2012年6月28日木曜日

幸せの青い鳥

コンクリートの耐久性を測定する装置、表面吸水試験の改良を重ね続けてきましたが、ほぼ最終版となろう、小型化バージョンが、形になってきています。このデビューを、来月のベトナムでの測定で行う予定です。

基幹になるある部品を探していたのですが、なかなか、ありません。事前リサーチの結果ありそうだったので、絶対見つかる、という信念の下、フライングで小型化の開発を開始して、最後のネックになっていました。私の思うスペックは、世界中にも無いのではないか、と思うほど。 唯一探せた日本の2社の2機種は、まだまだ性能が足りませんでした。

諦めかけたところでしたが、最終的に見つけたのは、我が家にあった、息子が使うある医療機器に組み込まれていた部品でした。気になってその機器を分解して、部品のメーカーが判明し、問い合わせて特別譲ってもらいました。その部品自体は、製品として一般販売していないので、これまで気づかなかったのです。

今日、届いた部品の性能をチェックしたところ、期待通りの性能が出ました。数年かけて開発してきた機械の主要部品が、数年前から我が家にあったなんて、これは、偶然なのか必然なのか。

この表面吸水試験を、日本だけでなく世界中に普及すべく、開発を行っています。売れることが目的ではなく、これを使って、世の中のコンクリートが良くなるように。子孫に良質なコンクリート構造物を残すように。

この部品の組み込みがうまくいけば、研究パートナーだけでなく、私の家族も間接的に関わることになり、それはとても名誉なことと思っています。



2012年6月24日日曜日

目的と手段 節電編

目的と手段を履き違えるな、ということは、どんなところにも共通する考えだと思います。

エアコン設定28℃、というのは、節電のためのお題目のように唱えられています。これは、具体的アクションなので、手段、と分類できるでしょう。

28℃に設定しても、手元の温度計は35℃。これじゃ仕事にならないよ、という愚痴や報道やよく目にします。何かおかしいのは間違いありませんが、その分析が、私から見るとずれているように思います。

まず、28℃に設定することのそもそもの目的は、なんでしょうか。

シンプルには、空気の温度は28℃未満は贅沢であり、28℃で我慢せよ、ということに私は理解しています。28℃も、実際にその温度が保たれていれば、結構涼しいものだと思っています。本当に理想環境での28℃がもし暑ければ、そもそもの議論がかみ合いません。私はこれまでの経験から、28℃は暑くないと思いますし、ここではその前提で議論を進めます。理想的な28℃が暑く感じる人の対応については、必要な時に別項で書きます。

28℃に設定しても、実際には暑い。なぜか。部屋の温度が一定ではないから、それだけでは、ほとんどの場所で28℃が達成できないためです。そんなのみんな知っているよ、という反論は分かります。だから、扇風機などのサーキュレーターを使うべきで、それが売れている、というのでしょう。その通りです。

サーキュレーターで、良く説明されることは、使うことによって涼しくなります、という謳い文句です。よって、サーキュレーターの紹介のされ方は、概ね次の通りです。28℃だけでは暑いけど、気流があれば涼しくなり、エアコンの温度を数度下げたのと同じ効果が得られる、と。そのため、USB扇風機などが売れているのでしょう。


サーキュレーターなしに28℃を実際に保つのは困難で、本当の28℃を達成するためにサーキュレーターを導入しましょう、というのは見たこと聞いたことがありません。これが私が提案することです。

エアコンの28℃というのは、いったい何を基準にはかっているのでしょうか。吹き出し口から出る風の温度ではありません。出てくる風は、10℃台の冷たいものです。答えは、特に職場で使っている業務用エアコンは、本体のセンサか、手元スイッチに内蔵されているセンサのどちらかでしょう。家庭用エアコンの高い機種のように、赤外線で離れた室内や空気自体を直接計測しているものは少数派でしょう。

手元スイッチは壁に近いので、その壁の温度の影響を受けます。別件で温度を管理している実験室の温度計を置く場所を検討しましたが、壁に設置するのと、そこから浮かせて設置するのでは簡単に2℃は変わります。エアコンの室温が2℃変わると、結構なものです。

温度センサがエアコン本体内蔵の場合、風の逆噴射の影響を受けるようです。直接風が体にあたると寒いので、別売りのガードをつける場合があります。私の部屋も付けましたが、すると、ガードにあたった風が、たぶん逆流するために、エアコンに戻ってきてエアコン自体を冷やすようです。同じ温度設定でも、本体のセンサだけ早めに温度が下がり、エアコンが停止してしまうのです。よって、部屋は暑い。ここで暑く感じるのは、28℃だから暑いのではなく、部屋が28℃になっていないためです。

