2015年9月8日火曜日

道路の日本史

6月に購入してから時間がかかったが、道路の日本史を読み終えた。

道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書)道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書)
武部 健一

中央公論新社 2015-05-22
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著者の武部氏は、日本道路公団東京建設局長、参与等を経験され、多数の書籍を執筆されている方である。実はまだ読んだことは無いのだが、「道のはなし」等は、図書館の土木系書架に必ずある本で、現在も書店の専門書コーナーには並んでいたと思う。

道路にまつわる日本の通史が、程よい分量で書かれている。私は受け持っていないが土木史の講義資料としても使えそうな話題が多く参考になった。何かの講演等でも使えそうである。


最後の方に、昭和43年に起きた飛騨川バス転落事故の話が掲載されていた。観光バス15台が連なっている中、大雨による道路の崩壊で、2台が川に転落し、104名が亡くなるという事故・災害である。バス事故の詳細はWikipediaのリンクを参照していただくとして、壮絶な事故であるとともに、その後の捜索、救出のためにダムの放流を止めて川を止めるなど、とんでもない大プロジェクトが行われていた。こちらのWikiの説明はとても長い文章だが必読である。

著者によると、この事故は道路管理者が自然災害に対しての考え、対応を180度転換させるきっかけとなった。危険防護施設の建設にのみならず、異常気象で道路の安全が担保されないときには通行止めも行うようになった、という転換点になったようである。

その後の技術を発展させたいくつかの技術史上の事故というものは多数あり、鉄道でいえば桜木町事故、道路トンネルでいえば日本坂トンネル火災事故、などあるが、まさにそれに匹敵するものであろう。これまで知らなかった。


香川県の名士、大久保 諶之丞(おおくぼ じんのじょう)についてもページを割いている。郷土に対してこのような貢献があったとは、Wikipediaでは記述が少なかったため気づかなかった。とりあえず、Wikiで紹介されている参考文献「蒼天に架ける」は勉強しておこう。ただし、Amazonの中古にもないので、図書館の郷土資料コーナーであろうか。
念のために調べると、高松の出版社から出しているようなので、あまり全国には出回っていないようである。後で問い合わせてみたい。 http://www.bikohsha.co.jp


元日本道路公団の方で、戦後復興の道路整備という時代を経験された著者だから語れるエピソードも多く、土木技術者の気概、誇りも随所に読み取れる。

東名高速道路と中央高速道路の路線の決め方も興味深い。初案は南アルプスを突き抜けるルートだったとは。

夏休みに実際に利用した滋賀県の多賀サービスエリアは、丹下健三が設計したというのもこの書籍で知ったが、上下線からアクセスできる店舗を計画したものの法律等の各種制約から断念せざるを得ず、その名残として、上下線を結ぶ歩道橋が建設されていた、とは。訪れる前に読んでおきたかった。グーグルマップからの多賀サービスエリア


この本は、学生にも読ませたいし、私の講義のための資料集としても活躍するだろう。

20年前から目にしたことのある著者の書籍(道のはなし 等)は今後順に読んでいきたい。当時の興味から、今は格段にアンテナが広がっているので、多くのことをキャッチできるだろう。


著者を調べている中で見つけたリンク。何に使えるかわからないがメモしておく。
日本の道の歴史検索システム

もう一つメモ。
ルーヴル美術館所蔵
ヴェルネ作
大道路の建設

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