2020年8月23日日曜日

台風上陸の定義

 昔からおかしいと思っていたが、台風の中心位置だけをみて、その「点」の移動のみで「台風が上陸した」と報道するのは感覚にそぐわない。そもそも、台風の定義が、最大風速(10分間平均)がおよそ17m/sということなので、仮に、その風速をもつ部分を含む大きな丸い範囲が台風の大きさであり台風そのものだとすると、その部分に入ったところは全て上陸と言っていいはず。例えば、「徳島県に上陸した」と報道しているが、その時既に対岸の和歌山県にも暴風域に入り多くの雨を降らせているのは、実態にそぐわない情報伝達であり違和感を感じる。

 また、四国を通過して、海を越えて本州に入ったら、「再上陸」というのも感覚にそぐわない。瀬戸内海は陸ではないことはわかるが、では淡路島、もっと小さい島に住んでいる人は何なのか。そもそも、四国と本州をわけることの意味は? 「再」という語感からは、ゴジラが一度海に戻って、翌日に引き返して戻ってきたら再上陸でよいが、単に直線的に進んでいる場合には再上陸と呼ぶことは、言葉が受ける印象との乖離があると思う。2018年7月の迷走台風の時だけが「再上陸」使えるシチュエーションではないか。現在の使い方にこだわるとしたら、もしリアス式海岸をギリギリに通ったら、10回ぐらい再上陸というのか?
 排他的経済水域は余りにも広すぎて実感がないので、「領海」あたりであれば、上陸ではないが、ゴジラいや台風が日本に進入した、という実感が大きい。

 話(主語)を大きくしたくないが、本質的な内容よりもわかりやすい数値を採用したがるマスコミの科学リテラシーについては、色々な面で課題があると思う。
 気象報道に関連すると、気象台等の観測地点のピンポイントの最高温度更新の報道合戦も然り。もっと大事なのは実際の生活空間の実温度を報道すべきであろう。片手に持てる温湿度計を炎天下持ち出して、今気温が◆℃ですというのは科学的におかしく、日中に出していたプラスチックの温度計が熱せられて◆℃ですと伝えるべきである。

 普通の道路空間の温度と気象台発表気温との乖離がもたらす危険性、冷房のない学校の教室温度、28℃に設定してる役所のオフィス内は実は30℃を越えているけど設定温度を下げられない硬直性とか、誰も触れない甲子園のマウンドの温度とか、斬り込むところはいくらでもあると思うのだが。

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2018年8月23日のfacebookの投稿でオリジナル発表し今回加筆して掲載しました。

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