2019年9月16日月曜日

君の名は

この夏休暇に、子供と一緒に、私は初めて「君の名は。」のアニメ映画を見た。普通に楽しむことができた。


さて、土木ではおなじみの計測関係のメーカー、仮にA社としておく。

私が横浜国大の助手時代、約20年近く前に遡る。実験で使うその消耗品を買うためにA社の横浜支店に直接電話して注文していた。その後10年ぐらいの間に何十回も注文しただろう。

電話注文を受ける職員は2名いて、BさんとCさんとしておく。ともに女性であった。ベテランの方と、若手の方であった。電話の応答は必ず会社名と個人名を名乗り、決まって「A社のBでございます」「A社のCです」というフレーズであった。声のトーンも、ベテランの低めの声と若手の高めの声、という感じであった。

お二人とも仕事ぶりは素晴らしく、在庫がないときでも代替品を探したり、分割納入を逆提案してくれたり、毎回非常に良いやりとりをして戴いた。一問一答ではなく、顧客の悩みを解決してくれる姿勢、仕事ぶりに驚かされた。さらに、声も特徴的で、どこかの声優さんではないかと思うぐらい。ということが10年ぐらい続いたと思う。

とても良い印象を受けていたので、一度お会いしたいなと思っていた。

一度だけそのチャンスが訪れようとした。何かの用事で営業担当の方にお会いする必要があり、急いでいたので直接私が支店まで行くことになった。ただし、その時は営業の方が外に出てきてくれて用事を済ませたので、私が支店に足を踏み入れたり、そのお二人にお会いすることはなかった。

さらにその後、ついに、横浜支店を廃止するとの連絡を営業の方から受け、結局会えないまま電話をすることがなくなってしまった。その方は、その後会社の別の部署で働いているのか、パートのような方で支店閉鎖と同時に契約解除になったのか、全くわからなかった。

私は、香川へ転職し、横浜支店の吸収先である東京本社の方には電話を掛けることもなくなり、今に至っていた。ふと、その人がどうなったかなと思うことはたまにあった。



今年に入り、その会社の技術部(東京)に電話することがあった。そこで、電話に出た方が、なんとBさんを思わせる低めの声であった。しかし「A社技術部です」というフレーズのみなので、個人名がわからない。

技術的な質問で電話をしたことが2、3度続いたが、その都度もやもやしたまま終わった。この夏になってもう1回電話をかける必要が出てきた。間違いなくBさんと思われる声である。遂に今回は、思い切って話しかけてみた。

受付「・・・・の用件ですね。では、担当者におつなぎします。」
私「ありがとうございます。大変失礼ですが、もしかして、Bさんでいらっしゃらないでしょうか。」
受付「そうですが。」
という風に、ビンゴであった。

さすがに、「君の名は?」とは尋ねなかった。このシチュエーションでの名前の問いは、ストーカーなのか、クレーマーなのか、どちらかだろう。

Bさんには、かくかくしかじか、と私が横浜時代にとても良い仕事をして戴いてお世話になったことと、一度お礼を言いたかったことを伝えた。私のことは名前までは明確には覚えていないが、そのようなやりとりはあったような、という感じのご返事を戴いた。

BさんはもちろんずっとA社で仕事を続けていて今は技術部にいらっしゃること、そして、気になるCさんは今は本社の総務の方にいらっしゃるとのことで、ともに活躍されているとのことで、懐かしいと共に嬉しかった。

私の中で、君の名は、のようなドキドキ感(別に恋愛感情とかではなく)があったのは言うまでもない。お世話になった人、信頼できる人へ、一度お礼を言いたい、という気持ちは何事にも代えがたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログの移動(に近いもの)

表現活動の主体をnoteに移行しました。時間をかけた論考などはnoteに集約するようにします。こちらのブログはアーカイブとして残しますが、過去に力を入れた執筆したものは、再編集してnoteに投稿することもあります。 https://note.com/hayakazuh このブログ...