論理的に考えると、エアコンの設定温度28℃を守れ、というお題目が正しいためには、エアコンの設定温度に部屋の温度が高い確率で達成できる、という必要条件が満たされることが必要です。家庭用エアコンや、最新の空調装置により管理されたオフィスでは、それが達成できるかもしれませんが、大学を含め、多くのオフィスでは、そこまで理想環境になっていないように思います。

ここで改めて目的と手段を提案します。

「節電時に必要なのは実際の温度が28℃になることであり、それを達成するためには、エアコンの設定温度は相違していてもよい。ただし、28℃であることを客観的に証明する必要があり、壁の温度、日射、局部的な気流の影響を受けない空中において、温度を測定できる装置(普通の温度計を空中にぶら下げればよい)を同時に備えていなければならない。

28℃を達成する方法としては、サーキュレーターは有効であり、風を体に当てることが主目的ではなく、部屋の温度が一定になること循環させるように使うべきである。」


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言うだけでなく、研究室で実践しなければ。特に、冬場には、窓際が寒いのが、サーキュレーターで一発で改善しました。

生身

コミュニケーション軽視ともとられかねず、半分問題発言とは思いますが、いろいろな深いことがあると思うので書きます。いざとなったら消せるようにブログへの投稿にしているのは、卑怯とは思いつつ。

私は、フェイスブック上は、誕生日が近づくと誕生日を非公開にして、終われば公開にすることを繰り返してきました。誕生日がFBからメールなどで自動でプッシュされるのが?に思っていたので。これが進むと、さらに何かのアプリによって誕生日おめでとうというメッセージをFBが自動で肩代わり送信するようになりそうで。予約送信なら、年賀状のようで悪くないとは思いますが、昨年のメッセージと重複しないお誕生日メッセージを自動的に送るようになったりして。

父の日のプレゼントが、全部ネットで済んでしまうことへの、便利さと、その反面の何か後ろめたさに似ています。実父には、ネットまたはデパートで普段は買わない高めの日本酒を買って送るのですが、私自身が酒の銘柄に詳しくないこともあるのですが、選んで送った銘柄をすぐに忘れてしまいます。父から、〇〇(商品名)美味しかったと言われても、その時点で、銘柄を忘れてしまっていて、「??、あ、日本酒のことね」となることが多いです。

私が愛読する星新一のショートショートで、FBの誕生日に似た状況のネタがありました。人間が生身の人間との会話が面倒になり、すべてロボットオウムにため口で話しかけると、オウムがきちんとした敬語で相手に通訳してくれます。しかしそれを受ける相手も、ロボットオウムが話を受け、人間にはため口で通訳します。結局、敬語を使うのはロボット同士。



だったら、生年月日を公開しなければ、という意見もあるでしょう。私は、年齢は公開したいと思います。新聞の投書などは特にそうですが、いったいどのような社会経験をしている人が、どういう発言をしているのかというのは、すべてではありませんが、年齢は大きな参考情報になります。フェイスブックでは、生年だけ公開できると良いのにと思います。特に年頃の女性(年頃が何歳とは言いません)へ気を利かせて月日のみ公開というサービスもありますが、私の場合には、どういう奴が発言しているのかの情報のために公開したいのは年齢なのです。

とはいえ、誕生日の公開に過度にこだわっているわけではありません。別にどうでもいいと思っています。というわけで、今日が、私の36歳の誕生日でした。ちゃんちゃん。

2012年6月17日日曜日

安全率と誤差

失敗を防ぐ、正確には失敗による致命傷を防ぐために、これまで私が考えてきたこと、実践してきたことは、個別個別のことはたくさんあるけれども、なかなか体系化できていなかった。畑村洋太郎先生の「失敗学」はもちろん参考になったけど、考え方のある側面を示しただけにすぎない。私なりの切り口で、いつかまとめたいと思っていた。

また、失敗の裏返しは創造、創造は狭義にはモノづくりなので、そのことについても、体系的に整理したかった。


事あるたびに考えてきたのだが、キーワードは、安全率と誤差の扱い、だと思う。

ただし、今日は、学会の委員会の報告書の手直しがあるので、ここで筆をおきます。何事も、初めが大事。

ブログの移動(に近いもの)

表現活動の主体をnoteに移行しました。時間をかけた論考などはnoteに集約するようにします。こちらのブログはアーカイブとして残しますが、過去に力を入れた執筆したものは、再編集してnoteに投稿することもあります。 https://note.com/hayakazuh このブログ...