松空港に停めていること、さらに、車の保険の満期が翌日なのでディーラーに行かなければならないこと(冷静に考えると、車をピックアップしていなくても大丈夫だが、言い訳の1つとして)という言い訳がどどっと私の中に押し寄せて、再度、空港に向かってしまった。

その後、チェックインして、さらに、フライトは延びて、結局65分遅れで14:35離陸となった。悪い予感が立ちこめる。私は飛行機をキャンセルできる手段があったが、選択しなかったのでモヤモヤしていた。満席だったので、他の人はどうしたんだろうと思ったが、元々ツアーやビジネスパックで買っていたら変更出来ないし、新幹線片道の18000円より安い価格で購入している人には、この程度の危機予想では差額の自腹を切って、わざわざ東京や品川駅に移動することまでは考えないだろう。細かくは覚えていないが、15:50頃に高松空港で1回目の着陸を試みるも、濃霧で真っ白で、急上昇の着陸回避。機長から、30分程度高松上空で待ってから、再度着陸を試みると。で、16:30過ぎか、再度試みるも全く同じで、結局、これから伊丹空港に向かいますと。伊丹空港着陸は、17:00を過ぎていたと思う。

着陸後は、地上係員の方が乗ってきて、今後の状況の説明や、JR無料引換券で、新幹線で岡山経由の高松まで戻ってもらう説明があり、書類をもらった。手荷物を預けていたのをピックアップして、17:30だったと思う。

ここまではJALの対応は完璧だったと思う。機長や客室乗務員の対応は問題なかったと思う。むしろ、リスク回避のために動いてくれた判断は尊敬している。さて、私は高松空港に車を停めていたので、そのピックアップのために、費用が発生するので「やわらかく」係員に尋ねたら、清算支払OKの旨の返答があり、カウンターで手続きして下さいと。これが悪夢の始まりだった。まず、先方から名前は控えられたが、私がその初回担当者を名前を聞かなかったのがまずかった。次に、向かった先のカウンターには行列で、かつ、多くが高松便の客で、困難な条件(ツアーや、レンタカー、キャンセル交渉)で、私の番が回ってきたのは30分ぐらいかかった。それから交渉したところ、色々(初回担当者と異なる対応をされたことに)頭にくることがあって、伊丹空港を解放されたのが、18:30。

それから指定された方法としてバスへ新大阪へ、JRで、高松に着いたのが22時。一度空港にタクシーで向かって、車もピックアップして家に着いたのが23時だった。


反省点は次の通りである。直接経費は余り問題ではなく、ロスした時間価値、疲労の方が大きい。結果としては、12時30分の時点で「強くヤバいな」と思った時点で、新幹線に切り替えて、その後の雑音に流されずに一貫して動くべきだった。

振り返ると、途中で判断がぶれたのが悔いの残ることであった。自分がしっかりしていないと、「なんとかバイアス」がはたらくのがよくわかった。

色々考えると、今の私にとって時間が取られることがつらい。自分の判断でJRに切り替えることによって、高松空港への自家用車のピックアップ料金などたかがしれているし、そもそも結果として当初の便で高松に着いていれば、18時頃には高松駅に辿り着いているので、安くリムジンバスにも乗れたし、そんなに致命的ではない。

判断ミス、戦術ミスであるが、自戒のために、次回のために、掲載しておく。

大事なのは、そういう動きをすることで、トータルのリスク回避の勝率を上げることだと思う。1つ1つの結果に流されては、全体を見失う。確率で考える必要がある。そうやって生き残る必要がある。地震の発生確率も引き上げられたし。


2つの指標でとらえる

ものごとを把握するために、複数の指標で評価をしたほうが理解しやすいことが多い。ここでいう「ものごと」とは、人の性格でも良いし、人の能力でも良いし、何かわかりにくい抽象的なことの理解でも良いし、科学における物理現象(メカニズム)の理解でもよい。

