腰痛について、大体の対処法はわかってきているのだが、解決していない課題があった。座り方が悪いというか、椅子が合わないというか、人並みに長時間座り続けることができない。それが問題と感じている。記憶をたどると、小学校1年生からそうであった。今思うと凄いなと思うが、私の小学校1年生の学校に関する悩みは、「体育館で集会などで周囲を見ても自分だけ腰が痛くなること」「給食で野菜が苦手」「学校でトイレに行きたくなる」がトップスリーであった。
年度末色々考えていると、ふと、来年度は少し椅子に投資して座り心地の良い椅子を購入しよう、と思い立った。疲れ知らずの良い椅子を買えば仕事も効率も上がるだろうと。
で、調べ始めて、良い椅子というものが何なのかがわからなくなってきた。ブランドものの10万円を超えるような椅子はもちろん座り心地よいのはわかったが、とりあえず予算とした5万円では何が良いのか決め手がなかった。
調べを続けると、そもそも座り方が間違っていたことがわかった。正しい姿勢は、座骨で座るのである。座るための骨だから座骨というのである、と。
目から鱗であった。記憶を呼び起こしても、「人間は座骨で座る」という教育を受けたことはなかった。覚えていないことを「聞いていない」というのは教師に対して失礼である。その時休んでいたかもしれないし、居眠りしていた可能性もある。とにかく言えるのは、もしかして聞いたかもしれないが、少なくとも頭に残っていなかった。座骨で座る、そんなの常識だと言われるかもしれないが、40歳の今まで、私はそれを意識したことがなかったのである。
「座骨神経痛」という言葉はCMなどで聞いたことはあるが、座骨という言葉を使ったためしがない。
姿勢良く座るには、一般に、背筋を伸ばすように、腰を曲げないように、などと言われていると思う。背筋が伸びていないのは、ラクをしている、気がたるんでいるから、等と言われるが、それをしていても、結局背中が痛くなって続かない、という悪循環であった。ラクしたくて変に座るのではない、それしかできないのである、と心の中で何度叫んだことか。
で、座骨で座るために、正しい姿勢でないと物理的に座れないという椅子があった。アーユルチェア、である。日本で開発されたらしい。標準タイプで5万円。おお、予算にぴったりだ。
コンセプトは、バランスボールと一緒かもしれない。正しい姿勢でないと転んでしまうと。乗馬が姿勢に良いというのも、同じだろう。ダーウィンの法則のようで、姿勢が正しく進化するのではなく、生き残れる(座り続けられる)のが正しい姿勢なのである。
たまたま、3月上旬に東京出張があったので、移動時間を使ってアーユルチェアのモデルルームに行ってみた。座って、実際に話を聞いてみると、良さそう。決めた。
まだ買っていないのに、それ以来、意識して座り方を変えるようになった。自分の椅子に座るとき、他人の椅子に座るとき、車を運転するとき、電車に乗るとき、飛行機に乗るとき、常に意識するようになった。
それから一ヶ月が経つが、アーユルチェアに座っていないのに、座り方が変わってきて、長時間座れるようになってきた。
とはいえ、そうとも言ってられず、先日やっと学校の会計システムが使えるようになって注文をしたので、しばらくして届くだろう。楽しみだ。
この一ヶ月の椅子に関する色々を振り返ると、学ぶこととは一体何だろうと考えさせられた。教員なので、教える側に廻ることが多い。人に届くための必要な情報提供の方法、内容は、どうあるべきなのか。
・背筋を伸ばしなさいという表面的な断片的な対処療法的な指示でなく、座骨で座るという本質的な指示ができているだろうか。
(座骨で座ることが、結果として背筋を伸ばすことになるのだが、私のように、背筋を伸ばすことだけを真に受けると座骨が傾斜したまま背筋を伸ばすことになり、よりおかしな姿勢になっていたのではないか。事後評価なので正確に記述できないが。)
・椅子に投資するという気持ちの変化(モチベーションの変化)が、能動的に動くきっかけとなった。その様なモチベーションを与えることができているだろうか。
深い。