車にまつわる話として、通勤で車を使っている運転者として、最近の痛ましい交通事故を受けて、改めて自身を律するべきと気持ちが引き締まる。
関連して、大学構内の外周道路について、昨年から公共バスが乗り入れることになったのに伴い、速度規制のための10個のハンプが取り除かれ、走りやすくなった結果、明らかに私も含めて皆の学内自動車運行の速度が増していた。それを受けて昨年度は数度、学内の教職員向けの公文書にて、20km/h制限の通知が出ていたが、ついに4月になり、注意喚起の標識設置や道路へのペイント等がなされた。一運転者として反省すべきことである。
さて、2012年2月に新車を購入したという話をしたが、購入の前日に古い車において、自損事故を起こしてしまった。畑村先生の失敗学の知識も得て、失敗について研究室や学内でも語っている手前、きちんと総括しなければならない。
1)事故の概要
ガソリンのEmptyランプが付いている時に、そろそろガソリンを入れなければと思っている矢先、住宅街にある急な上り坂で一時停止して用事を済ませ、再発進しようとした際に、ガス欠となり、動けなくなった。ガス欠は、たまたま急な角度にいるためであり、何とか平地に戻れば、残っているガソリンで再発進できると信じ、ギアをニュートラルにして重力を使ってバックしている最中、停車中の別の車を避けようとハンドルを切ったが、コントロールが難しく、反対車線にはみ出て、右後部のボディーが反対車線のポールにあたり、動けなくなった。
2)復帰
自動車任意保険に付属するロードサービスに電話し、念のためにレッカー機能をもった車でガソリンを持ってきてもらい、10リットル給油したところ、自走できて、レッカー不要で自力で復帰した。右後部のボディーを若干擦って凹んだ。
翌日は新車への入れ替えで、元々廃車予定だったので、実質的は被害はなかった。保険もロードサービスの利用だったことと、保険会社も切り替えが決まっていたので、保険料にも影響なし。
3)考察
あの時ガソリンを入れていれば、上り坂で停止しなければ、など、「~たら、~れば」と1つでも実施していたら、回避できたと思う。しかし、それを客観的に分析し、相互連関を見る必要がある。
失敗学で言う、曼荼羅(まんだら、相互連関図)の作成である。相互連関にするには図化するので時間がかかるが、まずは項目をピックアップしたい。
4)その時の行動、その時考えていたこと
・2/11にこの車は廃車になることがわかっている。よって、ガソリンはできるだけ空にしたほうが経済的である。
・実際には、金銭的なことよりも、Emptyぎりぎりで廃車を迎える、という一種の遊び感覚を楽しんでいた。
・そんな中、たまたま、数日前にEmptyランプが付いた。だいぶ昔だが、Emptyランプが付いてから、最高で50km走ったことがあり、その50kmをひとつの目安として使っていた。今回30km位になっていた。その時よりも経年により燃費が落ちていることは考慮していない。
・真冬であり、エアコンをつけていた。50km走るのはそもそも難しかったが、その季節の違いに一切気づかなかった。
・さらに話がややこしいのは、このままでは危ないと思って、Emptyになってから1回、10リットルだけ給油していたこと。給油後にEmptyランプが消えれば、再度Emptyランプが付くタイミングでリセットできるのに、消えなかったので、一体どこまで走れるのかが良くわからなくなった。直近の燃費で計算はできるが、不確定要素が増える。
・たまたま前夜から調子が悪かった子供を病院に連れて行ってから、その足で遅刻として幼稚園に送りに行った。
・当初、この幼稚園の往復は考えていなかったので、ガス欠が頭をよぎった。そのため、幼稚園の路地に入る直前の交差点で、妻と、ガス欠が怖いからガソリン入れようかと話をした。しかし、そのためにはいつも曲がる交差点を超えないとガソリンスタンドは無いし、幼稚園も早く行きたかったので、幼稚園の送りが終わってからにしようと判断した。
・幼稚園の、遅刻して入るための通用門は、平地でなく急坂にある。さらに、道路は狭いのでその場でUターンはできない。坂道を登る格好で停車し、妻は娘を送りに行き、私は息子を乗せたままアイドリングで待機した。その間5分。
・妻が戻ってくる間に、車を回して、Uターンをしていれば回避できただろうが、何も考えず、その向きのまま、待っていた。
・ガス欠をした段階で、無駄なあがきをせず、そのままロードサービスを呼ぶという選択肢があったが、下手な考えで、ニュートラルギアにして坂道を下り、平地に戻れば、タンク内の残ったガソリンで自己復帰できると考えついた。
・その坂道は、車がほとんど通らないローカル道だったので、バックで動くのは可能と判断した。もし、車の通りが激しかったら、そのまま待ったかもしれない。
・ちょうど止まった場所が、さらに狭いところだったので、トラックなどの大型車が来たらあまり良くないと思い当初は数メートルバックして完全停車しようとした。そこで車を動かせたことが、後のバック運転の自信につながった。
・初めはハンドルを殆ど切らなくて良かったので気づいていなかったが、途中でカーブに入る。ハンドルの軽さ(パワーステアリング)は、電源が切れているので、アシストがなく、ハンドルを回すのが、よいしょっと、非常に重たいので、運転感覚が全然違うことに、動き出して気付く。初めからわかっていたら、やめたかもしれない。
・後から考えると、先に行きすぎてUターンし、下を向いた方向で停止していれば、仮にガス欠で止まっても、前を向いているので車のコントロールは優しかっただろう。
・バック運転をした一番のモチベーションは時間に追われていたこと。妻と息子が乗っていて待たせるよりも復帰したかったこと。現在10:20頃で、11:00からM1学生との研究打ち合わせを設定していたこと。この場所から大学まで通常は25分くらいかかり、途中で、家族を家に送り、ガソリンも入れなければならないのでそもそもギリギリだった。
・坂道を下り、バック運転があと少しの時に、郵便局の車が左に停車中だった。そこで諦めて止まらずに、追い越そうと、ハンドルを切り反対車線(もともと中央線は無い)に入ったが、郵便局の車をバックで追い越す難しさの焦り、反対車線にはみ出ている焦りが出た。
・その付近は、ちょうど右側にフェンスは無く、崖のようになっており、ポールがあったが焦りのため、見えていなかった。
上記にて、頭の中にもやもやしていたものを書きだすと、とりあえず17個になった。ここには、(1)そもそものガス欠が起きたことの遠因・直接原因に当たるもの、(2)ガス欠が起きた際に、より危険な行為に進んでしまったこと、の2種類に分類できそうだ。
(1)については、1つでも行為を行わなかったら、そもそもガス欠は生じなかった。別にそれを悔やんでいるわけではないが、正確に分析し、その時に私が何を考えて、それを突き進んだのか、というところが、一番の本質である。別に何も後悔していない。
長くなったので、ここで止める。これの整理は次回。