芥川龍之介の「藪の中(やぶのなか)」はご存じだろうか。黒澤明の「羅生門」も藪の中を原作としている。
事実は1つのはずであるのに、それを断片的に目撃した・関わった人にそれぞれ語らせると、全て異なった解釈となっており、真相解明を困難にする・・・・・。
現在続けているヒアリングにおいても、ある技術的な事柄に関して、全く逆の解釈が返ってくることがあった。一瞬戸惑ったものの、実際に聞いてみると、片方はきちんと探求の目で観察していてその根拠も確からしく、他方はフィーリングでそう感じているというものであった。
どちらがより確からしいかという比較をし出したらキリがないが、どちらもある断片を見ているに過ぎないので、ある前提条件の範囲においてはどちらも正しい解釈と言えよう。
結局は、片方の意見だけを鵜呑みにしていると、ミスジャッジを起こしかねなかったということである。
実際には対象としている事象は全く同じものではないし、条件も異なることから、そのバックグラウンドも踏まえて解釈しなければならない。
似たようなことで、人は、見たいものしか見えない、というのもある。結局は、自分自身の仮説に合うような都合の良いことしか見えない、聞こえないのである。今回の私のインタビューで危ない点もそれである。1回目の意見を聞いて、それが私なりに納得できたとしたら、あたかも自分が直接目にしたことのように錯覚に感じてしまっていたが、その偏った考えを早期に修正することができて良かった。
それにしても、
1)◎◎に関して影響がある
2)◎◎に関して影響がない
という解釈については、特に2)については「ない」ことを証明することは非常に難しいため、そのような意見を聞いたとしても注意しなければならないのだろう。一般論として。
2016年2月15日月曜日
2016年2月14日日曜日
現場で
事件は会議室ではなく現場で、というのは使い古されたフレーズであるが、日々実感している。
コンクリートの品質確保というキーワードで活動をしているものの、実際の香川県においてどうやって地に足をつけて活動するかをずっと模索していた。
生コン関係では、生コン品質監査会議に関わらせていただいたのがきっかけで、色々な会社の方と意見交換をすることができている。しかし2年を終えようとしてもなお、しっくりこなかったのは、やはり私自身が製造の現場のことを理解できていないためである。監査の現場に立ち会ったり、工場に見学に行く、というだけではまだまだ。それで、最近ではあるテーマの下、コンクリートの完成後の品質を語るために、生コン製造工場にヒアリングを開始している。
まだ十分な数はこなしていないが、対話を通して、これまで気づかなかったこと、彼らの考え方を若干ではあるが知ることができたのと同時に、まだまだ知らないことが多いことがわかった。これに気づけたことを良しとして、しばらく続けたい。
同様に、建設会社、発注者にもコンタクトをとり、話をさせて戴いている。受け身だけでなく、こちらの持つ些細な技術情報も適切に投げかけることで、彼らのプラスの気づきにもなっているようで、嬉しい瞬間でもある。お互いに、WIN-WINの関係になりたい。
単に知識を増やすだけで自己満足してはいけないのだが、きちんと知識を体系化しつつ、確実にフィードバックしたい。
月並みな指摘ではあるが、それぞれの業種の方々が必ずしも異分野との、同業者との連携・情報共有できていないところが見られるので、その改善でだいぶ良い方向に行くのではないかと思っている。
東北地整でも運用されている、「目視評価法」と、山口県生まれの「施工状況把握チェックシート」は、上記の様々な業種の方々との対話にも活かされている。バックグラウンドは違えど、共通言語というか、共通認識ができるところが非常に面白い。
以下の読み物は、シリーズで続いているが、まだ読まれていない方のために、リンクを。
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