2017年9月2日土曜日

夏の自由研究 セミの全数調査を実施!

9月最初の週末。夏の自由研究は終わりましたか。何とか終わらせて、無事提出した? いえいえ、子供のではなくて、あなた自身の自由研究を。

毎年、気になっていることがあった。マンションの入口にある幅2m、長さ5m位の植え込みに、真ん中に1本だけ木が植わっている場所が、ポーチの左右にある。そこに、夏になると、セミが鳴き、朝になると中央の木だけでなく、低い植え込みにも多数、セミの抜け殻がある。当たり前の光景であるが、毎日毎日多数増えていて、一体どれだけのセミがこの狭い植栽に待機しているのだろうかと。

仮に100匹いるとしたら、平均7年の幼虫の滞在時間を含めると、実は土中には700匹のセミがいるのかもしれない、と興味は尽きない。その700匹は、多分まんべんには分布せずに木の付近にひしめき合っているはずだが、領土争いは起きないのだろうか。

また、セミといえば、関東(神奈川県横浜市、裏に広域公園あり)にいたときにはアブラゼミをよく見ていた気がするが、香川県高松市に来て自宅付近(住宅街)はクマゼミミンミンゼミ(羽が透明で、若干黄緑色の模様)が多いなぁと思いつつも、正確な割合もわからなかった。全数捕まえてチェックしてみたら、と数年前から思っていたが、行動には移さなかった。

家族ともそういう話は何度かしたことあり、思い立って、全数調査をしてみようと思い、行動することとした。セミが鳴き始めたら、既に調査は遅れており終わりである。思い立ったのが、7月7日で、翌朝から、セミの抜け殻を全数調査することにした。何気なく思った日だが、ちょうど良いタイミングだった。5日目から個体が確認されるという、良いタイミングだった。

出張時は子供にお願いしたが、それを除くと一人でやりきった。データ分析も、生データを見せただけでは子供は反応してくれず、子供たちの自由研究のネタになるのではないかとの淡い期待も消えた。

1度カウントした抜け殻は、翌日もダブルカウントしないように、発見と同時に採取して残さないようにした。その結果、多分、このマンションの住人、管理人さんは、「あれ?そういえば今年はセミの抜け殻がない、何故?」と思ったかもしれない。

苦労の連続だった。マンションの前で、木にとまった抜け殻を採取しているのは許せるとして、低い植え込みでも羽化をするので、植え込みの裏までしゃがんでゴソゴソ探す41歳のおっさんは、明らかに不審者である。7時を過ぎると、ゴミ捨てで降りてくる住人に出会うので、6時30分まで、遅くても7時前には終わらせたい。慣れれば3分で。

残念ながら、住人の方と遭遇したことは3回程度。悪いことはしていないが、いかにもセミを探しているように上を見上げたりして、オーバーリアクションになってしまう。遅い時間に出るときは、遭遇確率が高まるので、見せるために子供の虫取りかごを持って出たり。(通常の朝早いときは、ビニール袋1枚が普通)

なお、夜19時頃には、セミの幼虫はゴソゴソと土からはいだしてきて、木を登り始める。20時には、羽化の神秘的な光景が繰り広げられる。そのネタは数年前に書いたと思うが、結構早いのを認識している人は少ないのでは無いか(写真はフェイスブックだけだったようだ)。

色々と見てみると、住宅街の街中で、静穏な環境にあり(レンガに区切られているので、道路の街路樹のように道路との境がないものではない)、街路樹のように土が踏み固められていない、というのは実は数少ない環境であることに気づく。

さらに、独立木が1本で、それほど大きくないし、葉っぱも少ない種類で、かつその観察場は、3方向からアクセスできるので、ほぼ間違いなく全数調査ができるのが凄い。というのが左右2箇所ある。

既往研究をリサーチしたが、ある公園の全数調査をしている小学生(か中学生)の自由研究の成果は圧倒であったが、高い木で見えないものや、探し漏れもあるだろう。ここに生態系が有り、全数調査ができるのは、幸せである。

羽化に失敗する残念な例も多数見てきた。木や植栽に登れずに、力尽きている例。その場合朝の段階ではまだ生きてゴソゴソしているが、力が足りないのか、または爪の鋭利な部分が折れるかなどして、登れない。朝方には、殻は固くなっていて、もう無理なのかもしれない。昼すぎには、蟻や鳥にやられるだろう。

さらに、植え込みから落ちて、土の方へ落ちればリベンジできるが、手前のタイル張りのポーチ側に落ちたら、つるつるしていて二度と這い上がれない。これも残念。また、多分幼虫の時分に体が傷つくか、羽の奇形で開けないものも。羽化の途中で何らかの理由で止まってしまい、半分だけの姿も。

結果として得られたセミは、全数、クマゼミミンミンゼミ。時期をずらして、アブラゼミやヒグラシなどあるかと思ったら、全くなかった。クマゼミミンミンゼミの単一種類。

総数は、110匹。これは、羽化に失敗した数も含む。羽化に失敗した総数は11匹。ちょうど10%が失敗している。

書き忘れたが、環境だが、マンションの建設後、15年ぐらいだろうか。その間に、この生態系ができている。

右側の場所と左側の場所の違いは、ばらつきがあって傾向は見られなかったが、それの合計は、きちんとした正規分布のような感じであった。

まとめたグラフは次の通り。

きちんと分析はしていないが、とりあえずこれで終わる。

生データ(左右の区画の別、日々の羽化の失敗個数)も必要であれば出しても良い。

天気との関係は気になるが、朝の段階で雨が降り続く日は少なく、印象としては変化はないような。前日の天気が影響を与えているかもしれない。

羽化失敗以外の抜け殻は全てあるが、オス、メスのチェックはしていない。欲しい人には差し上げます。

データは公開したいので、それを自由に使ってもらうのは構わない。

ということで、以上、大人の自由研究でした。

最後に、実際に行った証拠を写真で見せます。虫が嫌いな人は見ないで下さい。



















修正履歴:
9/2 ニイニイゼミ→ミンミンゼミへ修正
9/3 ミンミンゼミ→クマゼミへ修正

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