大学や高専では、専門分野、研究分野と、実際に学生に教える授業科目は一致しないことが多々あります。
土木工学でよくあるのが、測量を教えたり、コンクリートや土質の先生が構造力学を教えたり、です。構造力学はその後の専門に続く基礎的な学問なので、どの先生でも担当できる(できなければならない)ということもありますが。
さて、私は鋼構造・橋梁工学分野の先生の後任として入ったため、授業計画では、その分野が多く、コンクリートはゼロではありませんが、少ないです。ただ、2016年度は、欠員の対応のために、初めて3年生のコンクリート材料分野の講義、および3年生のコンクリートの実験を担当しました。
前任の大学で、実験を担当していましたので、3年のブランクが空いていました。そういえば、その時にも、色々と改善を試みていたので、その記事が公開されていますのでリンクを貼ります。
2011年横浜国立大学でのコンクリート実験の改善(コンクリート工学会誌)
(所属学会は、最近、過去の学会誌のアーカイブも無料公開してくれているので、こういう時に役立ちます。今までは、論文投稿でないと、過去のものは日の目を見ませんでしたが。)
さて、今回の香川高専の授業ですが、新しい教員が採用されるまでのピンチヒッターとして1年間行うという、どちらかというと消極的なモチベーションになりがちですが、専門分野そのものということで、気合いの入り方はやっぱり違います。そして、後に引けなかったのは、日本コンクリート工学会四国支部の教育支援校の担当になったことです。四国支部では、10年以上に渡り、「工業高校・高専」へのコンクリートの教育支援という制度があり、年に1校程度が順番に廻ってきて、10万円の予算を頂いて、教育改善のために何か取り組む、というものがあります。その成果を、翌年の学会の総会の際に発表する必要もあります。たまたま2016年度が香川高専に当たっていたので、何かやらなければならないという状況に置かれてしまっていました。プライドもありますので、適当に発表するわけにもいきません。
この年は、詳細は別ブログ記事に譲りますが非常に忙しい年だったため、何か新しいイベントを開催する、何かものづくりをする、ということは無理でしたので、授業や実験授業の中で何かをすることとしました。
補佐して戴く技術職員2名とも相談しながら、きちんと実験授業を行い、学生が正しく理解することが大切だというごく当たり前の結論に至りました。目標が決まれば、徹底的にそのために動く。
結果として報告をする段階になってのタイトルは「習熟度を高めるためのコンクリート実験実習の改善」と、オーソドックスになりましたが、これが実際を表しています。
先日、4/21の総会で20分間発表しました。その日は、たまたま、JCIの会長、丸山久一先生も本部からゲストとして来て戴いており、四国支部の活動について講評を頂くことになっていましたが、たまたま講評が、私+他1件の発表の次だったもので、過分なお褒めの言葉を頂きました。お褒めの言葉は半分程度に受け取っておくのがちょうど良いと思いますが、他にも四国内の大学の先生からも数名、良い反応をいただいたので、大きくは間違いはなかったのではないかと思います。
単にやったことを淡々と発表するのではなく、現場の人(大学、高専、高校)の目線でのニーズも盛り込みながら、かつ、私らしく、それを達成するためのツールの詳細の紹介もしつつ、全体で伝えたいことを見失わないように構成したつもりです。
「林先生は大学も高専も両方経験しているから、それぞれの苦手とするところを把握して、それぞれが得意とするところを伸ばすよう踏まえられている」というお言葉も頂きました。そのつもりで発表したことが、その通り伝わって良かったと思っています。
前のブログ記事で、今年はアウトプットの年にする、と書きましたが上記の出来事や、講演ファイルを適切に公表していく必要もあると思って、今書いています。
講演ファイルも是非ご覧いただければと思います。
講演ファイルをダウンロード
実験の詳細計画、ファイルのパワーポイントの原本などは、お問い合わせいただければ提供可能です。是非メールでご連絡を。
2017年4月23日日曜日
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