理解したい全体像は、3次元の立体物であると考えると、対象が大きすぎたり複雑な形状をしていたりして我々が全体像を見ることができないため、その形を推定したいときには、何かの「切り口」という2次元だったり、ある1点の奥行き方向の1次元だったり、単なる点の情報だったり、断片的なものとなってしまう。
日本語には「切り口」という言葉があってわかりやすいが、その切り口が1つではなく、2つあった方が理解が進みやすいということである。さらに言うと、その2つめの切り口は、1つめに比べて、別の角度の方がわかりやすい。
例えば、「うどん」を、うどんを見たことも食べたこともない人に説明する際に、「小麦粉を使った食べ物」と「細長く切ったもの」という2つの切り口で説明すれば、大枠は伝えると思う。
(※厳密には、1つめで小麦粉、食べ物の2つの指標を使っているが、ここでは割愛する)
ただ、2つの指標といっても、「小麦粉を使った食べ物」と「白っぽくて艶があるもの」という切り口であれば、2つの指標のジャンルが似ているので、あまり効果的な2つではないと思われる。よって、できるだけ離れた指標が良い。
2つよりも3つが良いのは言うまでもないが、1つと2つの違いと、2つと3つの違いでは、得られる情報の違いは、1と2の違いの方が大きい。よって、ここでは少なくとも2つの指標で捉えるように、と主張したい。
例えば、「学力」試験だけで、その人がどういう「能力」がある人だろうと推察したい際には、「数学と理科」の組み合わせではなく、「数学と国語」の方がその人に対して色々な推察ができそうである。
私の専門分野のコンクリートの分野では、固まっていない柔らかいコンクリート(フレッシュコンクリート、という)の段階でのコンクリートの性能評価が求められている。硬ければコンクリートで構造物を作りにくいが、逆に柔らかくなると分離して別の意味で構造物を作りにくくなる。そのバランスが必要なのである。
それに対する回答としては、私も委員会に入って活動した、コンクリートの施工性能の委員会(土木学会コンクリート委員会 341委員会)では、初期の静的なスランプ試験(1つめの指標)および、その後にエネルギーを与えた動的な挙動に対する試験(2つめの指標)の両方に対してクリアすることが、良いコンクリート(施工性能の優れるコンクリート)である、というものを提唱している。
静的なスランプの値は、言い方は乱暴であるが、化学混和剤(クスリ)の種類と量を加減すれば、ある指定された時刻において、目標値に一致させることができる。「合わせにいく」とも表現する。しかし、それは、逆に言うと、その試験のみでは、性能を推し量れていないこととなる。言い方は乱暴であるが、ある程度ヘンテコリンな配合でも、スランプを「1点のみ合わせる」ことは比較的簡単なのである。
不適切なコンクリートを回避するために、色々な2つめの指標が提唱されている。2つを併用することで、大抵の場合の不具合を可視化して排除することができる。
まとめとして言いたいのは、何かを評価する際には、2つの指標で評価することが、失敗の少ない評価が可能である。それは、2つを合わせにいくことは非常に難しいためである。
もちろん万能ではないので、個々の評価をするときには3つ以上の指標も必要なときがあるかもしれないが、費用対効果を考えると、全体システムを設計する(通常に備える)には2つの指標というのが妥当なラインである。
という話が、一昨日の吸水委員会の議論とも通じるので、ここに記録に留めておく。
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