理解したい全体像は、3次元の立体物であると考えると、対象が大きすぎたり複雑な形状をしていたりして我々が全体像を見ることができないため、その形を推定したいときには、何かの「切り口」という2次元だったり、ある1点の奥行き方向の1次元だったり、単なる点の情報だったり、断片的なものとなってしまう。

日本語には「切り口」という言葉があってわかりやすいが、その切り口が1つではなく、2つあった方が理解が進みやすいということである。さらに言うと、その2つめの切り口は、1つめに比べて、別の角度の方がわかりやすい。

例えば、「うどん」を、うどんを見たことも食べたこともない人に説明する際に、「小麦粉を使った食べ物」と「細長く切ったもの」という2つの切り口で説明すれば、大枠は伝えると思う。
(※厳密には、1つめで小麦粉、食べ物の2つの指標を使っているが、ここでは割愛する)

ただ、2つの指標といっても、「小麦粉を使った食べ物」と「白っぽくて艶があるもの」という切り口であれば、2つの指標のジャンルが似ているので、あまり効果的な2つではないと思われる。よって、できるだけ離れた指標が良い。

2つよりも3つが良いのは言うまでもないが、1つと2つの違いと、2つと3つの違いでは、得られる情報の違いは、1と2の違いの方が大きい。よって、ここでは少なくとも2つの指標で捉えるように、と主張したい。

例えば、「学力」試験だけで、その人がどういう「能力」がある人だろうと推察したい際には、「数学と理科」の組み合わせではなく、「数学と国語」の方がその人に対して色々な推察ができそうである。

私の専門分野のコンクリートの分野では、固まっていない柔らかいコンクリート(フレッシュコンクリート、という)の段階でのコンクリートの性能評価が求められている。硬ければコンクリートで構造物を作りにくいが、逆に柔らかくなると分離して別の意味で構造物を作りにくくなる。そのバランスが必要なのである。

それに対する回答としては、私も委員会に入って活動した、コンクリートの施工性能の委員会(土木学会コンクリート委員会 341委員会)では、初期の静的なスランプ試験(1つめの指標)および、その後にエネルギーを与えた動的な挙動に対する試験(2つめの指標)の両方に対してクリアすることが、良いコンクリート(施工性能の優れるコンクリート)である、というものを提唱している。

静的なスランプの値は、言い方は乱暴であるが、化学混和剤(クスリ)の種類と量を加減すれば、ある指定された時刻において、目標値に一致させることができる。「合わせにいく」とも表現する。しかし、それは、逆に言うと、その試験のみでは、性能を推し量れていないこととなる。言い方は乱暴であるが、ある程度ヘンテコリンな配合でも、スランプを「1点のみ合わせる」ことは比較的簡単なのである。

不適切なコンクリートを回避するために、色々な2つめの指標が提唱されている。2つを併用することで、大抵の場合の不具合を可視化して排除することができる。


まとめとして言いたいのは、何かを評価する際には、2つの指標で評価することが、失敗の少ない評価が可能である。それは、2つを合わせにいくことは非常に難しいためである。

もちろん万能ではないので、個々の評価をするときには3つ以上の指標も必要なときがあるかもしれないが、費用対効果を考えると、全体システムを設計する(通常に備える)には2つの指標というのが妥当なラインである。


という話が、一昨日の吸水委員会の議論とも通じるので、ここに記録に留めておく。


2018年1月10日水曜日

懲りなきゃわからないのは悲しいが

交通インフラの定時性が充実してくると、使う側の安全の見込みが小さくなってしまい、ギリギリに行動してしまう。

1/9は、20時5分の最終便で高松空港から東京へのフライト予定であったが、空港まで車で短時間で行ける(最近、1つ長い信号を迂回できる河川沿いの近道を見つけた)安心感もあったのと、どうしても仕上げておきたい仕事に没頭して、フライトまで1時間前にまだ研究室にいた。今回はヤバいなぁと思って、ふとスマホを見ると、到着便遅延のために45分出発が遅れる旨の連絡が入っていて助かった。元の時間でも、十分間に合う時間であるが、精神的に安心して空港に向かった。

