コンクリートは、色々な方向の力を受けると、力の方向に応じてひび割れが生じます。よって、力の方向を考えて、鉄筋で適切に補強します。本日の高専での鉄筋コンクリートの授業では、折曲げ鉄筋が、正負交番するせん断力に対しては、せん断力の方向の違いで、鉄筋が効く場合と、効かない場合がある、という話をしました。設計のディテールとして、折曲げ鉄筋はせん断力が常に正または負の場合にしか使えず、正負入れ替わる場合には、スターラップを配置する必要があります。
この授業では、特に模型を用意していなかったのですが、せん断力が作用すると、コンクリートは斜め方向にひび割れるということを、即興で紙を使って示しました。
変形して波打つだけではわかりづらいと思い、力の方向をチョークで書きましたが、それでもインパクトに欠けました。そこで、紙の中央に、斜めに×の形で少し切り込みを入れてみました。これで、コンクリートは引張を受けるとその方向にひび割れやすい、という特徴を紙に入れ込むことができました。その上で、両手を使って、せん断力を紙に加えると、見事、狙ったとおりに斜めにひび割れてくれました。
授業中に以上の出来事があったので、そうか、予め切り込みを入れておけば、コンクリートのモデルとなる、と思い、曲げ、せん断、引張の45度ずつの8方向にひび割れを入れて、加える力を変えるだけで、曲げ、せん断、引張のコンクリートが破壊するのを表現できるのでは、と考えました。
以下は、一人で1時間程度で作成しました。三脚を置いて、自分で自作自演。やっとできた、と思ったら、首にぶら下げていたIDカードがビデオにばっちり映っていて、やり直し、ということもありました。
撮影が終わってから、ピコ太郎が頭をよぎりました。世界でブレイクするのは、模型の中に書いたコメントを、英語で書くべきだった・・・・。
とにかく頑張ったので、どーんと公開します。
原理としては紙だけで良いのですが、一様な力を加えるのが難しいので、鉛筆のようなもので補強します。
まずは、せん断力を加えました。上下方向に逆方向に平行に動かすとせん断力を与えられます。右が下がる方向なので、これは、正のせん断力です。
次は、負のせん断力です。右上に方向に平行移動します。
次に曲げモーメントを加えます。中心で回転させるのは難しいです。よく考えないと,全引張になって失敗してしまいます(2回失敗で、動画は3回目)。
オーソドックスですが、軸方向の引張もできます。注目すべき点は、元々、8方向に切り込みは入っていますが、引張に対する直角方向の亀裂をだけが自動で選ばれるということです。
そこで、折曲げ鉄筋をビニールテープで再現しました。このテープの方向の配筋に対しては、正のせん断力には耐えることができますが、負のせん断力にはテープ(鉄筋)は抵抗できず、構造物が破壊してしまいます。
次に、梁の鉛直方向に配置するスターラップは、正のせん断力にも、負のせん断力にも両方に耐えることができます。
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