明治大正昭和にかけて活躍した、物理学者・作家の寺田寅彦の文章は、3.11の震災後に注目されている、というのは知っていたが、今回初めて読んだ。
私は本文の前に必ず解説を読むのだが、解説は畑村洋太郎氏が書いている。なんと、38ページにわたる力作だ。変な話、この解説を読むだけでも買う価値はあると思った。震災後に執筆された畑村氏の本や記事は意識して読んだことがなかったので、 私にとって、これが初となる。原子力事故の本質なども、鋭く指摘している。
今、まだ本文を数ページ読んだだけだが、これが100年近く前に書かれた文章なのに、一切色あせていない。人間の行為、浅はかさなどは、どの時代にも変わりの無いようだ。
昨日の新聞にて。放射性廃棄物を1万年保管することの、技術的ではない側面について書かれたコラムを読んで、響いた。1万年前は石器時代であり、1万年後の我々が何か意思疎通ができているか?1万年後はどうだろうか。国家が現在の形態かどうかも、言葉が通じるかもわからない。絵で描いても、伝わるかわからない。科学の進歩をもってすれば、言葉の解読など、これまでの1万年とこれからの1万年はまったく次元が違うという考えもあるが、本能的に心配になる。「原子力教団」という、メンバーが後継者を選びながら、廃棄物の意味、危険性について継承する集団、という概念が1984年に提唱されていたことが非常に興味深い。
話は飛ぶが、物事には、技術的側面と、人間が関与する側面があり、世の中の仕組みなどは、実際には後者で動かされていること、世の中の不具合も後者が実は多いこと、ということに最近強く思うようになっていて、その辺を工学としてどうやって取り入れていくかが、今後の研究課題のような気がしているが、何も手を付けていない。前に書いたが、「建設社会学」を研究、実践されている、柴山先生につながると思う。
2011年7月4日月曜日
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