来週、「20世紀を代表する家具デザイナー」 ジョージ・ナカシマの記念館を訪れることになっている。館長さんともお話ができる機会をセッティングいただいた。
高松市の家具製造販売の桜製作所が、ジョージ・ナカシマの家具のライセンス販売をしているということで、桜製作所が記念館を作っている。
桜製作所の名前を聞いたのは、昨年夏の丹下健三展および香川県庁舎ツアーにおいてである。 香川県庁を作る際、調度品についても木工製品の多くは桜製作所で作ったという。その時の解説者の話しぶりでは、確か、丹下健三側の厳しい要求に答えながら切磋琢磨して作りながら、日本を代表する会社に育っていったような・・・。この辺はちょっと記憶があやふやである。
私は、素人に毛が生えた程度の趣味であるが、木工細工も好きなので、木の選び方、美的センス等もだいぶ気になる。
行くとなったら徹底的に予習をするのが私の方針。まずは、まったく知らなかった、ジョージナカシマについて調べると、「木のこころ(訳書)」(原題The Soul of a Tree)とい本を出しているので、読んでみた。
彼の経歴については、こちらに譲るとして、建築家を志していたが、最終的には木と対話することを職業とした。豊富な木、森の知識は、宮脇昭先生を思い出してしまった。
アメリカの日系人ということで、第二次世界大戦では、日系人収容所に入れられていたというのも、山崎豊子「二つの祖国」を知らない人にとっては、意味が良くわからないかもしれない。
読んでいて、いろいろな事象がリンクしてくる。
「木のこころ」の一節を引用したい。エンジニアの全てに通じるのではないか、と思う。大学、高専の教員にも。
小規模な手工業を営むには、大量生産と競うために、次のことが要求されると述べられている。
以下、そのまま引用する。
------------------------------------------------
1、木材に関して熟達した手仕事を備えた職人気質
2、伝統的工具と進歩的機械の両者に対するすぐれた知識
3、材料と木工技術の知識を基礎にしたデザインに対する直観
4、丸太が倒木を切ったものか立木を伐ったものか判断でき、しかも、切断せずにその中の木目や節班や玉杢の優美さを「感じとる」ことができる、丸太仕入れの秀れた経験
5、経済と簿記に関する厳格な処理能力
6、木挽職人の仕事を理解し、進んで彼に付き添って、どう丸太を回しすえて切ったら最高に魅力的な板材、一番良いかたち、ぴたりと見合った厚さに切り出せるか、こうした無数の決定を素早く下せる判断力
7、アイデアを適切に図面で表現できる図像化力
8、樹木学、すなわち樹木の科学に関する知識
9、家具がその環境に適切に関わるよう、建物の室内と形式についての精通
10、接合部にかかる「モーメント」を予知し、失敗の可能性を予見できる、工学と力学の若干の知識
11、天然と人工の乾燥保存状態に関する精通
12、それぞれの木材は色合いと材質の間に深い関係を持っているから、色彩と質感に対する芸術的感覚
------------------------------------------------
~ ジョージ・ナカシマ著、神代雄一郎・佐藤由巳子訳: 木のこころ[木匠回想記] 、鹿島出版会、1983、pp.173-174 ~
そして、その桜製作所についても、創業者の人柄、創業エピソードなど気になる。続けて創業者の本 永見真一著「木のすまい」も読みたい。そして二代目についても、魅力的なインタビュー記事を目にした。桜製作所、とても気になる会社である。
高松市中心部にショールームもあるようだ。
2014年2月27日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブログの移動(に近いもの)
表現活動の主体をnoteに移行しました。時間をかけた論考などはnoteに集約するようにします。こちらのブログはアーカイブとして残しますが、過去に力を入れた執筆したものは、再編集してnoteに投稿することもあります。 https://note.com/hayakazuh このブログ...
-
新幹線を使って出張に行く際には、高松から瀬戸大橋を渡るマリンライナーで岡山駅まで到着し、岡山駅から新幹線に乗る。マリンライナーの乗車時間は60分で、経路検索で標準で出てくる乗換え時間間隔は、短いときには10分程度から、最短8分というのも頻繁に出てくる。 当たり前だが、6...
-
マルパッセダム( Malpasset Dam ) 1959年12月2日 完成したばかりのアーチダムが、満水時に決壊した。 水は下流に流れて、多くの方が亡くなった。 私は、マルパッセダムという言葉は、10年ほど前の黒部ダムの内部の見学の際に、 事前に下調べで知ったが、結局当...
-
Windows環境、Wordで論文を書き、PowerPointでプレゼンをする。数式をどうやって入力するのかが課題であった。Wordの2000年初頭までは附属の数式エディタでそこそこ軽快に数式入力をしたり、フォントを整えたりできたと思うが、今のWord2019環境では、デフォルト...
0 件のコメント:
コメントを投稿