とはいえ、こういうギリギリのことをしていると、何かトラブルが発生したときのマージンが一切無いため、避けなければ。交通に限らず、一事が万事で、そういう仕事の仕方はやめなければと思っている。

で、帰りの1/10は、悪い予想どおり天罰が下った。

まず、朝。いつも泊まっている系列のホテルではあるが、会議の場所に近いところを考えて、新橋駅近くのホテルにした。ここは初めての利用で土地勘がない。前夜は45分遅延などで結局ホテルに着いたのは23時で、その日も朝は早かったので疲れており、翌朝起きたのが朝食をゆっくり食べても間に合う時間であったが、大きな余裕はなかった。

まず、最寄りの御成門駅からの三田線が遅延で遅れているらしい情報をキャッチ。地下鉄の新橋駅に変更。ただ、いつも利用する新橋駅といっても広いし、昨日は浜松町から歩いてホテルに着いたので、新橋駅までの移動がよくわからなかった。新橋駅は、広いことを改めて実感。そもそも地下鉄の入口は探しづらい。いつも使う乗り口と違うと、全く別の駅のようで、スマホを見ながら移動してもわかりづらい。このまま移動したら遅刻はしないけれどもギリギリで焦るなぁと思って、竹橋まで3kmなので結局タクシーかなぁと思っていると、目の前に、NV200の新型タクシーが来たのが時の運。つい乗ってしまった。ただし、結果として、数年前に開通したマッカーサ道路の新橋-虎ノ門間のトンネルを通れたのでヨシとしよう。トンネルをくぐるとすぐに霞ヶ関でびっくり。構造物見学として良かった。NV200の車、シートはすこぶる快適であった。


16時に東京竹橋で会議が終わる予定で、最終便の20時のフライトは帰るのが遅くなるので嫌だなと思い、久し振りに、1つ前の18時のフライトを予約していた。竹橋から羽田空港までは、1時間あれば余裕なので、たかをくくっていた。つい、会場にて、17時迄に送らなければならないメールを処理しているうちに、時間の感覚を忘れて没頭してしまい、タスクが終わったのが16:45。やばい。それから竹橋から移動であった。

15分前の17:45までに空港のゲートを通過しなければならないので、結構ギリギリのタイミング。路線検索すると、最短で乗った電車が17:38羽田着となり、(羽田空港が狭いのが選定理由で私はJAL派なのだが、)それでも駅からの移動を考えるとギリギリであった。荷物は預けられないかもしれない。と、色々と考え事をしていて、日本橋と大手町を間違えて降りてしまった。初めは間違えて降りたことに気づかずにあたふたしてしまい、結局タイムアウト。結果として、フライトは10分遅延になっていたので、すぐにリカバーできていればまだ間に合ったのだが、実は途中で高松空港は雪のため引き返す可能性があるという条件付き運航に変わっていたことを知っていたので、もう諦めて新幹線に切り替えようと考えていたので、フライトをキャンセルするためにJALに電話。条件付き運航になった場合にはキャンセル料は発生しないのを良いことに。

無料キャンセル対象のために、キャンセル料が自腹にならなかったのはよかったけれども、さすがに懲りた。また、東京の駅の移動は長い、慣れない駅で迷うことがある、というのは、関東を離れて少し感覚が麻痺していた。


人間懲りないとわからないというのは、寂しいもので、懲りる前に想像がつくはずなのだが、それができなかった。甘えがあったと思う。得をしているようで、見えない安全を削っていたのだ。どちらが得なのか明らかである。

久し振りに懲りた。致命的にならない程度の失敗で良かったとポジティブに考えよう。

別のことであるが、懲りる前に考えろ、想像しろ、と高専の教壇に立って言ったこともあるので、これは言った私が実行できていなかったので反省すべきである。

ブログの移動(に近いもの)

表現活動の主体をnoteに移行しました。時間をかけた論考などはnoteに集約するようにします。こちらのブログはアーカイブとして残しますが、過去に力を入れた執筆したものは、再編集してnoteに投稿することもあります。 https://note.com/hayakazuh このブログ...