2013年6月10日月曜日

鋼とコンクリートの間

鋼とコンクリートの間と言えば、付着、界面という用語が思いつくが、別の話。

ある思いがあって、土木学会 鋼構造委員会の床版の疲労に関する委員会に入らせていただいた。 委員長を務める大田孝二さんは、私が横浜国大の大学院修士1年生の時に鋼構造特論の科目を非常勤講師として教えていただいた方である。業務で一緒になったことはないが、ことあるたびにお会いする機会があった。

大田先生からは、専門知識だけでなく、多くの考え方、人との付き合い方を教えていただいた。先生から、土木構造物は、先進国のものと発展途上国のものの両方を見るべきだ、と授業中に言われたことを実現したくて、その時はベトナムには既に行ったことがあったので、その年の11月に、時間を作ってニューヨークを旅行し、ブルックリン橋に感動した。ワールドトレードセンターは直下まで来たが、疲れていたのでまた今度来た時に登ろう、とあとにしたのだが。

この鋼構造委員会に代々設置されている、床版の耐久性に関する委員会であるが、今期のテーマはASR、塩害、凍害の複合劣化。だいぶコンクリート材料寄りの話である。床版の問題は、特に水の浸入をどうやって抑えるかという問題に帰着する。コンクリート委員会の耐久性の委員会でやっていることと変わりはないと思う。

開発した表面吸水試験を現場で適用する格好の舞台であるので、手を挙げて入った。初回の全体委員会は2件の話題提供が設定され、その1つとして私がコンクリートの表層品質、吸水抑止の重要性、そして表面吸水試験に関する内容を発表した。

相手が鋼構造がメインの人が多いので、細かいディテールよりも、どうやってその本質を伝えるかや、床版との関連について説明することに時間を割いた。私なりに頑張ったつもりだ。結果は上々で、後の懇親会のフィードバックを加味すると、鋼を中心として研究や業務を行っている人には新鮮でいろいろな分野の方々に、インスピレーションを与えることができたように思っている。

ただ、挨拶程度のこれだけで終わっては、単に自己満足なので、多少強引でも、何かこの領域で成し遂げたいと思っている。コンクリート委員会の方では、別途床版の委員会も立ち上がっており、そちらもアクティブだと思うので、取り残されないようにしたい。他にもこの委員会の方との議論でいろいろな情報収集をしたので、帰って、早速1件のアポを取った。

私自身、鋼構造はこれまで専門には学んでいないので、この機会に、本質をとらえたいと思っている。高専の講義でも、鋼構造を担当しているので、両方がうまく回るようにマネジメントしたい。


この出張で、1週間で2回の出張が終わり、バタバタがちょっと終わった。高専では前期中間試験に突入しているので、乗り遅れないようにしたいし、前期中間試験が終われば、授業も次のステージに入るし、研究も本格的に動き出す。

準備していた解析用のワークステーションも先週納品され、表面吸水試験装置も横浜国大から貸与するのが先週完了した。

ただし、この1か月、なかなか首が回らず、事務的な対応や、他の学術委員会についてのレスポンスが遅れており、大変申し訳なく反省している。

色々な案件も、自分で、マネジメントし、通常業務と思って対応しないと、体が持たない。准教授としての立場は、忙しいのが当たり前で、それを通常業務の中で、平常心でどうやってこなしていくか、何かを犠牲にせず同時に大事な領域(自分の勉強、研究、クリエイティブなこと)を維持するかが、問われている。


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