2014年2月27日木曜日

木の匠

来週、「20世紀を代表する家具デザイナー」 ジョージ・ナカシマの記念館を訪れることになっている。館長さんともお話ができる機会をセッティングいただいた。


高松市の家具製造販売の桜製作所が、ジョージ・ナカシマの家具のライセンス販売をしているということで、桜製作所が記念館を作っている。

桜製作所の名前を聞いたのは、昨年夏の丹下健三展および香川県庁舎ツアーにおいてである。 香川県庁を作る際、調度品についても木工製品の多くは桜製作所で作ったという。その時の解説者の話しぶりでは、確か、丹下健三側の厳しい要求に答えながら切磋琢磨して作りながら、日本を代表する会社に育っていったような・・・。この辺はちょっと記憶があやふやである。

私は、素人に毛が生えた程度の趣味であるが、木工細工も好きなので、木の選び方、美的センス等もだいぶ気になる。

行くとなったら徹底的に予習をするのが私の方針。まずは、まったく知らなかった、ジョージナカシマについて調べると、「木のこころ(訳書)」(原題The Soul of a Tree)とい本を出しているので、読んでみた。


彼の経歴については、こちらに譲るとして、建築家を志していたが、最終的には木と対話することを職業とした。豊富な木、森の知識は、宮脇昭先生を思い出してしまった。


アメリカの日系人ということで、第二次世界大戦では、日系人収容所に入れられていたというのも、山崎豊子「二つの祖国」を知らない人にとっては、意味が良くわからないかもしれない。

読んでいて、いろいろな事象がリンクしてくる。


「木のこころ」の一節を引用したい。エンジニアの全てに通じるのではないか、と思う。大学、高専の教員にも。


小規模な手工業を営むには、大量生産と競うために、次のことが要求されると述べられている。


以下、そのまま引用する。
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1、木材に関して熟達した手仕事を備えた職人気質
2、伝統的工具と進歩的機械の両者に対するすぐれた知識
3、材料と木工技術の知識を基礎にしたデザインに対する直観
4、丸太が倒木を切ったものか立木を伐ったものか判断でき、しかも、切断せずにその中の木目や節班や玉杢の優美さを「感じとる」ことができる、丸太仕入れの秀れた経験
5、経済と簿記に関する厳格な処理能力
6、木挽職人の仕事を理解し、進んで彼に付き添って、どう丸太を回しすえて切ったら最高に魅力的な板材、一番良いかたち、ぴたりと見合った厚さに切り出せるか、こうした無数の決定を素早く下せる判断力
7、アイデアを適切に図面で表現できる図像化力
8、樹木学、すなわち樹木の科学に関する知識
9、家具がその環境に適切に関わるよう、建物の室内と形式についての精通
10、接合部にかかる「モーメント」を予知し、失敗の可能性を予見できる、工学と力学の若干の知識
11、天然と人工の乾燥保存状態に関する精通
12、それぞれの木材は色合いと材質の間に深い関係を持っているから、色彩と質感に対する芸術的感覚
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~ ジョージ・ナカシマ著、神代雄一郎・佐藤由巳子訳: 木のこころ[木匠回想記] 、鹿島出版会、1983、pp.173-174 ~


そして、その桜製作所についても、創業者の人柄、創業エピソードなど気になる。続けて創業者の本 永見真一著「木のすまい」も読みたい。そして二代目についても、魅力的なインタビュー記事を目にした。桜製作所、とても気になる会社である。

高松市中心部にショールームもあるようだ。

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